
モンテピサーノ・ロマネスクその1
なんと、今年もいよいよ師走に突入!
毎年のことですが、時の流れの早さには、ただただびっくりするのみです。
そしてまた、なぜか、お約束のように忙しなくなりますね。
私生活は、特段変更はないはずなのに、なぜか時間が足りなくて、毎日寝不足が続いて、眠くて仕方のない日々を過ごしているし、仕事は、すでに忙しくて、したくもない残業なんかもする羽目になったり。師走の魔力、恐るべしです。
そんな中、年末で区切りがつくようにするために、何をアップしようかな~、と考えていましたが、この春に急ぎ足で回ったモンテピサーノを選びました。おそらく年内には終わるような記録だと思うのです。
と言っても、このさぼり体質では、ちょっと覚束ないものもありますが。
とりあえず、始めてみることにしますね。
モンテピサーノは、ピサの町の北部から東部にかけての一帯です(私の理解では)。
数年前に、ピサやルッカを巡ったことがありますが、その時には完全ノーチェックでした。いくつかの写真を見て、イースターの祝日を使った週末旅行の行き先としては最適ではないか、と思ったのです。
ミラノから車で行くため、ルート上にあって、これまで訪ねる機会のなかったロマネスクをついでに訪問することも目的として、旅程は以下となりました。
ミラノから、ローマへ向かう高速A1に乗り、パルマの手前で、リグリア州のラ・スペツィアへ続く高速に乗り換え、海沿いを南下するというルートです。週末旅行という短い日程なので、欲張らずに、押さえるところだけをしっかり押さえる、という禁欲的修行旅。
というわけで、モンテピサーノとうたいながら、まずは、そのずいぶん手前の土地からスタートです。
この辺り一帯は、ヴィア・フランチジェーナVia Francigena、つまりフランチジェーナ街道の、本道や支線が入り乱れる土地。かつて、フランス方面から、聖地ローマ、さらにはエルサレムまで続いていた巡礼路です。
サンチャゴの巡礼路に比べると、知名度は格段に低いとはいえ、最近では整備も進み、イタリア内では、サンチャゴ巡礼をするように、このフランチジェーナ街道を歩く人々も結構増えてきているようです。
巡礼路ですから、各地に教会があるのは、サンチャゴ同様です。
特に、このポントレーモリ一帯は、かなりの山間部であり、険しい山間に教会や礼拝堂が点在しているようなのですが、知名度が低く、あまり宣伝もしていなかったり、長年にわたる修復で閉鎖されていたり、おそらくそういったことから、私も気付かなかったのだと思うのです。
ポントレーモリは、エミリア州からトスカーナ州へと州境を超える山間の高速A15を進んでいくと出会う峠の町。その近くの国道沿いに、フィラッティエラという村があり、そのはずれにあるのが、ソラーノ教会(サント・ステファノ教会)Pieve di Sorano (Santo Stefano)。
ここは、本当に驚きでした。こんなに印象的な教会を、なぜこの時まで、まったく知らなかったのか。そして、イタリアのサイトでも、ほとんど紹介されていないのか。
ファサードは、未完成なのか、それとも、後代にこうなっちゃったのかわかりませんが、遠くからのたたずまいの雰囲気に比べると、近づくとちょっとがっかりする感があります。が!はやまっちゃいけません。
扉が閉まっていたので、とりあえず、裏にまわってみて、もう言葉を失いました~!
この石積みは…!
なんというか、まったく予想外のたたずまいだったので、度肝を抜かれた、という感じです。
ほとんど石積みだけの装飾なんですが、なんという迫力。ただ圧倒されます。
身も心も釘付け状態でした。
だって、こんな、ちょっと武骨な感じの石積みなのに、なんとピサ様式、しっかり踏襲していて、ちゃんとひし形モチーフ、作ってるんです。
これ、本当に気に入りました。
開口部の厚みも、半端ない。
なによりも、石が豊富な土地なのでしょうね。惜しげなく石。色彩も多様だし、切り方も多様です。つけ柱の石は、ちゃんと円形にカットされていますよね。それも武骨なプリミティブな感じに、ぞくぞくです。
後陣を、それこそなめるように見学している最中、今思うと、相当だらしないへらへら顔をしていたのでは、と思います。かなり我を忘れていたような。
でも、これじゃ我を忘れますわ~!
私の付け柱好きは、たびたび言及していますが、ここのつけ柱は、唯一無二。こんなのほかで見たことない。いやはや。
そういえば、よく見ると、彫り物もあったんだけど。
ここでは、あってもなくても、ま、気にしない、っていう感じ。
でも、これまた原始的でかわいいけど。
なんせ、創建は相当古そうなんですよね、この教会。それも、もともと聖地みたいな場所で、古代の遺跡もザクザクみたいでした。
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/12/02(金) 06:30:42|
- トスカーナ・ロマネスク
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| コメント:6
凄い!!ほりだしものですね、これは。
窓のエブラズマンまで長方形の切り石でなく、自然石に見える石で形作っていて。
見にいって、手で触れてみたいです。
- 2016/12/02(金) 00:44:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
- [ 編集 ]
見学予定図を見て・・・・・
この段階が一番楽しいワクワク気分が味わえるんだよな!と言う独り言が出て来そうです。
見事な石積ですね。
当時の石工の技術の高さが伺えますね?
信仰の力と言うか、教会の権威が伺える教会ですね。
堅牢な教会ですね。
- 2016/12/02(金) 03:11:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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> ykさん
ここは、本当におすすめ。なぜ、あまり著名でないのか、わかりませんが、あまり引っ掛かってこない教会です。行きやすくはないですが、でも、わざわざ訪ねる価値がありますよ~。
- 2016/12/07(水) 23:28:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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> 山下亭さん
一度、こういう予定図を作って以来、作らずにおれなくなりました。やはり目的だけをピックアップすると、わかりやすいんですよね。でも、行き先が結構多いし、時間がないときは、準備も大変で、楽しい半面、苦労も多い予定図です。
こういう石そのものの建物は、山下さんもお好きではないかと思いました。
- 2016/12/07(水) 23:30:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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