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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

朽ちて溶けたピサ様式にうっとり(サンタ・マリア・デル・ジュウディチ1)

モンテピサーノ・ロマネスクその9

あまりに迷った挙句に、たまたま見つけた教会は、疲れを癒すにはちょっと力不足。もう、これは、確実に良さそうなところに行くしかないでしょう、と、向かったのは、サンタ・マリア・デル・ジュウディチSanta Maria del Giudiceです。
さほど大きな町とも思えないのに、同時期の教会が二つもあり、モンテピサーノ地区のロマネスク上、最も重要な土地の一つと思います。

教会は、事前に住所が見つかり、ナビに従って進むと、するするとたどり着いてしまいました。最後は、対向車が来たらすれ違えないような細い上り坂で、先を見通せない状態だったので、一瞬ドキッとしましたが、幸いにも対向車はなく、そして、道は、あっという間に終わって、いきなり視界に飛び込んできたのが、目的の、サン・ジョバンニ・バッティスタ教会=洗礼者ヨハネ教会Pieve di San Giovanni Battista(古い教会Pieve Vecchia)のファサードです。




こういう時って、文字通り、息をのみますね。
ピサ様式が、かなり朽ちていて、また違った味わいを醸し出している、独特のファサード。経年劣化なんでしょうけれど、それが、妙にいい感じなんですよねぇ。こういうのが好ましいと思うのは、わびさび的な感覚なんでしょうか。




もちろん、修復はしているはずなんですが、「作らない」とでも言ったらいいのか、たぶん、あるものをそのままの状態で保つような修復にとどめているっていうのかしら。そういう感じだと思うんです。相当放置された挙句の修復だと、結構再建状態に、ピカピカにしちゃうタイプの修復もあるし、どっちかというとそういう方が多いと思うんですけれど、ここは、あるがまま。いや、単に予算がつかなくて、これ以上触れないとかそういうことかもしれないんですけれど、私は、溶けてたり、欠けてたり、そういう時の流れさえ感じさせるこのファサード、本当にいいと思いました。




装飾は、建築的要素でもあるアーチと、二色使いのアーキボルトが主なもの。正面扉のアーキトレーブには、植物モチーフの浮彫がありますが、相当溶けてしまっていて、残念。




アーチの根元の柱にある柱頭も、ほとんど溶けちゃっています。これらが残っていたら、装飾性の高い扉だったと思うのですが。




アーキトレーブの付け根にも、柱頭があります。これも植物っぽい感じで、単純なデザイン的な浮彫だと想像します。が、やはり溶けてますね~。
後陣側にも回ってみました。




すっごくシンプルだし、側廊の部分は、再建ぽいし。
ファサード側は、人々が集う広場としての役目もあったはずで、やはりファサードは装飾性も考慮されたのでしょうが、裏側は、高台のはずれで、おそらく後陣を外から見る、という視線は考慮する必要がなかったのだと思います。

側壁も、切石が整然と積まれているだけの、いたってシンプルな構造です。




でも、美しい切石。ちょっとうっとりするものはありますよね、これだけ無装飾でも。

さて、嬉しいことに、オープンしていましたので、入場します。




外同様、とてもシンプルですが、古い雰囲気がそのままで、いいですね~。
柱や柱頭は、どれも異なり、ものによっては、さらに古い時代の再利用品かもしれません。とにかくシンプルさが身上ですね。すがすがしい美しさを感じます。




少々残念だったのは、床かな。




多分全体にはりなおしているんだと思います。オリジナルの石敷きだったら、さぞや素晴らしかったのでは。いや、勝手に石敷きだったと思っているんですけどね。

そんな床面を見ていて、ふと気づいたのが、この境目。




右が祭壇部分、左が本堂の部分。わずかに段差を作っています。
これは内陣部分を分けるためなんですね。
クリプタがある教会だと、祭壇部分はとても高くに作られることになりますし、そうではなくとも、二、三段の階段が付くところが多くて、この高低差、今まで見た中で、最低の部類です。




こうやって見ていたら、一部のぞき、床面も、結構古い時代の石かもしれない、と思いました。




床面が美しい教会って、魅力的。
って、これも、病気の域ですね。

サンタ・マリア・デル・ジュウディチ、続きます。

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  1. 2016/12/18(日) 00:54:56|
  2. トスカーナ・ロマネスク
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  4. | コメント:4
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コメント

No title

現在でも使われている教会なのですね!
少しずつなおしていたのかも知れませんね!
イタリアでは、カトリック信者が多いでしょうから
教会を壊したり、売ったりはしていないようで
そのてんは助かりますね!
スイスですと宗教改革でカトリック教会が
プロテスタントのものになったり、、、
地元では150年前にやっとカトリックのミサが解禁に
なったりとかで、、、
フランスでは革命の時にかなりの教会が
家畜小屋にされていたり、、、
ロシアでは、宗教禁止で聖堂がプールになっていたり
援助があって綺麗に修復はされていますが、、、

ローマ帝国がキリスト教を国教にした時に
かなりのバシリカや神殿を教会につくりなおしたり
古い建物の石などを再利用したりしていますね!
アテネでもそうですが、、、
時々、神殿のままで教会にされたものもあって
イタリアの教会は素敵です!

ナイス・ポチ!
  1. 2016/12/18(日) 10:25:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

朽ちて溶けた…に拍手。特にピサ様式で白シロしてると落ち着かない(私だけ?)です。
若かったころ近くの浄瑠璃寺の三重塔が修復・彩色を施されて「新しすぎてありがたみが感じられない。」と言ったら住職(去年亡くなられました)が、「この寺が出来たときは燦然と輝き、もっと煌びやかやったんやで。」と仰いました。あっそうかと思ったものでした。
でも旧いモノはくすんでてほしいような・・・
  1. 2016/12/19(月) 03:40:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
一応現役ですが、ここも、おそらく、家畜小屋とかそういうことに使われていた時代があるのではないか、と思います。場所も場所だし、朽ち方が半端ないですしね。
確かにイタリアは、バチカンのおひざ元でもあり、他の国よりは、現役教会比率が高いような気がします。後、入場料をとる教会も、比較的少ないような。
でも、昨今は、ミラノのドゥオモも、とうとう入場料を徴収するようになったり、徐々に変わってきているようです。どこも厳しいのだとは思いますけれど。
  1. 2016/12/19(月) 22:42:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> oteboxさん
そうなんですよね。創建当時は、どこもピカピカキラキラしていた、と言われたら、確かに。でも、千年たって姿が好きなわけなので、千年前に戻されても困っちゃう、というとこですよね。日本の寺院も、まさにそうですが、日本は、木の文化のせいか、朽ちる前に建て替える文化がありますよね。技術継承の意味もあるのでしょうが、もったいないようにも思ってしまいます。
難しいところです。
でも、朽ちて溶けてるの、やっぱりいいですよね。
  1. 2016/12/19(月) 22:44:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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