モンテピサーノ・ロマネスクその11
翌日は、モンテピサーノを堪能する予定で、最初に向かったのは、カパンノリCapannori。
しかし、道をいくらも行かないうちに、すでに大後悔です。
というのも、場所の検討が、皆目つかなくなってしまったからです。ナビがあるにも関わらず。
ナビという強い味方があっても、基本的に、聞ける人がいる時には、ちゃんと道を確認するのが習い性です。で、出発前に宿に人に尋ねると、この道まで行ったら、後はひたすらまっすぐ行けば、大丈夫、と言われたんです。でも、行けども行けども、どうにもつく様子がないうえに、ナビは、左に曲がれ曲がれと、呪文のように繰り返します。最初は無視していたのですが、あまりにしつこいし、まっすぐもいい加減来ているから、ちょっということを聞いてみるか、と左折。
そうしたら、例によって、またもや予期しない教会に遭遇しました。
明らかに目的の教会ではないよね?と思いながらも、一応車を降りてみました。
看板には、サン・パオロ教会(カパンノリ市)とあります。目的とは違うけれども、一部壊れた説明版によれば、「8世紀ごろの創建と考えられ、地域で最も古い教会。現在見られる一身廊の構造は、12世紀の建築物」とあるではないですか。
ふーん。
では、鑑賞していきましょう。
確かに余計な構造物をのぞいていくと、ピサらしい本体が見えてきます。
無粋なポルティコにほとんど隠されてしまっているファサード上部は、美しいアーチ装飾となっていて、よく見ると、なんと!
なんかいるじゃないですか!
右側にも!
これはワクワクしますよね。浮彫の置かれ方が、何とも地味で、でもいい感じ。
かなり朽ちているし、時代も混じっているけれど、雰囲気あります。アーチのところは、みんな動物レリーフなんです。
手前の柱頭彫刻は、ずいぶん新しい。動物レリーフも、13世紀くらいかな、と思わせるものですが、でも好きでした。
一筆書き風の、シンプルなレリーフは、うまいな!やるな!という出来栄えだと思います。地域の、ちょっと腕に覚えのある石工さん作、っていう微笑ましい感じ。なんて、勝手なこと言ってますが。
さて、ちょっとだけ嬉しい気持ちになって、気分転換ともなったので、改めて先に進みます。どうしようかなぁ、と思いながら、もう少し、カパンノリをうろついて、当初目的を探してみることにしたものの、何人の人に道を尋ねたかわからないくらい。もう本当に記録的な迷い方でした。
具体的に道の名前を聞いて、ナビに入力して目指しても、途中でわやわやになっちゃうんだから、手に負えません。
とうとう行き止まりの道にはまり込んだ時には、もうやめよう、と思いつつ、最後の手段で、スマホのナビを利用したところ、スーッと、何を迷っていたのか、というようにスムーズに、目的地に到着してしまったのだから、またあきれました。
確かに私のナビ、アップデートもしてないですが、このあたり、道が新しいわけでもなく、訳が分かりません。
あとからちょっとわかったのは、カパンノリって、幹線道路を挟んだ両側のかなり広い地域全体で、その中に、さらに細かい区分けがされているっていうこと。だから、カパンノリという地域の名前と道の名前だけだと、どうやらナビでは判別できなかったらしいんですよね。
今後行かれる方、いないとは思いますが、要注意です。
さて、やっとの思いでたどり着いた目的の教会は、と言えば。
サン・レオナルド・イン・トレポンツィオ古教会Chiesa Vecchia di San Leonardo in Treponzio
カパンノリCapannori, Via di Tiglio 17
もう脱力しました。これを探して、1時間以上うろついていたんだ~!ありえない。
その上、クローズだし、とさらにがっかりしていたところ、脇の入り口から入る修道女の姿が。
これは、もしかするともしかして、中は古いままだったりとか、そういうサプライズがあるかも!まだ神様に見捨てられてないかも!と、喜び勇んで、後から入り込みました。
思いっきり、見捨てられてました…!
中では、おそらくイースターのイベント準備をしている人たちがいましたけれど、もう何を尋ねる気力もなくなり、会釈だけして退散しました。
わからないです、なぜ、事前に調べて、ここが引っ掛かったのか。もちろん、起源が古くて、基礎に古い構造が残っているとか、何かはあるとは思うのですが…。
ちなみに、後陣は、半円の三後陣だったと思うのですが、この場所、ちょっとした高台で、後陣側は、幹線道路に切り立ったようになっているんです。道路を挟んだら、また高くなっているので、おそらく丘を刻んで、真ん中に道を通したのだと思うのですが、つまるところ、車道で、結構なスピードで飛ばしていくような道になっているのです。その上、カーブしているため、下手に道路に出ると、かなり危ない感じで、だから、唯一、一見して中世の面影を残す後陣の姿すら、ほとんど拝めず、ましてや撮影どころではありませんでした。返す返すも、なんというか、脱力の結果です。
しかしながら、出発点のルッカから15分の道を1時間迷い続けた自分の方向音痴ぶりの再認識とともに、世間にはどれだけ親切な人がいるか、という実験みたいな体験をすることができたので、それもいいか、と前向きに。
いや、本当に、暇ってわけでもなさそうなのに、わざわざ自分のスマホで調べて、事細かに説明してくれる若者や、バールから出てきて一緒に悩んでくれるおやじとか、本当に親切。イタリア人の良いところです~。
こんなんばかりじゃ、モンテピサーノ・ロマネスクの良さを全然伝えられないですが、次回から、すごいですから、お楽しみに。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/12/20(火) 06:37:38|
- トスカーナ・ロマネスク
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