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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

やっぱ脱帽、ゴムで苦労しているわたしとしては(サンタ・クルス・デ・ラ・セロス2)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その12

例によって、どうしてもサクサク行かないので、我ながらあきれてしまいますが、サンタ・クルス・デ・ラ・セロスSanta Cruz de la Seros続きです。
この村の中世の遺構としては、前回の小さな聖堂よりも、こちらの教会が圧倒的な存在感です。




サンタ・クルス・デ・ラ・セロス教会Iglesia de Santa Cruz de la Seros。

もともとは、10世紀の終わり頃に建てられた修道院の付属教会だったものです。その修道院は、おそらく地元の名士とでも言った人なのだと思いますが、サンチョ・ガルセスと、その妻であるウラサ・フェルナンデスによるものだそうです。アラゴンでは最も古い女子修道院だったそうですが、16世紀のトレント公会議の決議により、修道院機能はハカに移され、ここには教会と鐘楼だけが残されたということです。
でも、創建者の名前がしっかりと残っていたりするところを見ると、相当由緒正しく、きちんと守られてきた教会なのだと思います。

しかし、ここから山を分け入ったところにはサン・ファン・ラ・ペーニャがあり、さして遠くない都市ハカにも修道院があったのですから、ちょっとびっくりの修道院密集地ですね。10世紀から12世紀、多くの善男善女が、修道僧になりたくて、この土地を目指したのでしょうか。

ただ、流石にそういう立地だけあって、ここの修道院の規模は、比較的小さかったものと思えます。外観ではわかりにくいですが、教会は、一身廊なんです。




だから、後陣も一つ。でも、鐘楼はやたらでかいですね。




全体には、目立つ装飾性はなく地味なんですが、それでも宗教施設密集地域ですから、地域には常に石工さんがいたことでしょうし、いくつか注目すべき装飾は施されています。




特に、正面の扉周り。




あまり、多くの石工さんを雇える予算はなかったのかも。お団子でごまかしていますが、複数のアーキボルトは、それだけで重厚な雰囲気を醸し出します。そして個人的には、このお団子、好きです。
真ん中にはお団子の代わりにお顔が置かれています。




定石でいえば、ジェズの場所ということで、ジェズなのかもしれませんが、ただのいたずらっ子にしか見えませんね。

タンパンには、二頭のライオンに支えられたクリスモンが置かれています。




クリスモンにも、タンパンの下部にも、文字がびっしりですが、残念ながら、かなり傷んでいて、まったく読めません。
ライオンは、どちらも葉をむき出しにしていて、ちょっと独特な描き方と思います。
特に左の子は、舌をだらんとして、クリスモンなめてるっていうか、犬が怖い人には、すっごく怖い図像~!





脇の側柱にある柱頭も、ライオン図像です。




やっぱり、歯むき出してる。

ちなみに、扉の左側は、こういうフィギュアものだけど、右側は、これ。




これは、壊れちゃってたのを、後付けではめ込んだものでしょうねぇ。ちょっと面白いものがあったんじゃないかと思うと、残念ですが、きれいにされているのは、嬉しい。

スペインに多い、扉上部の廂に並べられた軒持ち送り。




これはまた結構な大きさで、ちゃんと残っていて、嬉しいですね。




ふふ、例によってわけのわからないものたち。上の方に、摩滅しながらも存在感ある市松帯が、またいい感じです。




最近、消しゴムハンコに凝っていて、取りつかれたように彫っているのですけれど、しかし柔らかいゴムですら、細かい線を彫りこんだり、自分のイメージを形にするのには苦労しているのに、固い石でこの表現力。
自分と比べるのもなんですが、それも消しゴムハンコと比べるのは何ですが、しかし、実感として、石工さんの凄みを感じてしまいます。

長くなりすぎるので、思わず、こちらまで笑いが漏れてしまう子を見ながら、一旦切ります。




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  1. 2017/02/18(土) 21:40:38|
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