2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その14
次に目指したのは、セラブロ様式と言われる建築の密集する地域。
この、セラブロというのは、実は全然未知の様式だったのですが、前夜泊まったホテルの人に教えてもらい、言葉の問題もあって詳しいことはわからなかったものの、一定の様式が見られる地域だということで、事前に、その地域の教会もいくつかピックアップしてあったことでもあり、向かったという次第。
毎度のことながら、結構きっちり計画を立てている割には、実際にはかなり行き当たりばったりです。
サンチャゴの巡礼路に沿って、一連の教会があるんですが、この地域だけに見られる建築様式があるということで、それがセラブロと呼ばれているようなんです。詳しいことはよくわからないのですが、ホテルの人の受け売りだと、モサラベの影響ではないか、という説と、ゴートの名残ではないか、という説と、起源にはいろいろな説があり、いまだに定説はない、というようなことだったと思います。
ラッレーデLarredeのサン・ペドロ教会Iglesia de San Pedro。
いかにも農道、というような道の傍らにすっくと佇んでいる素敵な教会です。
なるほど、これがセラブロってやつか、と思わず思ったのは、後塵のアーチの上部に縦に並べられた石の帯。
ずんぐりした感じなんだけど、あにはからんや、実際見ると、かなり優美なイメージなんですよ。
これ、この後陣の、立石の装飾、すごいです。これは覚えといてください。
他で見たことないよねぇ。かなり独特。石色も、ベージュで、とっても美しいです。
事前に、いろいろなサイトで、お隣の畑の人がカギを預かっている、という情報を得ておりましたので、きょろきょろしたところ、まさに、畑に農作業中の人を発見。
明らかにお仕事中なので、気が引けましたが、でも、なかなか次はないので、意を決して声をかけました。
喜んで、という様子でもなく、どっちかというと、しゃないなぁ、といういやいや感が見て取れたので、一生懸命話をして、愛想ふりまいて。
なんか、昔、よくヒッチハイクで旅していたイタリア人が、載せてもらったら、とにかく楽しいおしゃべりするのが義務だから、と言っていたのを思い出したりしましたね~。何かをしていただく以上、こちらも何かを提供しなければいけない、ギブアンドテーク。
もともとそういうキャラではないので、結構疲れるんですが、でも、向こうには見返りがあるわけでもないので、つたないスペイン語駆使して、何とか会話に持っていこうと努力はさせていただきました。
暑いよね~、いつもこんなん?あ、やっぱりいつもより暑いんだ、それじゃ野菜も大変だよね~、とかなんとか。
無理やりでも、そうやって会話をつなごうとしていると、やっぱり、「鍵!」と言って無言でいるよりは、相手も和んでくるんじゃないですかね。
じゃぁ、カギ持って行くから、扉の前で待ってろ、と、いやいや感が若干薄れました。
いよいよ入場です。
うわ~!石!この石の量感はすごい!
きれいにされていますが、おそらく地域の石だろうから、修復しても、きっと昔と同じようにできちゃうんだろうなぁ。構造も単純な一身廊トンネルヴォルトだから、シンプルだし。
内部にあった簡単なガイドでは、この教会が、一連のセラブロ様式の教会の中では最大のものであること、セラブロ教会の友の会みたいなグループの存在が記されていました。きっとそういう人たちの努力のおかげで、こうして美しい姿を保っているのでしょうし、カギもきちんと管理されているのだと思います。
単純なだけに、飽きのこない美しさっていうんでしょうか。
こういう場所に来ると、柱頭がどうのレリーフがどうの、ということはすっかり消え去って、とにかく石組みの美しさにうっとりします。
名残惜しいですが、お仕事中のおじさんを、長く引き留めておくわけにはいかないので、かなり短時間の内部滞在となりました。
お礼を言って、改めて、外観を見ることにします。
そこここのディテールに、馬蹄形が認められます。これが、モサラベなのか、ゴートなのか。個人的には後者と思っていますけれどね。ほとんど直感的な。笑。
だって、馬蹄形以外には、モサラベっぽい装飾、ないですもんね。
でも、馬蹄形だけはたっぷり。
扉はどれも。
想像以上に、よい教会でしたので、今後チャンスがあれば、この地域はじっくりと回ってみたいものです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/02/21(火) 06:57:05|
- アラゴン・ロマネスク
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| コメント:4
外観だけと中を見てから帰るのでは、大きな違いですからね?
海外で二度と来る機会もあるかどうか?判らない場合は尚更ですね。
見学出来て良かったですね!
- 2017/02/21(火) 01:04:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
- [ 編集 ]
山下さん、本当にその通りです。
またの機会が、あるかもしれないですが、でも、ない確率の方が高いので、やはりできれば見たいものですよね。
- 2017/02/23(木) 22:35:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]
ご存知かも知れませんが、
「ピレネーの南 Al sur de los Pirineos」
というブログにこの教会群についての記事と写真があります。
ロマネスク様式以前の建築で、イスラム文化の影響を受けた様式
イスラムの建築様式を学んだ人達がルコンキスタの時期に
植民地を広げながら建設して行ったそうです。
40人ぐらいいる「セラブロ友の会」の人達が
手作業で修復しているそうです。
ご存知かも知れませんが、、、ナイス・ポチ!
- 2017/02/26(日) 09:38:00 |
- URL |
- Atsuko #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> Atsukoさん
いつもコメントや情報、ありがとうございます。
そのサイト、ずいぶん前に、ちょっと拝見していましたが、まさかいつかこの土地に行く日が来るとはね。改めて訪問したのですが、ずいぶんと細かく記されていますね。
セラブロ友の会、確かに、現地の説明版もすべて彼らの手により、非常に好感度高い会です。ロマネスクの教会については、そういう友の会的な人たちがケアしているケースが多いように思います。イタリアでもそうです。
様式ですが、諸説あり、いまだ決定的にはなっていないようです。プレロマネスクがたくさん残っているアストゥリアスに行くまで、私も知らなかったのですが、馬蹄形は西ゴート起源なので、話をややこしくしているようです。
起源はどうあれ、セラブロが興味深いのは間違いないですね。
- 2017/02/26(日) 22:55:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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