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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

地下に隠された赤いマリア(ソス・デル・レイ・カトリコ3)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その20

ソス・デル・レイ・カトリコSos del Rey Catolico、教区教会サンテステーバンIglesia Parroquial de San Esteban続きです。




いよいよ本堂内部ですが、実はここ、入場は有料となっています。今でも現役の教会と思いますけれどね、見学は有料。と言っても、確か1ユーロなので、シンボリックな料金です。
午前中の最後に来た時、取りつく島もなく私を追い出したじいさんがいて、私を見るなり、おお!本当に戻ってきたんだな!と嬉しそうに、抱きついてきました。おいおい、いきなりセクハラかよ!

年を取るにつれ、そういう危険は減ってきていると思いますが、それでも、じいさんによるセクハラまがいの対応というのは、実は結構ありますね。一人の場合、いろんなことに気を付けなければならず、うっとうしいことです。

お金を取られるのはいいのですが、しかし、その上撮影禁止、というのは、ちょっとがっかりでした。その上、このセクハラじいさん、べたべたと私の後をついてくるもんだから、隠れて撮影も難しい。
他の見学者がやってきたのを幸い、柱の陰から、ササッと一枚。




内部は、相当きれいになっています。これだけの予算が付いたなら、扉周りももう少し手をかけられなかったのかな、と思ってしまうほど。
背が高くて、立派な構造です。内陣のアーチもよい感じ。




柱頭も面白いのに、かなりの距離から望遠で、これが精いっぱい。
外から見えた窓の一つ。かわいいです。

この内陣は13世紀のもので、それ以外の部分は、そのかなり後に、手が入っているということですが、それでも、柱頭には、中世のものが残っていたと思います。現地で購入した本は、中世美術観点の写真と解説が少なく、不満が残ります。そもそも、フラッシュ禁止なら理解もできますが、今更撮影禁止の意味って、よく分からないんですよね。
あ、イタリアでは、複数の教会で、盗難防止のため、と言われたことがあり、それはある程度納得できますけれど。それでも、すでにインターネットのサイト等に、写真はアップされている以上、個人の撮影を禁止してもねぇ。

さて、この教会、わざわざ引き返してまで訪ねたのは、サンタ・マリア・デ・ぺルドンのクリプタCripta de Santa Maria del Perdonにあるフレスコ画が、どうしても見たかったからです。
本堂から、ちょっと怖いような、小さならせん階段で、降りるようになっています。撮影できず、残念です。




ちょっとボケボケの写真でごめんなさい。隠れてアワアワ撮っているもので~。
クリプタと言っても、かなり大きなスペースで、三つの後陣があります。そのそれぞれに、素晴らしいフレスコ画がなされているのです。

図面で見ると、こういう感じになっています。
ここは、今は位置的に、サンテステーバン教会のクリプタとなりますが、そもそもはサンタ・マリア・デ・ペルドンという教会があり、その上に、サンテステーバンが建てられたことにより、結果的にクリプタになった、ということだと思います。




左にアーモンドのキリスト、真ん中に、マリア、右にはサン・ペドロのフレスコとなっていますが、なんと言っても、真ん中のサンタ・マリアです。




14世紀のもので、私が比較的苦手な時代に入っているのですが、しかし、これは好きでした!フランスの、ポワトー・シャラントのどこぞのクリプタで見たマリアにも通じる、気高いマリアの姿といい、色彩の美しさといい、これは実物を見てこそ!




時代が下った時に出てくる、何かいやらしいような表現がないのです。どっちかと言えば、ビザンチン的な、かわいらしい描写。
これは、奇跡的にピントが合ったアップ。

こういうのを見ると、ルネサンスの芸術家たちが、突然生れ出てきたわけじゃない、と思わされます。こういう、それ以前の作品があった上に、ルネサンスがあるんですよねぇ。




色も、ほとんどオリジナルのものと思います。高度もあり、乾燥している土地ですから、おそらく、保存には適していたのではないかと。

キリストの方。




こっちは、14世紀ね、ふんふん、と思わされる構図であり、描写であり。明らかに手が違います。こっちの人の方が、おそらく当時としては新しいセンスを持っていた人なんだろうな。

しばらくしたら、後続の見学者が降りてきたので、入れ替わりに去ることにしました。静寂の中、マリアに会えて、ラッキーでした。

帰り際、こんなものに気付きました。




8世紀の洗礼盤と説明書きがありました。ここも、歴史が集積している教会ですね。

教会守じいさんは、次々と訪ねてくる見学者の差配で忙しく、セクハラも忘れて、大わらわでした。めでたしめでたし。

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  1. 2017/03/05(日) 23:51:39|
  2. アラゴン・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

ジジィは世界共通で変なのがいますね~(≧∇≦)。
スペインは納得です(≧∇≦)!沢山います(≧∇≦)!
フレスコ画、素敵ですね~チェッカーフラッグ模様というのか市松模様というか、美しいですね。ちゃんとバランスが取れていて。
これ、作られた当時の姿はすごかったんだろうな。
次回はジジィが大わらわなタイミングで行きたいですね(≧∇≦)!
私が行って大わらわにしちゃおうかなあ(≧∇≦)。
撮影禁止が残念でしたが素敵な場所なのは伝わってきます!
  1. 2017/03/05(日) 22:15:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

壁画が良い状態で見れて良かったですね!

聖母の戴冠、、、表情が素敵です!

赤の背景もきいていますね!

イコンでは赤の背景は少ないです。

イコンはルネッサンスの下地になっていますね!
エル・グレコも始めはイコン作家でしたし、、、

ナイス・ポチ!
  1. 2017/03/06(月) 16:22:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> まーたんさん
ほんと、どうしようもないじじいは、どこにでもいます。教会守関係は、意外といるかも。危ない。
でも、それがあっても、昼休みに阻まれても、フレスコ画が見られて、本当によかったです。なかなか二度はいけない土地なので。
  1. 2017/03/08(水) 22:40:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
赤、印象的ですよね。
そうか、イコン作られているから、きっと視点が違うんでしょうね。イコンもルネッサンスの下地になっているのですね。絵画も、もとは、全部宗教画ですもんね。
ここはどうかわからないけれど、ルネサンス期のアーチストは、中世以上に動いているから、どこの何を見てインスピレーションを得たか、と考えるのも、楽しいですね。
  1. 2017/03/08(水) 22:42:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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