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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

埃舞い散る村のレストランで寒さに震える(ウンカスティリョ1)

2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その21

ソス・デル・レイ・カトリコの教会の昼休みを利用して、というか、昼休みのロスを避けるために向かったのは、ウンカスティリョUncastilloという村。




25万分の1の地図ですが、こんな感じ。アラゴンの典型的な荒野、みたいな土地です。地図にある道以外は、普通の車ではいけないような道しかないので、迷いようがない、というのは利点ですが、それにしても、地図上ですら愛想がない土地ですよねぇ。

とはいえ、荒野の中の一本道ではなく、高低差もあり、細かいカーブの続く、どっちかと言えば山道系でした。なので、距離は20キロ強となっていますが、実際にはその倍くらいに感じられ、移動には30分以上かかっています。昼の炎天下の中のドライブですから、快適とは程遠く、これは昼休みでは終わらない話ではないか、いくら修行だからって、と後悔したのを覚えています。

行けども行けども続く同じような風景、同じような曲道…。相当うんざりした先に、目的のウンカスティリョはありました。




着いたときは、確かにここが目的地であるかどうか定かではないし、まるで西部劇の埃っぽい村のようだし、暑さでぼーっとしている上に空腹で、まず何からどうしたらいいのか、とりあえず、路肩に車を置いて、西部劇の埃の道に降り立ち、村の中心らしい遠景を撮影したのでした。
その昔、現地で出くわすまで知らなかったギメラという村が、髣髴とする風景。

この村、苦労してでも来ようと思ったのは、たいした規模の村じゃないはずなのに、中世またはそれ以前起源の教会が、五つもあるからなんです。
正確な場所とかは行けばわかるだろうとは思っていましたが、村に着いてすぐ、その一つを路肩に発見したのにはびっくりでした。




サン・ロレンソ教会Iglesia de San Lorenzo。
教会と言っても、ほとんど破損崩壊していて、一部だけが遺跡のように残されているものです。




ほぼ溶けちゃっているタンパン。
でも、内容はわかりますよね。聖人がグリルされちゃっている図ですよね。殉教の場面だと思うんですが、グリルされちゃう人って、結構いたような気がします。まったく恐ろしい。火の表現が、独特。
クリスモンも含めて、スペース目いっぱいビチビチに物語を詰め込んでいるのが、好きです。怖いけど。崇高な図像よりも、こういった、素朴なわかりやすい図像というのも、田舎の教会には合っているような気がします。
アーキボルトのお団子も好みですが、これは、よく見ると、ホタテ貝というか、お干菓子というか…。

この場所は、古代から神聖な場所っぽくて、ネクロポリ、要は墓所に使われていたようです。今も、教会の基部が残っているので、教会のスタイルは、わかるようです。




今は、構造物としては、おそらく側壁に位置する扉とその周囲の壁だけが残っているということです。
側柱部分も、かなりしっかりと残されています。




溶けていなければ、これはなかなかの彫り物だと思います。
狛犬系も。




扉だけでも、なかなかの満足度でした。特に探すでもなく出会えちゃった嬉しさもありました。

さて、この時点で14時。
村の中心部へ移動して、路肩に車を停め、まずは腹ごしらえです。改めて路肩に駐車して、幸いにも、「ちょうどランチのために帰宅して、やはり路肩に駐車して、村の中心部の家に帰ろうとしている」風のおやじがいたので、食事のできる場所を尋ねました。
一瞬考えこんだおやじ「あそこを左に行って…」と説明し始めたのですが、「いや、ついておいで」、と歩き出しました。




こういう村って、道の見通しが利かないし、入り組んでいるので、口頭での説明って、結構難しい。連れて行った方が早い、とおやじも思ったんでしょう。

途中、右手にバールのような店が見えたので、あ、バールでもいいので、あそこはどうでしょうかと尋ねると、「いや、ごはんはちゃんとレストランで食べない」と、とかなんとか行って、レストランのすぐ近くまで連れていかれました。




住宅地の中のレストラン。これは、教えてもらわないと、絶対にわかりません。
結構広い店内に、先客の1カップルと私だけ。定食は10ユーロで、前菜とメインとデザートと水1.5リットルという安さ。そして、クーラー全開。
幸せを通り越して、前菜を食べ終えるころ、寒さで震えあがって、クーラーを弱めてもらいました。笑。

そして、15時過ぎに、再び修行再開。




すぐに、倒れるのではないか、こんな時間に外にいては危険なのではないか、という殺人的な暑さだったのを覚えています。




しかし、次に向かった教会で、衝撃。一気に修行スイッチが入り、疲れも暑さも吹き飛びました。

続く…。

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  1. 2017/03/09(木) 06:37:35|
  2. アラゴン・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

壊れてしまっている教会でも
残されているだけで感動しますね!
次の教会の鐘塔がなんだか複雑な装飾がついていますね!
積み重られた側面と、軒下も楽しそうな予感がします~~~

ナイス・ポチ!
  1. 2017/03/08(水) 23:17:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
一部でも、これだけ残っていると、感動できますね。門だけ残っているケースが結構多いのは、やはり、アーチ構造が丈夫だからなんでしょうねぇ。遺構に出会う度に、アーチのすごさ、実感する今日この頃です。これを編み出した人は偉いです。

最後の写真の教会は、記事にしたところですが、ご明察で、いろいろ本当にすごいです。苦労して訪ねた甲斐があり、疲れも吹っ飛びました。
  1. 2017/03/09(木) 22:56:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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