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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

2年前はうぶだったんだ、オレ(笑)。(サン・マルティン・デ・ウンクス)

2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その8

オリーテを拠点として、その周辺部にある、知る人ぞ知るマイナーなロマネスクをいくつか回りました。マイナーすぎて、情報が少ない。そして、道がわかりにくい…。というわけで、ナビを使いながらも、かなり苦労した地域でした。

朝一で出かけたのは、サン・マルティン・デ・ウンクスSan Martin de Unx(発音が正しいのかどうか、不明ですが)。
そこそこの町でしたが、うまい具合に路肩に駐車場所を見つけ、通りすがりのおばさんに、教会を尋ねると、そこ、とすぐ後ろを指さされました。




サンタ・マリア・デル・ポプロ教会Iglesia de Santa Maria (Nuestra Senora) del Populo。
残念!これは、見るからに目的の教会ではありませんでした。いや、もっと古いやつで~、と言うと、「それなら、村の一番の高台にあるわよ。あそこには、ロマネスクの素晴らしいクリプタがあるんだけど、でも閉まっているはず。そこの市庁舎で尋ねるといいわよ」と、親切に教えてくれました。

市庁舎は、この教会のはす向かいみたいな場所にあるのですが、扉は閉まっています。「大丈夫、そっちの扉から入ったらいいわよ、二階に事務所があるわよ」と、おばさん、どこまでも親切。ありがたいです、こういう人。
では、と入り込むと、さらにありがたいことに、トイレがありましたので、こっそりお借りしてから、二階に向かいます。
入り口には、受付は10時からとあり、この時点では、まだ10時になっていなかったのですが、見ないふりをして声をかけました。
でも、カギはここにないようで、事務のおじさん、わざわざ席を立って、こっちこっち、と建物を出て、市庁舎の掲示板に記された電話番号を示し、ここに連絡しろ、と。

最近は、人間がどんどん図々しくなってきて、反比例してスペイン語力は衰える一方なのに、平然と電話をしてしまう私ですが、2年前は、まだ日本人的な遠慮もあり、とても電話ではわかるわけがないし、とこの時点で、教会に入る可能性は捨てました。
今思うと、もったいなさすぎる潔さです。

また、先ほどの教会に戻り、示された方向に向かいます。




目的は、サン・マルティン・デ・トゥールズ教会Iglesia de San Martin de Tours。
結構な坂道が続きます。それにしても、いい感じの田舎町。




本当に、村の天辺。
でも、建物全般は、後代の手が思いっきり入っています。もしかして、クリプタしか見どころがないのか、だとしたら、見ないで済ますのはきついな、と思いながら、坂道をえっちらおっちら。

扉口にたどり着いた途端、そういう迷いが吹っ飛びました。




こういうの、たまりませんよね。
扉口が、ナルテックスみたいになっていて、雨風が避けられる構造物により、保存状態も良好なのかも。その構造物も、扉部分も、多くは再建や後代のものですけれどね、それにしても、装飾、なかなかです。




シンプルな石の重なりだけのアーキボルトも好きですが、こういう幾何学系の帯が重なる装飾は、しびれますね~。




こういう組紐系の装飾は、コツを知れば、結構サクサク描けてしまうみたいなんですが(先日、テレビの中世系美術紹介の番組で、こうやると意外と簡単に描ける、というコツをやっていたんです。点を取ってね、それをうまくつなげると、あら不思議、組紐が、ってやつだったんだけど、テレビを見ながらやっていたのに、途中でわからなくなりました、笑)、一見して、複雑さにお手上げって感じです。真似できません。

柱頭のフィギュア系彫り物も、細かいです。




これは、教会が捧げられているサン・マルティンみたいですね。




カタルーニャのムーラという村のサン・マルティ教会で学びました。

でも、これはわかんないな~。




これはどうでしょう。



人物がこん棒のようなものを持ち、左手では、しっぽのあるフィギュアを捕まえているので、悪魔退治の図なのかなぁ。




右手の方には、鳥のようなフィギュアが。謎です。

後陣の方には、おなじみの軒持ち送りが並んでいます。




どの教会でも、一つとして同じものがないんだから、すごいですよね。モチーフは似通っているけれど、石工さんそれぞれが個性的で。




好みは、やっぱりこういう、ちょっと見る人を小ばかにしているようなタイプかな。




扉口に、オープンは、土・日・祝日のみ、とありましたので、おそらく電話しても無理、と改めて、クリプタはあきらめて、このまま、教会を後にしました。実は、帰り、空港へと向かう道の途中で、立ち寄るという選択肢があったのですが、残念ながら道を間違えて、立ち寄るどころではなかったんです。寄れれば、時間的にもちょうどよくて、完璧だったんですが、まぁ、あちこちに少しずつ見残しを置いとくと、将来的な楽しみにもなるので、これで良し。




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  1. 2017/03/29(水) 06:25:47|
  2. ナヴァッラ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

マイナーな遺跡への道筋は「ドキドキ感!」在りますよね?

こんな所に在ったのか!
と言う様な、雑誌て見た巨石やストーンサークルに出会った事も有りました。

英語が出来ないので・・・・・
地図に載って居る「古代遺跡マーク」を頼りに訪れた遺跡が多い所為かも知れませんが、素敵な遺跡に出会った時は、疲れも吹っ飛びますよね?

しみじみ来て良かった!と感じた物でした。

この教会も素敵な出会いでしたね!
  1. 2017/03/28(火) 23:48:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 山下亭さん
行きは本当にドキドキします。とにかく無事たどり着けると、それだけで大きな成功っていう感じもありますよね。ロマネスクは、遺跡と似たようなところがあると思います。
疲れが吹っ飛ぶ、というのも、本当にそうですね。残念ながら、逆のこともあるんですけどね。
この辺りは、そのパターンにも出会いました。後日記事にします。
  1. 2017/04/01(土) 23:32:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

軒送りがいろいろで面白いですね!

悪魔退治は聖女マリナが、かな槌を持っているのを
知っていますが、この像は女性ではないので
別のお話ですね!
聖マルタンは自分のマントを困っている人にあげている
お話が名高いですね!

ナイス・ポチ!
  1. 2017/04/03(月) 13:15:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
さすが、お詳しいですね!私は聖人のエピソードなどは全然知識がなくて、聖マルタンのことを知るまでは、そういうことって、考えが及ばなかったくらいです。
マルタンさんのエピソードは、印象的なのか、描きやすいためか、彼にささげられた教会では、多く、そのエピソードがあらわされています。自分のマントを上げるって、字面にすると、さほどたいしたエピソードとも思えないんですけれど。なんていうと、マルタンの罰に当たるかな。
  1. 2017/04/03(月) 20:28:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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