終わったしまった展覧会の話って、ちょっと寂しい気もするので、フオリサローネとも紐づいているものの、5月半ばまで継続中の展覧会というか、イベントというか、ちょっと紹介しておこうと思います。
といっても、ブログ読者様のほとんどは、日本からアクセスされていると思うので、だから行こう、ってことにもならないとは思いますけれど~笑。
Senso 80-Flavio Favelli
Albergo Diurno Venezia - Piazza Obedan, Milano
ここは、展覧会云々よりなにより、会場となっているAlbergo Diurnoに興味があったのです。確か、昨年も、フオリサローネの期間にオープンしていたのですが、ずいぶん後から気付き、写真を見て、悔しい思いをしました。
Albergo Diurnoとは、何ぞや、というと、直訳すればデイ・ホテル。お休憩どころ、とでもいったところでしょうか。
トップの写真でわかる通り、地下鉄の駅からアクセスできるようになっています。地上に向かう階段の途中に、入り口があるのです。
ポルタ・ベネチアという住所から「ベネチア休憩所」という名称になっています。
要は、シャワー、お風呂、そして、床屋さんやマニキュアなど、身だしなみが出来る施設なのです。おそらく男性専用だったと思われるのですが。
1920年代にできた施設で、当時は、自宅に浴室のない家が多かったこと、また、ミラノに到着した旅行者が、旅の疲れや汚れを洗い流して(機関車の炭の汚れとか)、すぐ用事に迎えるように、という目的があったそうです。一方で、すぐ近所に、遊郭というか、娼窟というか、そういう場所(Via Tadini)があったことも理由というか、関連があったと。そういうところでも、おそらく浴室なんてなかったんでしょうねぇ。
1980年代まで営業していたということですが、まず、浴室部分が閉ざされました。しかし、入り口近くにある床屋さんは、なんと2006年、約10年前まで営業していたのだそうです。このレトロな雰囲気の中で。
作られた時代の流行、アールデコを取り入れて、全体に、ディテールがオシャレなんです。
タイルとか、ギザギザした装飾。流し台とかも、今にも通じる感じ。というか、レトロ感が、逆に、新しい感じです。
1980年代に、閉鎖される前の値段表。
リラ。ユーロが導入されて、早くもひと昔以上が立つのですね。今、欧州に来る若い世代は、リラやマルクやフランがあったことすら、知らないのだと思うと、感無量というか、一抹の寂しさを感じるとともに、そういう時代を知っているのと、知らないのでは、肌で感じるEUの意味というのも、間違いなく違うのであろうなぁ、と外国人の私でも思います。
1ユーロが、確か1938リラだったのではないかと。うわ~、自分でもびっくり、いまだに覚えているんだな~。トイレ500リラ、シャワー3500リラ、シンプルなバス4100リラ、シャワー付きのバス4900リラ、豪華なバス4700リラ、子供用バス3200リラとあります。
その他、タオル料金、アイロンサービス、ペディキュア、マニキュア、そして、床屋さんのリストが並んでいます。子供料金があるということは、女性も利用はできたんですかね。
浴室ゾーンへの入り口。1925年とモザイクがありますね。
浴室が並んでいます。日本の銭湯をイメージすると、とんでもない違いです。
個室がずらりと並んでいます。
こちらでは、身づくろいをする浴室というものは、完全に個人の世界で、家族ですら、それぞれ別の浴室を使ったりするし、親子ですら、一緒にお湯につかるなんて、文化としてはないはず。テルマエ・ロマエの文化というのは、生活レベルでは全く引き継がれることがなかったのですね。
各部屋、トイレ設備と浴槽がついています。内装は、それぞれ異なり、結構凝ったタイル装飾です。
当時も、暗い感じではなかったかと思います。
この上は、人々が行きかう広場ですが、明り取り用のぼこぼこがくりぬかれていて、ところどころ、自然光が入るようになっていますけれど。
手前の方で、丸い穴状のが、明り取りです。
そういえば、この広場、ずいぶん前に整備されましたが、なぜ、一段上がっているのか気になっていましたが、この施設のせいだったのですね。
入り口には、国鉄の代理店と、ミラノ市内交通の代理店が並んでいました。
同じような施設が、ドゥオモの地下にもあったそうです。また、イタリア内では、ボローニャやローマ、外国でもロンドンなどにあったといいます。
今でも、シャワールームがある駅がありますよね、確か。
そういう意味では、日本人はやはり清潔好きなんですね。気候風土の違いもあるでしょうが、日本全国どこに行っても、路上生活していても、お風呂は入れるわけですよね、理論的に。
あ、ちなみに、展覧会は、このスペースの真ん中に置かれた家具風のオブジェクトでした。
タイトルからして、80年代の作品を、この会場を得て、レストアしたとかそういうところだったと思います。なんか芸術的実用家具って感じで、ほしいと思わせるものばかりでした。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/04/23(日) 19:31:06|
- ミラノ・フオリサローネ
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> 古道具屋<山下亭>さん
レトロ感覚っていいですよね。昔は、なんでいろんなものが、あれだけオシャレにできたんだろう、と思います。人々の生きざまもオシャレだし。
- 2017/04/25(火) 16:07:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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