2015.07.スペインの旅、ナヴァラNavarra編、その15
ガリノアインGarinoainで、予想外に素敵な教会に出会い、ちょっといい気になりすぎたか、この後、大失敗しました。 かなり近くの村を目指したのですが、到着してみると、どうも、何か変。
丘の上にあって、一見すると雰囲気はあるんですが、近寄ると、絶対違う! 幸い、説明版があったことで、自分の大失敗に気付きました。
また、地域の地図を貼りますが、目指していたのは、ガリノアインからもほど近いサンソマインSansomainという村だったのに、結構南の方にあるサンソアインSansoainという村に行ってしまったんです。 というわけで、冒頭の写真は、サンソアインの、アスンシオン教会Iglesia de la Asuncionで、確かに中世創建の教会であることには違いないのですが、創建がすでに13世紀と遅いうえに、後世の変更も激しくて、ロマネスクを求めて訪ねるべき場所では、まったくないのです。ふぅ。
そもそも、目指していたサンソアインも、気になるクリスモンがありそう、というだけの目的だったのに、近いし、通り道だから、というだけだったのに、ここは距離もあったし、道も細いぐるぐる道の連続だったんで、途中で気づけよ、あきらめろよ、という話なんですけれど、これが悲しいかな、方向音痴の性というか、ナビを信用しちゃうんですよねぇ、かなりどこまでも。
それにしても不思議だったのは、教会のわきに四つ星ホテルがあって、カフェが開いていたこと。おかげで、トイレ休憩もできたし、こういうロケーションだったせいで、帰り道に、子ぎつねを見かけて、ちょっと嬉しくなったり。ポジティブ・シンキング的な、こじ付け的な。終わりよければ、的な。
本当のところはわかりませんが、クリスモンだけのために、再びサンソマインを目指す気にもならず、気持ちを切り替えて、オリソアインOrisoainへ。
わかります?このアイン攻め。これじゃ間違えるよ、と思いましたよ。
今度は無事到着。
オリソアインOrisoain、サン・マルティン教会Iglesia de San Martin。 ここは、幸いなことに、楽しい教会でした。
この扉口! 遠目にも、大いに期待できます。
下の方が、かなり崩壊しちゃっている側柱にも味わいがありますよね、危ないけど。
タンパンには、相当浅彫りのクリスモン。
四角い穴は、当然後代に開けられたものでしょうが、何がはめ込まれていたんだか。クリスモンを削り取ってしまうというのも、大胆ですね。 それにしても、サンソマインで見られなかったけど、ここで見られてよかった。とあくまで前向き。
タンパンを取り巻くアーキボルトの間に、無数の顔が。
なんか、とっても素朴で、純粋な感じのお顔が多くって。モデルさんは、もしかして村人だったりするのかも、と思いました。 朝浮彫の植物文様も、かわいらしいです。
角っこにあったであろう頭部が損壊しているのが残念な柱頭。
お団子状のお花とか、市松文様とか、全体に、シンプルだけどかわいい、ロマネスクの基本、みたいなアイテムがちりばめられていて、地域の石工さんのセンスっていうか、ハイレベルな彫りはできないなりに、自分の技量を最大限に使った装飾だなぁ、と思います。
反対側の柱頭は、ちょっと凝った植物モチーフ。そして、扉口に向かった部分に、またお団子上の装飾。
これは、面白いし、独特ですよね。 向かい側も同じですが、こっちの写真だと、正面側にも、このお団子が続いているのが、よくわかります。
扉の上に置かれた軒持ち送りは、鉋屑っぽいですよ。フランスに多い例のやつ。
で、軒持ち送りの間に、細かく彫りがされているんだけど、これは、写真を見て気付いたくらい、わかりにくい小ささと摩耗ぶりでした。 ちょっと拡大してみます。
軒持ち送りは、他の場所に面白いものが並んでいます。 超地味な後塵ですが、スペインには軒持ち送りという楽しみがあるから、看過できないですね。
酒樽背負ってにっこり。
にっこりぶりと、洋服の模様がやけに細かいのが、印象的です。 そして、にっこりペア!
なんだろ、石工さん、この縞々、技術として使いたくて仕方なかったんでしょうか。それにしても、表情の彫が、素晴らしいです。
ほら、変な組体操状態のペアも、同じです。
おそらく巡礼の着物を、こういうひだひだで表しているんでしょうね?巡礼の人たちだと思います。
例によって、素っ頓狂な動物もたくさんいます。
なんか、すっきりした彫りの石工さんだと思います。
今に通じるデザイン性というか。ロマネスクのこういうフィギュアは、全般にそういうテイストありますけれどね。
ちなみに、村には人っ子一人おらず、といういつものパターンで、カギを探す気力はなく、中には入れず仕舞いです。 というわけで、がっかりしたり喜んだり。修行が続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2017/05/08(月) 02:17:18 |
ナヴァッラ・ロマネスク
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| コメント:4
やっぱりスペインの田舎、いいですね。こういう素朴な可笑しみはスペインならでは。樽を背負ったようなバンザイ男、かわいい。ところで体全体が縞々で被われているのって私はキンターニャ・デ・ラス・ビーニャスを思い出しました。あちらの方が精巧ですかれど。
2017/05/08(月) 01:42:00 |
URL |
yk #79D/WHSg
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> 古道具屋<山下亭>さん
日本は、有休がとれないから、祝日に集中するのが問題ですよね。通勤も、お休みのときの移動も大変で、ご苦労様、と思います。ほんと、騒動ですよね。それでも、やはり出かけないと、と思うんだから、頭が下がるっていうか、もはや、日本では生活できないな~。
2017/05/09(火) 21:24:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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> ykさん
そういえばキンターニャのひだひだはすごいですね。チヴィダーレもすごいんで、ロンゴバルドかゴートかっていうとこでしょうか。あちらには、表現や技術として、なんか大きな流れを感じますが、ここのは、個々の石工さんの傾向って感じがしてます。すごくローカルな感じっていうか、笑。
2017/05/09(火) 21:26:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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