現代美術の祭典ビエンナーレは、二年に一回、開催で、ときどき、思い立ったように出かけていて、今回で、3,4回目になるのかな。中世美術にはまっているわりに、実は現代美術もかなり好きなのです。とは言え、専門的に見ているわけでもなく、そんなに知識があるわけではないのですが、ベネチア・ビエンナーレは、すでに世間で認められている作家の作品中心なので、結構分かりやすいし、背景には運河の美しい風景が広がるし、容れ物も歴史的建造物を使っていたりして、いかにもイタリアっぽかったりするのが楽しい展覧会で、それで結構いってしまう傾向にあります。
前回の訪問は、4年前。なんかちょっとつまんないなぁ、と思った記憶があるのです。というのも、ビデオ・アート全盛の時代で、それに意義を見出せないわたしとしては、腑に落ちないというのか、納得できないというのか。そして今回。ビデオ・アートの時代はどうやら終わったらしい!勿論ゼロではないですが、数は4年前に比べると格段に少なく、また内容は、ちょっとひねった感じのものも多くて、ただフィルムを回す、というのは少なかったような。やはりあれは一過性のものだったのですね。というか、一応やるべきことはやりつくされちゃったということなのかな。
今回は、かなり正統的なインスタレーション系が多くて、おお、回帰してる?みたいな分かりやすさがありました。
ビエンナーレの会場は、メインが二つ、各国のパビリオンが並ぶGiardini(庭)と、個人作品が並ぶArsenale(元造船所)。その外、ジャルディーニにパビリオンを持たない国が、町のあちこちの建物を借りたり、公道や海に、作品を並べている展示、また個人の作家の企画展が、数え切れないほどで、町中が、現代アートしています。
二年に一回とは言え、開催期間は半年もあるので、ほとんど毎年やっているようなもので、それが今年で66回目、というのはすごいことです。単純計算で132年続いているわけですから。132年前の現代アートは、つまり今では近代アート?なんかすごいです。イタリアのすごさは、多分こういうところにあるんだと思ったりします。
サイトにまとめようかな、とも思うのですが、例によっていつになるか分からないので、時事性も高いことだし、こちらで紹介していこうかな。
まずはビエンナーレのメイン会場で、各国パビリオンが並ぶジャルディーニ。
メイン・ゲートを入ってすぐ、こんなものが。大抵いつも、何かしら置いてある場所。漢字のネオンが中にあるので、中国人か台湾人かのアーティストの作品と思います。椅子がみんなかわいらしいのでした。
スイス館。壁に絵が描かれています。今回、モチーフとして、こういう部屋らしい作品が多かったのは偶然なのか、トレンドなのか。
ロシア館のこれは、多分樹脂製で、それぞれの玉の中に、小さな写真が埋め込まれていました。内容は不明。タイトルも不明。暗闇の中で照明が効果的で、とても美しい作品でした。
これもいかにもありがちな現代アート。ビニール布の巨大な作品です。結構好きでした。分かりやすいし。ディテールがかわいいんですよ。
こちらは北欧館。これまた部屋がテーマになっていました。でもこのパビリオンでは、いつもスペースの真ん中に、天井を突き破ってすっくりと建っている三本の樹木に注目してしまいます。おそらくパビリオンが出来た当時は、ほんの小さな木だったのではないでしょうか。それが意外に育ってしまって、でもなんせ北欧館ですからね、切るわけにも行かず、で、屋根を一部はずしたのだと思われます。
さて、日本館です。
Yanagi Miwaさんという作家の方の作品で、女性の変形ヌードの巨大写真。大きさ的な迫力はあったのですが、写真って、造形がごろごろしている環境で見ると、インパクトが弱いです。出展前、NHKかなんかで製作過程のドキュメンタリーがあったそうで、同行者たちはとても楽しみにしていましたが、製作過程はとても面白かったけど、実物は?だったということでした。
これまで見学した中で、日本館にインパクトがあったことはなく、残念な気がします。世界中で評価されている日本の現代アーティストは結構多いと思うのですが、なぜかベネチア・ビエンナーレでは、だめですね。選出委員会に問題があるのかな、と思ったり。
ドイツ館。
なんじゃ、これは。台所家具の形を白木で作って、会場中に並んでいます。ううん。わからん。猫がいます。ウウム。どうしろと。
フランス館。
スペース中に鉄格子。部屋モチーフと言えないこともない。照明と銀色と黒で、美しかったですけど、で?という気持ちになっちゃいますね。
総合テーマがFARE MONDI = MAKING WORLDS =製造世界ということなので、それがベースになっているのかな。でもねぇ、部屋を作るんじゃ、小さすぎますよね?
エジプト館。
かわいい!
葦みたいな植物で、いろいろなフィギュアが編まれていて、ここは好きでした。
重くなっちゃうので、続きは次回。
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- 2009/09/20(日) 00:24:36|
- アートの旅
-
| トラックバック:0
-
| コメント:6
はじめまして。
現代美術っていろいろあって、家具とか人形のような具象的なものはともかく、抽象的な作品はどう鑑賞するのか難しいですね。
- 2009/09/21(月) 17:52:00 |
- URL |
- stt**ru #79D/WHSg
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せいんとさん、訪問ありがとう。
個人的には、現代美術は、過去の美術に比べて、より、単純に、面白いか面白くないか、好きか嫌いか、そんな軽い感覚で見ればいいんじゃないかと思っています。ときどきそれに加えて、これを家に飾りたいかどうか。
そういう観点から言うと、エジプト館の編み編み猫は、一体抱えて帰ってきたかったですね~、かわいくて。
- 2009/09/21(月) 22:05:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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やなぎみわさん、京都のアートスペース虹で、よく拝見していました
此処まで来られたんだ・・・という気持ちがあります。
虹は、小さいけれど素敵なマダムの心意気で存在している画廊です
…余談でした
ありがとうございます
建築家の石上純也さんが出品された年でしょうか
昔新進気鋭の作家さんが、今や超売れっ子(例えば塩田千春さんとか)になっていてとても楽しみですが、インパクトって大切ですよね・・・・
日本では凱旋されても本当の人気はわかりませんから興味深いです
- 2016/03/29(火) 06:32:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
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> poetryfish9さん
コメント有難うございます。
おかげさまで古い記事を読み直して、えらそーなこと書いてるな、オレ、とちょっとあきれています、笑。
やなぎみわさん、昔からご存知なのですね。わたしは、アートでも建築でも、ほとんどイタリアで出会っているという情けない有様で。
石上純也さんは、この翌年の建築ビエンナーレで賞を採られた方ですね(美術とアートが隔年です)。妹島さんが総合ディレクターをされた年で、あれから建築ビエンナーレにも行くようになったアート的な年でした。でも、石上さんの作品は、すぐに壊れちゃって、よくわからないものだったんですよ。
- 2016/03/31(木) 21:01:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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おはようございます
そうでしょうね、石上さんの作品は、豊田市美術館で拝見していましたが、くしゃみでも飛びそうな儚げな作品がありました
臨場感のあるコメントありがとうございます
楽しめました
- 2016/03/31(木) 23:59:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
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> poetryfish9さん
思わず、自分のブログ振り返りしちゃいました。アートの旅の、かなり古い記事に遡って、2010年のベネチアビエンナーレの2の記事に、ありました。
http://blogs.yahoo.co.jp/notaitalia/33282253.html?type=folderlistあのときの建築ビエンナーレは、アート色が強くて、本当に面白かったです。
- 2016/04/02(土) 14:20:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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