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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ファミリー・ツリー自慢。いいけどね。

春のグラッパ合宿、東部編、その2

先に進みます。
前回訪ねた、トレントの北部メッツォコローナMezzocoronaを、さらに北上する道なりに、いくつかの目的地があります。




まずは、こちら。




ヴィッラ・デ・ヴァルダ蒸留所Distilleria Villa de Varda。
Via Rotaliana 27/A, Mezzolombardo (TN)

運送トラックと同じように、工場の配送口にアクセスするような入り口から入りますので、ここは、販売所がないのではないか、といぶかしみつつ、建物をくぐってみると、あらびっくり。




中庭に面して、外装ピカピカのオシャレ空間が広がりました。

立派な扉に圧倒されつつ、訪問を告げると、意外と気さくな感じで、販売スペースに招き入れてくださいました。




登場したオーナーさん、「製造所を見ますか」といううれしいご招待をしてくださいましたので、もちろん我々に否やはありません。早速、ガイド・ツアー状態となりました。




蒸留用の機器は、銅がメインで、どの蒸留所で見ても、フォルムといい、コンビネーションといい、それだけで、現代的工場のイメージとともに、一種のレトロ感があって、大好きです。
銅を使うのは、熱伝導の具合などが、ちょうどよろしいとか、そういう実際的な理由があるようですが、銅って、本当に何とも言えない味わいがありますね。




古い機器につけられたこういうメーカーさんのプレートすら、味わい深いです。ミラノの北部にあるレニャーノの会社さんのようですが、今でもあるんですかねぇ。

熱心に説明くださるご当主は、お名前、マウロさんでしたかね?ちょっと失念しました。
1トンものブドウかすからできるグラッパは12リットルとか、水の重要さとか、基本的なことから、我々が初めて聞くことまで、いろいろと教えてくださいました。

8回も合宿をやっていると、それなりに知識も残っていくものですが、今回初めて伺った工程がありました。




ブドウの搾りかすを使うため、ブドウの種から油が出てしまうので、それを除去する器械なんだそうです。原液を、この器械でマイナス15度まで下げて、固まった油だけを除去するということでした。

イタリアでは見たことがないのですが、日本ではブドウの種のオイルを売っていますね。だから、油が取れることは知っていましたが、しかし、これまで、このような工程を見たことはありませんでした。気が付かなかっただけで、どこでも実施しているのか、または一部でだけ実施しているのか、不明です。今後、気を付けたいと思います。

一通り製造工程を見学した後、いざなわれたのが、こちらのスペース。




建物のかなりのスペースを割いて、地域の農業関連の道具や、自家の蒸留酒など、歴史的な博物館となっています。
ピエモンテで二度ほど訪ねたバレストリーノさんのところに、同じようなコンセプトの私設博物館がありましたが、こちらのものは、より洗練されていると言えましょう。扉口に、MuseoTrentino.itとありましたので、一応トレント地域の博物館として、認識もされているのだと思われます。


農機具や写真など、所狭しと並べられているのは、まさにバレストリーノさんち状態。




一角に、過去の蒸留酒が並べられています。お父さん、お爺さん、ひいお爺さんくらいまで、あったかな。




なんか、この辺りから、自分の家系についてのお話が始まり、代々反映した裕福なお家だったらしい様子がわかります。いわゆる地域の領主様的な。蒸留酒作りは五代前ほどだけど、家系自体は15世紀だか16世紀だかまで遡れるとか、云々。
こうなってくると、だんだんとうざったくなってきます、あ、すみません~。

でも、面白かったんですよ。例えば、この何百年も前の蒸留器(1500年代のものらしいです)。




そりゃ、使え、と言われれば使える代物なんでしょうが、今更使うわけないだろう、といったようなもの。それでも、酒税管理する税務当局が、ちゃんと針金で封印しているとか。右側のとってから上につながった銅線が見えるでしょうか。

過去の蒸留酒が並べられた棚の下部は、ガラス張りになっているが、それは、過去に団体でやってきたスイス人が、貴重な1本を盗んでいったからだ、とか。
スイス人、というところが肝ですよね。物価が全然違っていて、清掃労働者ですら、月給が2000ユーロ(イタリアだと、ミラノですが半分かそれ以下だと思われます)とか言われているスイス人が、そんなみみっちいことをやるというのは、謎な感じです。

この一角に、リゼルバの樽が眠っていました。




ここで驚かされたのは、「我々は、新しい樽しか使わない」ということ。実際、ぱっと見、すべてが白木も清々しい、見るからに新しい樽ばかりが並んでいたので、尋ねたわけですが。樽は貴重品ですし、高価ですから、この時点で、お値段高いんだろうな、と想像しました。
一方で、使いまわしの樽によって、面白い風味をつけていくという流れもある中で、不思議な感じもしました。ご当主は、木の香ばかりが出るのが嫌だから、ということでしたが、逆のような気もしました。
ただ同時に、一度使った樽は、品質的にはほぼ新品同様ながら、一度使ったことによる味わいが出るため、もしかすると新品以上の値段で転売できるのでは?という疑惑も持ちました。いや、疑惑というのは変ですね、戦略、かな。

やれやれ、やっと試飲かと思いきや、最後に魅せられたのが、ファミリー・ツリー。




1500年代からの家系図です。はいはい。一番天辺に、自分と、その子供たちの名前が書きこまれていると。はいはい。

で、やーっと、最初のスペースに戻って試飲、となったんですが、全然積極的に勧めてくれないんですよね。何が試したいか?という感じで、こっちに投げてくる。そういうのって、すごくやりにくいんですよ。

結局2、3種類試して、いただいたのは、このリゼルバ1本。




ビアンコと、お値段がほとんど変わらなかったので、それなら、と思ったのです。正直いらない、と思ったのですが、あれだけ見学をさせていただくと、買わないという選択肢は取りにくく。

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  1. 2017/06/25(日) 23:41:24|
  2. グラッパ
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  4. | コメント:2
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コメント

No title

博物館的な昔の道具の展示室は興味をそそられました。

矢張り、醸造が出来ると言うのは裕福な経済力があったのですね?
  1. 2017/06/26(月) 00:04:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 古代遺跡めぐり<山下亭>さん
た、確かにこの、昔の生活用品山積み系は、山下さん、お好きだと思います~。私も、あめ色になった木製の背負子とか、すっごく好きで、骨董市というか、がらくた市みたいので見ると、ついスリスリ触ってしまうタイプなんですけどね。でも、我が家は狭くて、そういうものを置けるスペースがないので、購入できません。

こういう商売をしている家は、やはり金持ちみたいです。時々、すごくスノッブな感じの生産者さんもいるわけです。笑。
  1. 2017/06/28(水) 21:11:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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