春のグラッパ合宿、東部編、その5
おなじみのUnterthurner蒸留所で楽しいひと時を過ごした後、メラノの町の反対側を北上したところにある蒸留所を訪ねることとしました。
宿泊したホテルが大変親切で、到着時に、地域の観光情報が網羅されている小冊子をくださいました。やはりアルトアディジェは、言葉のみならず、カルチャーがイタリアというよりはドイツ的なので、いろんなところが大変システマティックなんですよね。そういう情報誌って、イタリア圏だと、めったにないし、あっても、ホテルで配ったりはしないもんです。
で、山なので夕食も早くて、夜が暇だったので、結構熟読しちゃった結果、蒸留所も数軒掲載されていることを発見していたのです。
ネット検索して、週末でも開いていそうなところを訪ねることとしたということです。
Distilleria Wezl
Jaufenstrasse 27、Riffian
なんと、町中にあるバール兼業の蒸留所でした。
バールの入り口を入ると、奥まった一角がグラッパに向けられたスペースでした。
ほっそりした容量の少ないボトルばかりで、なんだか繊細でかわいらしい雰囲気でいっぱいなんですが、歓待してくれたオーナーさんは、そのイメージと正反対で、それが何とも面白い蒸留所です。
元DJというだけあって、なんだかそういう雰囲気満載の方。ちょっととっつきにくそうな雰囲気があったのですが、話だしたら止まらないし、楽しい方でした。
片隅には、いかにも元DJ、みたいな、古いレコードが積まれていました。
それも私が大好きなトム・ウェイツの若かりし頃のアルバムが見えたので、途端に親近感でいっぱいになっちゃいましたとさ、笑。トム、若かったなぁ。
グラッパは、とにかく種類が多い!ビアンコから始めて、リゼルバ、そして果物系、とかなり味見をしました。
なんせ、バール兼業なので、お客さんがひっきりなしにやってくる。オーナーさん、奥さんに呼ばれてバールスペースへ行く。我々には、「手酌でどんどんやってて」と言いのこし。自ら注いでくれる試飲グラスはタプタプナミナミだし。
それでいて、グラッパは、ちゃんとすごくちゃんと作っている感じで、おいしいんです。思い入れもいろいろあるようで、特に、ほぉーと思ったのが、リンゴの蒸留酒でした。
スタークとか、ガラとか、いろんなリンゴで試して、デリシャスはすぐ香りが飛ぶから難しいし、リゼルバするとやはり香りがなくなるし、と、リンゴの蘊蓄は初めて聞きました。
アルトアディジェは、イタリア一のリンゴの産地で、日本出身のフジなど、新規導入のリンゴは、必ずこの地域で作られています。最近も、新しい品種がどんどん出てきて、イタリアのリンゴも、昔に比べると、本当においしくなってきています。
だから、蒸留酒でも、まずはリンゴだろう、と思うのが素人の浅はかさ?
リンゴは、おいしいのが本当に少ない、ということは、以前も書いたと思いますが、本当に少ないのです。つまり、難しいんだ、ということが、今回初めて、語られた、というわけなんです。
語るだけあって、ここのリンゴは、香り高くて、今までで一番おいしかったかも。もちろん、試飲だけでは、わからないんですけれどね。
本当にいろいろ試して、結果、2本購入。
もっとほしかったんですが、高いんですよ。それも、たったの30ミリリットルという、お土産用に毛の生えたようなサイズなのに。
印象としては、ほぼ道楽でやっているのではないか、と。売れなくても、生活の糧はバールの方で得られるだろうし、趣味というか、伝統だし設備もあるし、おいしいグラッパを作り続けなければいけない、という使命感みたいなもので作っているっていうか、そういう感じの方でした。
果実系がほしいということで、大手だけどピルケルと違って、良心的においしいものも作っているし、試飲も存分にさせてくれる生産者さん二軒も訪ねたのですが、どちらも、土曜の午後はクローズでした。
Psennerもリンゴのおいしいのがあって、以前買ったリゼルバを、また買いたかったんだけどね~。残念。スーパーでも売っているような大手ブランドですが、その、大変おいしいリンゴのリゼルバなどは、ここらへんでしか入手できないと思います。
すぐご近所にある、やはり大手のRonerもクローズ。
でも、どちらもきちんとオープン時間を掲げているのは、良心的です。でもでも、大手なんだし、土曜日も一日中やってくれてもいいのにな~!クスン。
大手と言えば、今回の合宿で、最後に立ち寄った蒸留所は、すごかったです。
Distilleria Marzadro SpA
Via Per Brancolino 10, Nogaredo (TN)
場所的には、もうアルトアディジェではなく、かなり南に下ってきた、トレント圏となります。
広大な土地に、近代的な建物で、大型バスが何台も駐車できる大きな駐車場完備。
訪ねた時も、団体さんが数組いました。ガイドツアーも実施しているようでした。
団体さんがなかなかはけなかったのですが、何とか試飲もさせていただきました。
てきぱきした型が、てきぱきとおすすめを飲ませてくれて、さすがに客慣れしている感じ。家庭的な蒸留所で、時間を気にせず、おしゃべりしちゃうような、そういうものとは全く違いますが、でもピルケルに比べれば、かなりナイスな接客と言えましょう。
ここは、デイリーに向くレベルのおいしいものを良心的な価格で大量生産している上に、それなりに意欲的な挑戦もしている様子なので、好感度もオウケイです。
この、左側のAnforaというのは、なんと、古代にお酒を入れる容器として使われたアンフォラで熟成させてみた、という変わり種。土器ですからね。味のわかる人には、テロワール的なものが感じられるとか。私には無理でした~。
大量生産で、とりあえず稼いで、面白いものにも挑戦する、というのは企業としても正しいですよね。
ここでは、デイリー向けに、どっちかというと、大量生産的なものをゲットしてきました。
試飲して、味はおいしいし、年と言っても、コスパ、めちゃくちゃいいです。右のリゼルバなど、13.70ユーロですから。
というわけで、今回の合宿、終了です。
おまけとして、食や地域観光の記録など、別記事にまとめたいと思います。
次のグラッパ合宿は、すでに日程が決定済みで、10月にピエモンテです。グラッパ好きの方、乞うご期待(いないかもね)。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト
- 2017/06/30(金) 06:49:04|
- グラッパ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
> 古道具屋<山下亭>さん
さっすが!目の付け所が違いますね!
言われてみれば、お手製感、満載ですね。それも、かわいい。これは、作りたくなりますね。私には無理ですが。
出来たら、どうぞ、ブログで紹介してくださいね~!
- 2017/06/30(金) 21:31:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]