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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

激しく継ぎ足しの柱が、古を髣髴させるけれど(トリシオ)

2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その3

ナヴァッレーテに力を得て、ホテルに向かう前に、もう一つ寄り道する元気が出ました。
向かったのは、トリシオTricioという村。
しかし、村に入り込んだものの、ここでも目的地の場所はさっぱりわかりませんでした。Ermita、つまり隠遁所という性質の建造物である以上、町の中にはおそらくないはず。とりあえず、車を停めたちょうどその場所に、なんと町と周辺の地図が!

向かうべき方向を記憶して、いざ。

たどり着いた草原。そこに、真っ白な建物が。




まるで、スイスかドイツの山に中にある教会の真っ白さですよね。
これは間違っているかと一瞬思ったのですが、ちゃんと立派なプレートがあり、目的の教会の名前が記されていました。




ロス・アルコスの聖母またはサンタ・マリア隠遁所Ermita de le Virgen de los ArcosまたはErmita de Santa Maria de los Arcos。

これは、2008年7月に修復が行われたことを記念したプレートのようです。1%というのが何かはわかりませんが、例えば税金の一部を文化に向けるプロジェクトみたいなものに基づいているとか、そういうことかも。
要するに、結構最近に、外観の修復がされたようなんです。
そういえば、町の地図に出ていた写真は、もっと教会っぽい姿でした。




ガラスが反射して醜いですが、あまりそそられないながらも、教会の姿ですよね。
それが、相当傷んでしまって、真っ白ぬりにされちゃったということなのかな。

ファサードは、そのまま。




幸い、扉の所に金網の窓があり、そこから中をのぞけました。相当背伸びが必要でしたけれど。
ここは、フレスコ画があるという情報を得ていたので、必死で背伸びです。

まず、立派な柱が見えました。




以下にも、ローマ遺跡などからの転用柱ですよね。それも、継ぎ足し感がすごいです。
いかにも地震の起こらない土地の構造です。




網が結構細かくて、レンズだけも入らないため、大変難しい撮影でした。
全体はこういう感じ。残念ながら古い時代の雰囲気は、後代の手によって、かなり損なわれているようですね。




正面に、少しだけ、フレスコ画を認めることができました。




13世紀のものらしく、おそらく私の好みではなさそうですが。
いや、ガイド本には、別の絵が出ていて、それはいかにも14世紀ごろ風でしたが、こちらは、また手も時代も違うように感じられます。近くから見たかったものです。




それにしても、教育的なプログラムでもあるのか、この建物以外、何も見当たらないのに、すっごく立派な駐車場完備。




停まっているのは、私のレンタカーのみです、もちろん。
5世紀の構造がもとになっているらしいので、建築的には大変貴重だし、継ぎ足し風の柱も、研究の余地がありそうですが、しかしこの広大な駐車場の意味は、不明です。

ただ、青空が広がり、緑の草原、木陰、と大変気持ちの良い場所だったのは確か。瞑想するに最適かもね。ここに隠遁した人の気持ちも、ちょっぴりわかるロケーションかもね。




ちなみに、ここまででかなり想像がつくと思いますが、ラ・リオハ、基本的に地味~なものが多いです。小さくて地味で、それでいてアクセスしにくかったりして、何のために、とつい自分を見つめなおしてしまうような、そういう土地です。なんかやだな。
でも、時々、びっくりするようなものがあって、やっぱり一度は行く価値があるっていうか。
ということで、多くの期待をせず、お付き合いくださいね~。

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  1. 2017/07/17(月) 01:09:25|
  2. ラ・リオハ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

車が広い駐車場に一台だけ!

如何にもマニアらしい訪問の風景かも?

フレスコ画まじかで見たかったですね。
  1. 2017/07/16(日) 21:23:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ほんと、そうですよね。マニア。間違いないです。
遠目だからよかったのかもしれませんけどね。
  1. 2017/07/18(火) 22:03:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

これまで耳にしたことのないプレロマネスク教会だし、リオハはまったく不案内なので、この機会にとすこし調べてみて、たいへんいい勉強になりました。ご指摘の通り、ローマ神殿の円柱で西ゴート時代のアーチを支える構造がそっくり残っている珍しい例、ということのようですね。Corsaさんには、「古代ローマの建材」なんてそのへんにゴロゴロなんでしょうが、スペインでは大いに価値ありです。中を拝観するには、ボランティアのガイドに頼むようですが、「謝礼はおぼしめしで」と言われると、相場がよく分からなくて迷いますね。さいきんは改修工事で入口の扉に小さな覗き窓をつける例がふえ、小さな鍵穴から空き巣狙いみたいなかっこうで中を覗き込む、などの涙ぐましい経験は減ってきましたが、たしかにレンズも入らないほど小さな網目だったり、ガラス張りになっていると、写真を撮るのに苦労します。「1%」は、公共事業(道路工事その他)の予算に、文化財保護事業を義務付ける制度らしいです
  1. 2017/07/18(火) 22:38:00 |
  2. URL |
  3. Surdepirineos #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Surdepirineosさん
スペインがご専門なんですね。スペインは、確かにイタリアと比較すれば、ローマ遺跡は少ないですよね~。
でも、水道橋も結構あるし、建材は結構あったということなんでしょうね、今は残ってないにしても。
いやはや、読んでくださる方にお調べいただくとは、情けないブロガーです。
のぞき窓があれば御の字で、鍵穴撮影というのも、結構やりました。逆に、のぞける鍵穴は減っているような気がします。
  1. 2017/07/20(木) 22:05:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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