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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

地域唯一のバールに裏切られる(ヴィリャセカ)

2015.07.スペインの旅、La Rioja編、その13




このあたり、こういう風景が続きます。わずかに起伏のある土地で、合間合間に小さな村があるのですが、どこも激しく田舎です。
でも、こうやって改めて写真を見ると、実に美しい風景ですねぇ。現地では、愛でる時間も気持ちも、ほとんどそういう余裕がなかったこと、少々残念に思います。それが修行旅たる所以とはいえ。

小さな村ばかりなのですが、教会はなかなか愛らしくて見ごたえのあるものが多くて、取りつかれたように、駆けずり回ってしまいます。
次に訪ねた村でも、やはりうれしくなるようなアイテム満載です。




ヴィリャセカVillasecaのサン・ロマン教会Iglesia de San Roman。村の一部、高台になっている場所に建っています。こういう立地というのは、もともと緩やかな丘とかだったのを、削って町の地面と整えた結果とかなんでしょうかね。ここだけボコッとしているのも、なんか不自然。

ここの見どころは、やはりこの後陣でしょう。
前回のティルゴにも通じるスタイルで、品がありますよね。




アーキボルトの帯装飾が、ちょっと大柄なんですが、やはり美しいです。柱頭は、やけに単純で、再建のにおいもします。

入り口は、南側面にある、スペインらしい構造です。




ファサードと、北側側壁は、ほとんど見るべきものもなく、実際村とは反対側で、打ち捨てられている感がありました。これだけ表と裏がはっきりくっきり、という教会も珍しいと感じるくらい。




ここも、中には入れなかったのですが、建物中にちりばめられた軒送りや柱頭の彫り物だけで、結構お腹いっぱいな感じで、十分でした。




いろんなモチーフがあるんですが、どれも、わたし的には愛らしくて、大変気に入りました。




上二つは、どちらも、何かを抱え上げている同じモチーフです。ちょっと苦しそうな顔をしながら、何を持ち上げているんでしょう。




これがまた、シュールな…。太鼓上のものを、抱えているようにしか見えないんですが、顔、ないしね、腕じゃないんでしょうかね、これは。




この、シンプルさがいいのかも、ある意味現代美術的で。
こうして見直すと、顔が多いですね。

これも、顔ですよ、たぶん、どっちも。




手前は動物系。鼻の孔、開いてますしね。奥は、ぬらりひょん系の方が、樽を抱えているのかな。これはたまりませんわ。

かなり地味ですが、楽しいのがわかっていただけると思います。

ちなみに、ここまでかなりノンストップで駆けずり回っていたので、食物飲み物トイレを求めていました。で、嬉しいことに、教会の先に、もしや、という、まったく期待していなかった建物を発見したのです。




道を隔てた向こうの角っこにあるのは、どう見てもバール~!
ほとんど小躍り状態で、小走りです。
しかし、期待むなしく、なぜかクローズ。いくら夏だと言っても、バールは開けてろよ、と情けない気持ちになりました。そもそも、たまたま閉まっている感満載だし、これだけの町であれば、開いていても不思議はないんですよ。

なんて言っても仕方ないので、トボトボと車の方に向かったのですが、道端で地元のおじさんと行き会いましたので、未練がましく、バールのことを聞いてみたんですよね。
そしたら、おかしいな、開いているはずなのにな、と。
実は結構切羽詰まっていたので、この近所で、最も近いバールはどこか訪ねると、うーん、と考え込んでしまいました。え~、考え込むほどないんだ~!
ああでないこうでもない、としばしつぶやいた後、バールで何が買いたいの?と聞かれたので、素直に、いや、実はトイレが…、と打ち明けると、破顔して、ああ、それなら、家に寄っていきなさい!
なんと、教会の目と鼻の先がご自宅で、親切にもトイレを貸していただけました。

昼前のひと時、自宅で近所のおばさん数人がおしゃべりに花を咲かせている中に入ると、一瞬シーン、としましたが、ほんの一瞬で、お借りしているときも、辞去するときも、ずーっと、何事もなかったかのように、おしゃべりしていました。すごく親切だけど、他人に対する興味はないんですね。

この先も、ずっとこういう感じで、お店など一軒もありませんでしたので、ここで用を足すことができたのは、実に僥倖でした。

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  1. 2017/08/10(木) 05:33:23|
  2. ラ・リオハ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

あら~大変でしたね!バール基本開いてますけどね。レストランもないのか。
スペインは比較的自宅に招いてくれるのよね。イギリスほどではないけど。
可愛らしい教会ですね!やだ~楽しい!
本当に美しい。
夜は夜空が素敵なんだろうな。私も行きたくなりました。でもトイレがないのか~(≧∇≦)!キッツいですよね(≧∇≦)。
  1. 2017/08/10(木) 00:52:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

良い景色ですね!

日本にはない風景ですよね?

外国と言う感じが致します。
  1. 2017/08/10(木) 04:03:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> まーたんさん
このあたり、本当に大変でした。レストランどころが、バールすらこれだけない地域って、珍しい。というか、イタリアではありえないです。親切なおじさんに出会って、助かりましたわ~!
しかし、招いてくれた家では、おばさんたちがおしゃべりに夢中で、それもみんなばっちりお化粧しているのが、なんかおかしかったです。おじさんは、それで外にうろうろしてたのかも、笑。

そうね、夜は、真っ暗でしょうから、天の川とかもばっちり見えちゃいそうです。
  1. 2017/08/10(木) 22:10:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 古代遺跡めぐり<山下亭>さん
あまり景色をめでる余裕がないのですが、この辺りは非常に開けている土地なので、ちょっとした高台で、ぶわーっとパノラマなんですね。
きれいな土地です。田舎だけど。
  1. 2017/08/10(木) 22:10:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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