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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

想像を絶する色彩の嵐(ル・ピュイ・アン・ヴレその3)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その3

ル・ピュイ・アン・ヴレLe Puy en Velayのカテドラル、続きとなります。
建物がごたごたと立て込んでいて、一体全体、どうやって見学したのやら、と途方に暮れつつ、最初に見学したのは、こちらです。




回廊。おそらく、ここのアイテムでは、最も有名なのではないでしょうか。
入ってすぐ、この光景で、絵、こんなにすんなり、この有名な眺め風景なんだ!と茫然とした記憶があります。




今、改めて見ると、ほぉほぉ、と思うのですが、実は、現場での感想は、「あまり好みじゃない」でした。ここだけの入場で5.50ユーロも取られたし、なんとなく納得できない気分で入ったところ、雨は降ってくるし、薄暗いしで、どうも、テンションの低い見学となってしまったんです。
全体は、ちょっと装飾過多な印象なんですが、でも、ディテールは面白いんですよね。なぜ、あれほどテンションが低かったのか。しょっぱなの見学で、まだフランス・ロマネスク・モードになってなかったのかもしれません。

こういう素材でのデザインって、本来結構好みなのですが、オーベルニュに関しては、どうも、最後までなじめないままでした。




どんな細かいすき間にも、様々な彫り物が施されていて、すごいんですけど。




柱頭は、この「イエーイ」スタイルの人物フィギュアが、面白いですね。




手がでかい!衣装のひだひだが大げさで面白い!
でも、面白いなんて言えないくらい、皆さん、泣きそうなくらいに真剣な表情なんです。




いわゆるグリーンマン系も多数。




派生形も豊富です。
これは緑の部分とは離れて顔フィギュア。四隅にハト笛のような鳥フィギュア。




彩色の名残がありますね。フランスの柱頭は、今でも彩色している場所も多いし、当時の姿をより、想像しやすいものが多いです。しかし、この植物モチーフは、赤だったのですかね。こういう薄暗がりでも、彩色がばっちりあれば、相当はっきりとモチーフも見えたことでしょう。それにしても、派手だったでしょうねぇ。外壁の装飾と相まって、ギラギラするような色彩の洪水だったのか…。
回廊は、修道士が黙想する場所であったはず、と思うと、不思議な気がします。




こんなのも。
先日訪ねたコンクでも、アーカンサスをこういう風に彩色したものがあったので、こういう感じだったのか、と思いますが、すごい大胆ですよね。柱は、やはりだんだらに彩色されていたのかしら。うへ~。
今の雰囲気とのあまりに違いに、想像もつかないですね。当時に生きていたら、これは好きになれなかったような…。

全体がデフォルメされたケンタウロス。




これは、妙に愛らしいです。

この後、雨が結構激しく降ってきたのもあり、回廊の内側、つまり屋根のない側からの撮影は、断念しました。

現在は、回廊だけが有料の美術館状態になっていますが、もちろん、教会とはつながっています(行き来はできません)。




教会とつながっている階段。これは、教会側から回廊を見たところ。
つまり、教会のレベルは、回廊よりも、かなり下にあるんですね。山の地形なので、地形に合わせた結果でしょうか。
全体像は、このような巨大なものです。




白い部分が回廊ですが、回廊は、教会の北側になるようですね。そして、回廊の左側に、離れて、洗礼堂があります。これは、まったくわかっていなかったので、危うく見学し損ねるところでした。洗礼堂が、離れて建っているケースは、ままありますが、ここでは、洗礼堂が、他の建物に埋もれている状態なので、気付きにくいのです。

洗礼堂は、後にして、教会本体に移動です。

回廊の見学を得て、本堂に行こうとすると、曲がり角のところに、おや?と目を引く扉があります。




相当朽ちているし、これまた建物の影となっていて薄暗い中にあるので、回廊への行き際には、完全に見逃していました。
よく見ると、かなり立派な装飾が施されていたことがわかります。なにより、説明版が立っているんだから、なにか、に決まっています。

これは、サン・ヨハネの門Porche Saint Jaenとよばれ、本堂北翼の扉。




かなり残念な状態です。彫り物の台部分しか残っていないのですね。一部でも残っていれば、それだけでも立派な門だったでしょうに。場所的には、今も昔も薄暗い陰で、悪さをしやすい場所だったんですかね。早いうちから、使用されなくなってしまった門なのかもしれません。

続きます。

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  1. 2017/09/02(土) 22:29:05|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

かなり大きな建物ですね!
雰囲気もスペインの素朴な感じとの違いがありますね!
色彩を施された柱頭は~~~
ちょっと違和感を覚えます!
でも昔の人達は天国はこんな感じだろうと
思ったのでしょう!
  1. 2017/09/02(土) 16:55:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

フランスは、巨大建築が多いため、若干うへぇ、と思うケースも多いのですが、ディテールが面白いので、結構はまりますよ。
ロマネスク時代の彫り物は、基本的に彩色あり、ということらしいですけどね。スペインの西ゴートも、イタリアのロンゴバルドもハデハデ彩色があったはずなので、まぁ、流れとしてはそうだろうと思いますけれど、完全に別物ですよね。
  1. 2017/09/03(日) 15:05:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

フランスロマネスクはほとんど目にしたことがありませんので、旅行記楽しみにしています。ところで、「ルピュイの大聖堂は古くから黒の聖母像が有名で、中世には聖遺物扱いだったが、フランス革命の時に焼かれてしまった」という話を聞いたことがあります。石の彫り物も、ひょっとするとそのとばっちりを受けたのかも、などと想像しました。スペインの彫り物も、19世紀と20世紀の内戦の頃にずいぶん傷ついたようです。
  1. 2017/09/04(月) 03:23:00 |
  2. URL |
  3. Surdepirineos #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Surdepirineosさん
フランスも、すごいものがたくさんありますので、訪ねる価値は大いにあると思います。どうぞ、いつかいらしてみてくださいね。
フランス革命のときは、本当にひどかったようです。ふと、近年アラブ諸国で怒っているようなことだったのか、と思い、人は学ばないんだな、とあきれたり。
そういう歴史を経て、今残されているものたちに対して、ますます愛しさを覚えます。
  1. 2017/09/05(火) 21:21:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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