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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

彫りがなくても美しい、火山岩の多色ぶりにびっくり。(サン・クリストフ・シュル・ドレソン)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その10

北上を始める前に、ル・ピュイ・アン・ヴレ近くで、もう一つ寄り道。前回のサン・ジュリアンからル・ピュイ・アン・ヴレに戻り、町を通り抜けて西に抜ける、という無駄走りで、やってきたのは、前回掲載した地図の、左下の方にある、サン・クリストフ・シュル・ドレソンSaint-Christophe-sur-Dolaisonという村。




からん、と空が広がるゆったりとした村で、中心部にある教会は、迷いようがありません。車は停め放題、そして、なぜか、教会裏のスペースでは、ピクニック中の若人が…。

まだ、土地に慣れていないので、なんだろう、と疑問符が湧いたのですが、つまり、ここ、思いっきりサンチャゴの巡礼路なんです。で、ル・ピュイあたりから旅立った人たちが、最初に立ち寄る土地の一つなんだと思います。この辺りは、美しい町村も多いため、お試しの人も含めて、巡礼が多いようです。




12時過ぎで、ちょうどランチの時間だったのですね。
あまり楽しそうにピクニックしているので、フランス語もできないくせに、ちょっと声をかけてみました。
そしたら、ベルギーからの人二人、パリからの人二人、地元民一人、と、ばらばらで、たまたまここで出会って、たまたま一緒にランチを広げている、というようなことらしかったです。
1週間くらいお試しの人もいれば、本格的にサンチャゴまで、と考えている人など、いろいろ。私も、いつか、ほんの一部でもいいから、ロマネスクを訪ねながら、サンチャゴ巡礼の道って歩いてみたいと思っているので、興味深かったです。

みんなで楽しそう、いいなぁ、ランチ、と思いつつ、私はまた修行旅へ。なんか、こっちの方が、真剣に巡礼してるんじゃないか(それも、ランチも取れない日が多数という過酷な…)、などと、ちらりと思いつつ。
この日もまさに、ランチを取るチャンスなく、一日中走り回っていました。

さて、肝心の教会は、こちら。




サン・クリストフ教会Eglise-Saint-Christophe。
今年カンタルを訪ねたからわかりますが、これは、カンタル地方でよく見られる様式のバリエですねぇ。このあたり、確かにカンタルも近いから、様式が重なる地域ということになるのかな。
ファサードのこういう四角張った感じや、脇にある円筒形の塔がね、特徴的。

入り口に近づいて、あれっと思ったのは、扉の所にある、木製の柵。




この後、複数の教会で見たのですが、ここでの出会いがお初。最初は、入ってはいけない柵なのかと思ったのですが、どうやら、扉開けっぱなしにしておく場合に、動物などの侵入を防ぐ目的で置かれた柵のようで、人間は、柵を動かして入ってもよいみたいなんですよ。こういうのは、イタリアでもスペインでも見たことないように思います。

とはいえ、ちょっと恐る恐る、という感じで入場しました。




典型的な田舎の教会風の内装です。
装飾的要素も、ミニマム。でも、ファサードも、扉周りも、この内部の後陣も、独立した装飾性はないけれど、気付かれたかと思いますが、建築資材である石そのものの装飾性がすごいですね、ここ。それが、一番の特徴なのでは。

基本は、やはり火山岩系の石のようですが、この地域で産する多色の石が多数使われています。赤や緑や、すごいバラエティー。説明版にも、ことさらに、その多色の石について、書かれていましたが、当然ですね。




レンガのように、マットな質感の石だから、色がさらに強調される感じ。楽しいですよ、色遊びみたいで。




モザイク的な。
こういうのって、すごくセンスが問われると思います。石と石とつなげる漆喰の白も強調されていますが、これも、オリジナルから、きっとこういう風にやっていたんだと考えます。彫り物をする石工さんがいなかったのか。俺たちは俺たちの持っているもんで作る!という矜持でこうしたのか。

内部は、もうちょっと淡い色合いの石を使っていて、暗くなりすぎないようにしているんですかね。それにしても、美しい色の石がたくさん。




これはこれで、楽しい教会でした。

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  1. 2017/09/12(火) 04:59:10|
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  4. | コメント:6
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コメント

No title

素敵な教会ですね。

石積みのドームの塔見事ですね。
教会らしい建物ですね。
  1. 2017/09/11(月) 22:37:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

この塔をみてカロリング朝から続く西構えを連想しました。平面図的に言うとバシリカの西側に横長の建物をくっつけたもの。中央 左右に塔がつくのですが、中央の大塔だけ、というのも出てきます。ドイツの村の小教会には多いらしいです。去年の旅行ではイーデンセン。今年のスーエデン旅でもみかけました。ロマネスクというのは(ほかの時代の建築もそうですが)これまであったものを取り入れながら造っていくので、この教会も そのあたりがヒント?なんて思ってしまいました。(かわいくないけれど建築史的にはドイツ旅も良かったと思っています、まだライン川流域に行っていませんが)
石組、そうして黒っぽいだけではない石の色使い、素敵です!
  1. 2017/09/11(月) 23:14:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
巡礼も多く集って、まさに生きている教会らしい活気があり、よいものでした。
  1. 2017/09/13(水) 21:44:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> ykさん
面白いですよね。
私は、スペイン北部に多くある、やはりファサードが鐘楼と一体化しているスタイルの教会を連想しました。鐘楼一体型は、鐘楼を独立して建てられないという経済的問題の結果ではないかと想像しますが、フランスのこの辺りからカンタルにかけては、四角い形、スペインではどちらかというと三角形で、階段が外付け、という特色があるのが、面白いと思います。
ドイツの西構というのは、カロリング朝からなんですか。ということは、起源は古いのですね。金がなくても、こういうかっこいいやつが作れるとかそういう形で伝わったのかしら。
とか、すぐ、貧乏人の想像をしてしまいます、笑。
  1. 2017/09/13(水) 21:47:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

多色石が綺麗に繋がっていて素敵ですね!

ナイス・ポチ!
  1. 2017/09/16(土) 22:20:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
こういう石の装飾は、地味ですが、味があります。
  1. 2017/09/17(日) 20:46:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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