ロンゴバルド・フューチャーのパヴィア散歩、その2
さて、一年ぶり、正確には1年と4か月ぶりの、と言っても、この町には、割と定期的に行っているので、久しぶり感は、今回は特にあまりないんですけどね、まぁ、何はともあれ、時間的には久しぶりのパヴィア散歩です。
まずは、今回訪ねた展覧会から行きたいところなんですが、残念なことに、撮影厳禁でした。ソーシャルが盛んな昨今、全面禁止というのも珍しいくらい。おそらく盗難被害などを恐れてのこととは思いますが(撮影資料を基に、綿密な犯罪が行われるケースが、多々起こっている国なので)、でも、それほどのものがあるわけでは、というか、こういうものの需要は、近現代絵画などに比べれば、圧倒的に狭いマーケットだと思うので、撮影厳禁にするほどの理由があるのか、というと、ちょっと疑問。
もしかすると、宣伝の割には、どっちかというと地味なので、実態がわかると、訪問者が減るかも、という危惧が理由だったりして?とか、意地悪なことまで考えてしまいました。
会場は、今となっては、ちょっと町はずれになってしまったヴィスコンティ城です。
Longobardi – Un popolo che cambia la storia
Castello Visconteo
01 September 2017- 03 December 2017
パヴィアのあとは、ナポリに巡回し、なんと、その後はサンクトペテルブルクの、それもエルミタージュに行くらしいです~!これはすごいことですね。エルミタージュ、一度は行ってみたい美術館ですが、広大な入れ物だと思うので、とっても限られたスペースでの開催なんでしょうけど、それでもエルミタージュで開催って、なんかすげえ。
地味とはいっても、ロンゴバルド好きには、なかなかたまらない浮彫が、結構頑張って集められていましたよ。ブレーシャのヴィッラ・ジュリアから、有名なクジャクの浮彫が来ていたのは、結構びっくりしました。
ミラノにいれば、ブレーシャも日帰り距離なので、何度も見ているものですが、素晴らしい浮彫なんです。
(以前、ブレーシャで撮影したもの)
ブレーシャでは、この春くらいから、現代アーチストの作品を町中で展開していて、このクジャクが置かれているサン・サルバトーレ教会もその会場の一つとして使われているため、ちょうどよいタイミングだったのだと思いますが、これを目的にブレーシャに行ったら、がっかりするでしょうねぇ。
他にも、いろんな美術館から、いかにもロンゴバルド的な浮彫が複数持ち込まれていました。ただ、展覧会そのものは、ロンゴバルドの歴史を追う的な教育的な展示で、美術目的の私には、若干物足りない、というところはあったんですけれどね。
それでも、ロンゴバルドの遺構は、ロマネスク同様、現地に行かないとみることのできないものが多いし、かなり広範囲に散らばっていることから、こういう風にまとめて体系的に見ることができるというのは、やはり得難い機会に違いないのです。
さて、ここは、常設の展示もありますので、せっかくですから、昨年見学したものも合わせて、紹介しておきたいと思います。
まずは、関連のロンゴバルド系。
昨年撮影したものを見ていたら、その多くの展示物が、今回の展覧会の方に並べられていたのが、わかりました。この市営博物館の入場は無料なので、ここで見れば、無料で半分くらいの展示品が見られるということがわかり、苦笑いです。ま、いいんですが。
目玉は、なんと言っても、この、完璧に残っている、二枚の浮彫。
ペアのクジャク。
そして、グリフォンのペア。と思ったら、有翼のドラゴンと説明にはありました。
これはもう、ロンゴバルド浮彫ファンには、どの細部も、たまらない愛らしさですよ。
いつだってかわいらしい花形おしっぽ。
下の方に置かれた魚の不細工さも、何ともいいですよね。これ、二頭の怪物が向かい合っていますが、細部が、完全なシンメトリーじゃなくて、お魚も、右と左で違うタイプだったりするのが、またいい感じなんですよねえ。
この浮彫では、主役がAlbero della vita、つまり生命の樹の方らしいんですけれど、やはりドラゴンに目が行きます。そして、あらゆる細部に。
可愛さでは、クジャクも負けてません。
ちりばめられた花モチーフや、ねじりん棒、周囲に置かれたつる草をデザイン化した植物モチーフなど、もうどれをとっても、かわいさに悶絶しそうです。
これは、常設展の方に、置かれたままでしたが、会場には、また違うかわいらしさの間抜けなライオンや、変な動物が種々並んでいました。
ロンゴバルドものって、なんかクリンクリンした装飾的なモチーフが、本当にツボにはまるんですよね。趣味の消しゴムで彫りたいと思うのですが、これが、図案を描こうと思うと、見た目とは裏腹に、かなり難しくて、なかなかものになりません。
さて、中世期のもので、今回発見した展示は、回廊の内壁に展示されていた石もの。
これらは、相当朽ちていたり、一部しかなかったりで、かなり無造作に置かれている状態です。外して持ち帰りたくても、重くてとても無理なんですが、こんなの家にあったら嬉しいなぁ、という代物がずらり。
展覧会には人が押し寄せているのですが、ここまで来る人は、いないも同然です。私も、まったく気づかなくて、去年はここまで来なかったしなぁ。
面白かったのは、横並びになっていた同じモチーフの柱頭たち。
このゼンマイ化した極限の単純化植物モチーフ、結構いろんなものに見えて、好きなんですが、まずは、本当に超シンプルにした線描状態の柱頭。
そして、線が細かくなって、彫りも繊細になって、葉っぱまで表現されるように。
さらに、線が立体化してふさふさ化して、ボリューム感が出て、ずいぶんと進化したタイプ。
最後に、葉の部分が完全に彫刻化して飛び出したり、花とか他のモチーフが追加された別のものになっています。
全部同じ場所にあるものかもしれないけれど、ちょっとそういう進化過程という風にも取れて、見入ってしまった次第。進化が逆で、最後が超単純化、というのもありですけどね。
まぁ、そんな感じで、地味な展覧会ですが、無料部分も含めて、12ユーロ、払った分は、堪能したかな。
で、お城を後にして、さらなるロンゴバルドを求めて、町へと移動です。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/09/21(木) 06:05:39|
- ロンバルディア・ロマネスク
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| コメント:4
> Atsukoさん
現物は、実に素晴らしいので、是非見ていただきたいものです!
- 2017/09/22(金) 23:16:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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山下さん
その通り!こういうもの見ると、いつも、ほしいなぁ、と思うのが常です、笑。
- 2017/09/22(金) 23:16:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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