ロンゴバルド・フューチャーのパヴィア散歩、その4
サンテウセビオSant'Eusebioのクリプタを訪ねた後、地図を確かめながら、次の目的地に向かいました。パヴィアは小さな町で、旧市街はかなり狭い範囲となるのですが、生来の方向音痴のため、初めての場所を本能で訪ねあてるなどということは、はなから期待していません。
事前に、住所を調べておいて大正解。展覧会でくれたフライヤーには、一応、協賛企画のクリプタ特別公開についての情報も出ていましたが、クリプタの名前と、とっても雑な地図が出ているだけで、方向音痴の人には、その地図で訪ねあてるのは、絶対に無理。
実際、調べておいた住所を頼りに、通りにたどり着いても、行き過ぎて、後戻りしたくらいです。
で、後戻りしながら、塔を発見し、あそこに違いないとわかった次第。
しかし、入り口がわからず、またうろうろして、裏の方からアクセスすることになりました。というのも、住所を頼りに行くと、実に普通のお宅みたいな入り口なんです。
帰る時には、入り口に看板が出ていましたが、公開開始の15時に着いた時には、まだ何も出されていなかったので、ここから入るのは、躊躇してしまったんですよね。
しかし、ここを入っても、思わず目を疑います。
サン・ジョバンニ・ドムナルム教会Chiesa di San Giovanni Domnarum。
ファサードだけが、教会だと識別できる様子となっていますが、全体が住宅に埋もれていて、普通に歩いていても、絶対に教会があることすら気付かないようなロケーションです。
でも、実はすごい教会です。以前購入した資料によれば、まさにロンゴバルド時代の教会が元となっていて、それも普通の教会じゃないんですよ。
ロンゴバルドに関しては、ロンゴバルド時代最後の頃の人、パオロ・ディアコノという人が書いた「ロンゴバルドの歴史」という書籍があり、大変重要な資料となっています。それを知った時には、そういう書籍があることに驚いたのですが、ローマ時代の書籍もあるくらいなのですから、考えたら、不思議なないのですが。
私も、勿論持っていて、買った時にさらりと読んだのですが、ちゃんと読み返さないと、というところです。
で、その書物の中で、パオロが、「母にテオドリンダ、父にアジルルフォをもって生まれたグンデペルガ女王が、モンツァに母が教会を創建したように、ティチーノの町に、洗礼者ヨハネ(サン・ジョバンニ・バッティスタ)に捧げられたバジリカを建設し、金銀で飾り立てた。そして自らの墓所とした」と書いているそうなんです(覚えていない)。
その教会が、この教会ではないか、といういうことなんですよ。
この、今では、探すのも大変な上に、教会本堂は、すっかり別物となってしまった教会が。
それほどのものだったとすると、かつては、周囲に何もなくて、サン・ミケーレ(別記事で、改めて紹介します)のように、外も中も飾り立てられた立派な教会だったのかもしれないんです。
このファサードからは、想像することすら難しいですが、歴史って、すごいですね。
その、グンデペルガの教会は、7世紀のものですが、10世紀には嵐で損壊し、10世紀から11世紀にかけて再建、その後ロマネスク時代にも、建設が続けられたそうです。そしてもちろん、その後も教会として使用され続けた結果として、今のような姿に、変容してきたものです。
しかし、ありがたいことに、クリプタだけは、当時のものが残されたのです。
本堂の左側にある、かなり狭くて急な階段が、クリプタへの道。
ドキドキしますね。
この、距離にしたら、せいぜい2メートルの階段が、2017年から700年代へと続くタイムマシンですよ。
おお!
おお!
目玉はフレスコ画なんですが、まずは、全体のたたずまい、雰囲気に、おお!という感じで、それだけでワクワクしちゃいましたね。
で、落ち着いて、フレスコ画。
サンティンベンツィオ。
サン・テオフィロ。
サン・グレゴリオとサン・シーロ。
キリスト。
どれも、1150年ごろのものだそうですが、とにかくかわいい!
褪せた彩色も、ちょうどいい具合。
ただ、置かれていたフレスコ画人物一覧を見ると、相当ボロボロの時代の写真になっていたので、近年丁寧な修復が行われた結果なのだと思います。
きれいな時代の模写や、同時代のフレスコ画を参考にするのでしょうが、かなり作られている部分もあるのかと思います。違和感はないし、好みでしたけれども。
ロンゴバルドの時代の柱頭に、ロマネスクの時代のフレスコ画。
私の好み的には、かなりツボです。
そこに、テオドリンダとか、アジルルフォとか、グンデペルガとか、ロンゴバルドのエキゾチックな名前が絡んできたら、なんかもう最強っていうか。ロンゴバルド時代の名前って、なんかすごく好きなんです。北方から来た人たちだから、北の言葉や神話に根差した名前なんでしょうかね。
ちなみに、このクリプタ、普段でも、事前に電話で予約すれば(ルイジさん)、訪問可能のようなので、情報として、貼っておきますね。
チャンスがあれば、超お勧め。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/09/25(月) 02:04:02|
- ロンバルディア・ロマネスク
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| コメント:2
準備って大事ですね~~こんな素敵な場所、見落とす事なく行けたんだもん!
フレスコ画可愛い(*≧∀≦*)。
階段に使われている石の色も素敵!何でも備えあれば…なんですね~~!
- 2017/09/24(日) 22:52:00 |
- URL |
- まーたん #79D/WHSg
- [ 編集 ]
まーたん
ロマネスク関係については、かなりしつこく準備をするんですけれど、そう、やっぱり重要なんですよね。やっぱり見たいものは、ちゃんと見たいもんね。
よかったです。
- 2017/09/25(月) 20:50:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]