ロンゴバルド・フューチャーのパヴィア散歩、その6
特別公開を楽しむついでに、勿論、おなじみさんにもご挨拶です。
サン・ミケーレ聖堂Basilica di San Michele。
訪ねる度に、この立派なファサードとたたずまいに、うっとりしてしまいます。
ローマ時代に創建された教会ですが、ロンゴバルドの時代に、今ある姿の基礎ができたとされています。とにかく長い歴史がある教会で、パヴィアの町の栄枯盛衰をずっと見てきたわけで、それだけで、ちょっとしみじみしてしまいます。
実は、このパヴィア記事を書きだしてから、先に言及した、ロンゴバルド人パオロ・ディアコノが記した「ロンゴバルドの歴史」を読み出しました。買ったきり、ぱらぱらと斜め読みしただけだったので、おお!という感じで…。
ビザンチンとは関係ないなんて、いい加減なことを先の記事で書いてしまったと思いますが、とんでもない大ウソで、しっかり関係があります。そういや、同時代に並行してるんだし、関係ないわけもないんですよね。
そして、読んでいて、カロリングとの関係性とかも、かすかに記憶によみがえってきましたよ。確か、ロンゴバルドの王女様が、人身御供みたいな形で、カール大帝に嫁いだのではなかったか。
で、数年前に、確かパリで購入した、地図付き中世年表などを引っ張り出して、あやふやな歴史を確認したりして、こうなると、もうダメ。
それにしても、まぁ、試験があるわけでもないから、必死に覚えようとかそういう気持ちがないってことなんでしょうが、自分の記憶力のひどさには、毎度あきれてしまいます。好きなことなのに、さっぱり記憶できないんです。
特に、欧州の歴史というのは、今とは比べ物にならないくらい多くの国や民族が入り乱れて、それぞれが絡み合ったり同時に存在したりして進むので、記憶力が悪い私には、どうしようもないんですよねぇ。日本の歴史だと、勿論いろいろ都市国家的な歴史というのはあるのだけど、なんせ国土が限定的な上に、民族の数も限定的で、それほどもつれ合ってないから、私の貧しいシナプスでも、何とか許容できるんですけれど…。
それで、いつだって、ビザンチンとかロンゴバルトや西ゴートなどの、いわゆる「蛮族」達の歴史、神聖ローマとかカール大帝のカロリング朝とかの横並びの歴史を理解するのが、本当に大変。でも、面白いですけどね~。
春に訪ねた時に、比較的最近(2015年)出版された、薄いけれど、内容が濃いサン・ミケーレ読本のような冊子、ぱらぱら見ていると、かなり面白いので、これは、「ロマネスクのおと」で、すでに陳腐化しまくっているパヴィア編、更新しなければ、とすごく思っています。
実際はパヴィアどころか、この二年ほど、まったく手を付けられないでいますので、いつになることやら、というところではありますが。
いずれにしても、何もイベントがなくても、このサン・ミケーレ教会を訪ねるだけでも、パヴィアに行く価値はある、ということを、今回、改めて感じました。
このファサードだけでも、見どころ満載ですが、まずは、内部から。
レンガと石が、程よく混ざった内装は、とってもイタリア的な気がします。特に、ロンバルディアやピエモンテでは、レンガが多く使われますね。そして、それを、石板で覆ったりせずに、鮮やかな色を活用することが多いです。
結構壮大な作りなのですが、その割には、比較的低い位置にある柱頭の愛らしさで、壮大さが軽減される印象です。
ダニエルさんにも見えますが、動物が、ライオンというよりも、キメラやグリフォン的な柱頭。
今は、一般のアクセス不可となっているマトロネオ、つまり二階部分の柵部分に置かれた二股人魚は、魚部分が異常に立派で、遠目にも、何か気になるオーラを発散しています。
この、グリフォン的なお花しっぽのキメラも、同様。
激しくかわいいです。きもかわってやつかな。
しっかりとした彫りの植物モチーフ柱頭。多くの再建ものが混じっていると思われますが、全体の雰囲気がよくて、違和感がありません。
愛するサムソンも、千年の間ずっと、ライオンの口をこじ開けています。
ちょっとアップにしちゃおうかな。
細かい繊細な彫りをする石工さんですよね。すっごく考えて彫っている感じがします。
アップで見ると、どうやら彩色があったようだという様子も見えます。
それにしても、サムソンはいいですねぇ。長髪が何ともいいです。
立派なグリフォン。
地面をしっかりとつかんでいる爪足が、好きです。
天上高さを考えると、比較的には低い場所にあるとはいっても、やはり高いし、それに、暗いので、撮影は結構至難です。残念ながら、有料の灯りサービスもないんですよね。
でも、クリプタに降りると、本当に近くで、柱頭を楽しめます。
若干修復しすぎじゃないの、というようにも感じないでもないですが、でも、素敵な柱頭だから、許せます。それにクリプタは、本堂と違って、明るさふんだんなのも、柱頭を楽しむには、ありがたいことです。雰囲気は損なわれるかもしれないんですけれど。
色々なモチーフがありますが、こういうのが結構お気に入り。
本体は、普通のつる草モチーフですが、副柱頭的な位置に、細かくドラゴンペアが彫られているのが、なんか石工さんの遊び心を感じるっていうか。こういうの、好きですね~。
こういう正当タイプも、やはりいいです。これが、目の高さのちょっと上くらいで、肉眼で細部まで見られちゃうんですから、嬉しいです。葉っぱのしっぽ、すっごくかわいくて、どれを見ても、趣味の消しゴムハンコモチーフに転用したくなります。
これなんかは、物語的。寓意的な意味が入っているのかな。三角帽子の人物フィギュアは、誰を何を表しているのかしらん。耳ではなく、肩をかまれていますね、ドラゴンに。
ここは、いつまでいても、楽しくて、離れがたい空間です。
祭壇側に、ずらりとランプのようなものが並んでいて、よく見たら、聖遺物入れのようでした。何かいろいろ保有しているらしいですね。
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/09/28(木) 05:41:12|
- ロンバルディア・ロマネスク
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| コメント:6
一連の PAVIA 紀行、楽しませていただきました。
特に、前回のイタリア訪問で行きたくともいかれなかったランゴバルド関連の遺構。
またおいで、ってことですかね。
- 2017/10/01(日) 06:24:00 |
- URL |
- ほあぐら #79D/WHSg
- [ 編集 ]
ほあぐらさん
そうです、そうです!また、おいで、ですよ。
ほあぐらさんのおかげで、再訪のきっかけとなり、いろいろ発見があって、本当にありがとうございました。
このフレスコ画は、なかなかよかったですが、イベント以外の見学のハードルがどの程度なのか、不明です。でも、電話番号はゲットしたので、情報は集められますよ~。
- 2017/10/02(月) 21:56:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> Atsukoさん
ここは、いろいろとかわいいものがたくさんあって、楽しいんです。ビエンナーレ記事のあとで、また続けますので、すみませんが、ちょっとお待ちくださいね~!
- 2017/10/03(火) 22:28:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]