ベネチア・ビエンナーレ・アルテ2017 その11
アルセナーレ会場Arsenaleの見学、続きです。
ちょっと端折り気味で続けます。というのも、あまりにつまらない作品の連続で、今写真を見返しても、現場を思い出せないような状態なんです。撮影はしたものの、まったく、心に残らない、目の前の作品を見ても、おそらく何も感じなかったということなんでしょうね。
こういった作品が、ここにある意味があるのかな、と漠然とそういう印象が続きます。すべてが斬新である必要はないのですが、でも、より、生活に密着し、かつ商業的なインテリア・デザインの見本市サローネ関連の展示に、すでに似たような製品や提案があったり、という現実にも、思いが行きます。
アートと経済力というのは、切っても切れないものだけど、商業的な成功と、より密接なサローネが先を行っているのだとしたら、それは違うと思いますよね。
そんなスペースで、最近は存在が減っているビデオ作品に、釘付けになりました。
Traces by Nevin Aladag(トルコ―ベルリン、1972年生)
三つのスクリーンが横並びになっていて、それぞれ、音の出るものが、本来とは違う形で音を紡ぎだす様子を、並行して映し出しています。
これは楽しくて、6分程度の全編を見ずにはいられませんでした。
アコーディオンが、ポールと、右左に小刻みに揺れる、遊園地のトロッコみたいな乗り物につなげられていて、ぼわんぼわんと音を奏でたり、風船の口にはめられたリコーダーが、風船がしぼむにつれて、ふわふわと漂いながら、ピーっとなったり。
回転する遊具に、括りつけられたバイオリンが、一カ所に固定した弓に触れる度に、ぎーっと音を出す仕組みとか。
陳腐?ばかばかしい?
でも、とにかく楽しい。幸せになる映像ばかり。本来と違う視点、あるものを違う発想で取り扱うっていうのは、結構基本だと思うんだけど、楽器というとても身近な、誰でもがこれは何か、を知っているブツを、こういう風に取り扱うっていうのが、やっぱりアートかなぁ、と。陳腐でも、ばかばかしくても、発想の転換の視覚化。
それに、書きながら気づきましたが、楽器って、「楽しい器」なんですね。日本語、すごい!楽しい器だわ、本当に。
本来ビデオ作品は好みではないのだけど、本当に好きだったな。
こんなのより、楽しいだけで、いいじゃんね。
なんか、糸針系というか、手仕事系の作品が多すぎるような気がしたけど、どうなんでしょ。職人的作品が好みなのか?
手芸作品の延長みたいのを見せられてもねぇ。
延長ならいっそ、ここまではやってほしい、という好ましさがあったのが、この、色の氾濫。
Escalade beyond Cromatic Lands by Sheila Hicks(USA―パリ、1934年生)
ふかふかの毛糸玉の山って感じで、埋もれたい!と誰もが思うはず。
それにしても、アーティストの出身はいろいろだけど、現在地がベルリン、パリ比率、高すぎでは?偏ってるんでは?
それに、比較的高齢者の方が、面白いもの作ってない?
現代アート、現代のバリバリ若手、どうなの?今の動向というよりも、キュレーターの感性または好みは、若干古いということはないのかな?
私は、ジャルディーニの中央感からずっと、感覚が保守的で古いと感じながら、歩いていました。
これが、長々とウナギの寝床状態のアルセナーレの、最初の突き当りで、この先、左に曲がりつつ、違う構造に続いていきます。
そちらに移動する前に、もう一つビデオ。
Ballones on the sea by Hale Tenger(トルコ、1960年生)
5分程度のビデオだったようですが、ただ、同じ映像で、ゆらゆらしている水面をうつしているだけの作品。でも、結構きれい。よく見ると、上下が反転してるんですね。
なぜか、この部屋には誰もいなくて、アマノジャクの私は、その静寂に、ひと時ほっとしてモノでした。だから、本来以上に、気持ちの良い作品のように感じたような気もします。
曲がった先に、これまた面白いパフォーマンス作品を発見。
One Thousand and One Night By Edith Dekyndt
暗い部屋の中で、床に四角く敷かれた砂のようなものが、キラキラとしているんです。四角く、スポットライトを当てているので、そこだけがキラキラ。周囲に見学者が結構いますが、それが気にならず、作品と自分、という空間が作られています。
その四角い砂の形を、デッキブラシで、ひたすら整える人がいる。
時々、ブラシの先で、わざと埃立つような動きをしながら、ひたすら面と向き合うパフォーマー。こういう変なパフォーマンスは、好きです。
同じアーティストの作品が、いろいろ並んでいたんですが、ジオラマ的でこまごまと、同じテーマ統一で、好きでした。
赤い砂の先の方で、ミクロなおばさんフィギュアが、やっぱり砂を整えています。
青い砂も、同様に、ひそかに整えられています。
こっちでは、男性フィギュアが、石交じりの砂を何とかしようと働いています。
小指の先ほどの小さいフィギュアが巨人国にいるような設え。とにかく、ジオラマ的なものに弱いんですよね。ツボ。笑。
面白いもの、やっぱりあります。
これだけ集めるとね。
まだまだ続きますよ。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/10/18(水) 06:02:51|
- ヴェネチア・ビエンナーレ
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