ベネチア・ビエンナーレ・アルテ2017 その13
アルセナーレ会場Arsenaleの見学、続きです。
会場の北端で、渡し船に乗船です。
ほんの2分ほどの乗船で、アルセナーレ・ノルドに初上陸!
この会場図では、下が北となっていて、今のアルセナーレ・ノルドの図は、下側で、上部が本当のアルセナーレ会場となっています。
ノルドは、この数年、少しずつ使えるスペースを増やしてきているものと思います。これまで、時間の関係で、渡る余裕がなかったのですが、過去にも、展示があったのは知っています。
本島の会場を眺めると、左側に、Kishio Sugaさんの作品が展示されていたドッグが見えます。
まずは取るものもとりあえず、手近にあった会場へ。
Lebanese Republic Pavilion
Samas by Zad Moultaka
と言っても、ここの写真は、入り口しかないんです。というのも、入ると真っ暗。
私の直前に入ったイタリア人三人組と一緒に、暗闇で説明を受けます。懐中電灯を持った係員が誘導するので、それについて歩いてほしい、ということでした。
三人組は、若い娘たちで、物おじすることなく、どんどん歩き出しますが、私は、暗闇がかなり本気で苦手。懐中電灯の誘導は、あっという間に視界から消えて、ちょっと遅れて歩いている娘の一人の後をついていくのがやっとという状況です。
おそらく、部屋を横切った向かいの壁のところに、ぼんやりと灯りがあてられた作品らしきものが見えるのですが、それ以外は闇なので、もう怖くて怖くて、作品鑑賞どころではありません。指針となる娘さんの姿を見失わないように、ただそれだけに必死になって、何とか出口にたどり着きました。
もう、コンセプトも何もわからないし、どうでもよし。転びもせず、出られただけで良し!と、変な達成感はありましたが、どっと疲れました。
ぼんやりと見えた作品は、すごくつまらなかったし。
今、入り口を見ると、Soleil Noir Soleilとありますね。太陽、黒い太陽?夜の太陽?なんか、作品はキラキラとゴールドだったし、あれはもしかすると暗闇に見える太陽だったのか。日食?
なんだかもう、すごく陳腐な発想しかできんわ。
お隣は、またもや中国。
Memory and contemporaneity – China Art Today
これは中国パヴィリオンではなく、あくまで中国の現代アート、というサテライト展です。かなり大きなスペースを使っていました。
中国臭の強い、工芸作品的なものは、元来興味の対象外でしたが、最初に引き込まれてしまったのが、巨大スクリーンに映された、これは紫禁城なのかしらん。
遥か外側の入り口から、どんどん奥にカメラが進んでいくのですが、十畳、いやもっと大きいのか、壁全体がスクリーンになっている上に、ドローン的な視線で、カメラがすごい勢いで進んでいくので、自分が高速歩く歩道になってその場を飛んでいるような感覚に襲われます。どこまで進んでも、どこまでもさらに奥があるというのもすごい。CGで作っているとも思うのですが、実際を知らないし、中国四千年の歴史は侮れないと思っているので、現実的にみてしまいましたね~。
床部分も映像なので、こうやって、実際に現場に佇んでいる状態になります。
新味はないけれど、こういう巨大さやスピードっていうのは、なかなかお目にかかれる規模ではないので、やはりワクワクする要素ではあります。
広いスペースを使っただけあって、巨大作品が他にも並べられていて、もひとつよかったのが、これ。
Different Dreams on the bed by Song Dong
四角の建物で、どの壁も、様々な窓枠や扉で囲まれています。こちら側と反対側に、のぞき込めるように扉があけ放されています。
のぞき込むと、アンティークっぽい、ベッドというよりも寝台、と言った方が似つかわしい家具が、所せましと並べられ、積み重ねられていて、それだけでも、いいなぁ、と思ってしまったのですが、上を見て、さらにびっくり。
絶句!予想外の美しさに出会って、絶句でしたよ。
数知れないランプが下がっていて、ここで初めて、鏡面の遊びに気付くのです。
壁も天井も床も、全部鏡面になっているのですね。だから、すべてが無限。
そして、すべてがアンティーク。たぶん、本当のアンティークなんじゃないのかなぁ。
私は古いものが好きで、家を買った時も、アンティーク屋さん巡りは結構したのです。家を買った当時は、普通以上に貧乏になっているのに、でも、普段ありえない金額を使っていることで、すでに金銭感覚狂ってますから、机と、ランプシェードは、本気で探したんです。
でも、幸いにも、大きさやデザインで、これというものが見つからないうちに時間切れとなり、普通の家具やでかなり普通のものを購入することになったのです。金銭感覚が戻ってから、つくづく、幸いだった、と安堵したものです、笑。
それにしても、この人のセンス、いいわぁ。
この、外壁の作りだって、相当好き。
上の方の、家の作品の左側に映りこんでいるのも、巨大な作品。
United nation's man & space by Gu Wenda
地味な色彩で、各国の国旗が作られていて、発想は結構斬新。思わず、日本はどこだ?と探しちゃうのが、やはり一般人だなぁ、オレ。
地味な場所に、地味な感じで置かれておりましたが、デザインが単純な分、目立ちますね、やはり。
これ、素材は何だろう、と思うでしょ。こうやって遠目に眺めていると、わかりにくいんですが、近づいて、思わず引けました。
もしや、髪の毛では…?
タイトルからして、もしかすると各国出身者から髪の毛を集めたとか?
これはちょっと、物理的に嫌だったな。展示する人も、触るの嫌だったんじゃないか、とか勝手に同情。
で、逃げるように次の展示へ。
Hyper Pavilion
ここは、まったくよくわからなかったんです。
とにかく人が少ない。だだっ広い。薄暗い。怖い。
異空間に紛れ込んでしまったことを楽しめばよいのかもしれないんですが、のめりこめるほど面白い展示もなく、ただ、唐突な段差とかで転ばないようにしないと、とか、余計な保身ばかり考えながら、歩いていました。
見事に人がいない。やはり渡し船に乗ってまで来る人は、少ないんです。本当の混雑が嘘みたい。
ただ、作品もねぇ。ハイパーというからには、デジタルとか現代的な要素をメインにした作品館、というようなコンセプトだったようなのですが、デジタル映像を、巨大スクリーンに流しているだけのものが、ハイパーかと言われれば、?、とも思うし。
「蟲氏」を髣髴としてしまった映像。
いや、過去と現代ハイパーという意味でも、面白さ、美しさでも、蟲氏が勝つわ。笑。
あっという間に見学終了。
ノルデまで足を延ばして、とりあえず、初上陸はよかったし、もう一つよかったのは、見学者が少ないけれど、バールはちゃんとオープンしていて、のんびりとランチをいただけたことです。本島ではどこのバールも、異常に混雑していて、ついお昼時を逃していたので、ちょうどよかったし、これはまさに穴場。
穴場ですよ、皆さん。ノルドのバール!
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2017/10/20(金) 05:59:33|
- ヴェネチア・ビエンナーレ
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