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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

扉満載、装飾満載(サン・ミケーレ3)

ロンゴバルド・フューチャーのパヴィア散歩、その8

サン・ミケーレ聖堂Basilica di San Michele、続きとなります。




ファサードをはじめとする外観装飾も、改めておさらいです。
本当に、たくさんの彫り物があるのですが、残念ながら、多くが摩耗してしまっています。オリジナルそのままに残っていたら、ごてごて感があるくらいに、すごいファサードだったかもしれません。建築スタイルも、装飾性が高いので、今、崩れてしまって、なんとなくしかわからなくなっている彫り物、それはそれで、味になっているかも。

実は、100年ほど前までは、もっとずっとたくさんのものが、残っていたようなんです。崩落や、盗難などで、どんどんすっきりしちゃったものと思われます。

それにしても、このファサード、通常のロマネスクスタイルとは、ちょっと違っていますよね。山型のトップが一つで、とても平面的な。普通は、三つの扉の両脇の部分は、ちょっと下げて作るもんですね。
そのスタイルよりも、回廊装飾の継続性を好んだのでしょうかね。

中央部に、開口部をたくさん置くのも、変わっています。これがあるから、平面性が和らぐ感じもありますね。




相当いろいろとなくなってはいますが、装飾性は健在です。中央扉の周りは、込み入った植物文様初め、びっしり彫り物。

教会が捧げられているサン・ミケーレさんも、翼にみっちりと装飾的な彫りこみがあります。若干再建臭いですが。




個人的には、その足元にあるアーキボルト装飾の摩耗ぶりが残念です。動物モチーフで、かなり楽しい彫り物だということは想像できますが、傷みが激しい。

柱頭の方は、まぁまぁです。ここも、再建は混じっているようですが、でも、オリジナルをうまく再現しているものと思います。




サムソンらしきフィギュア、ここでもかっこいいですね。




右側の扉周りも同様に、びっしりです。でも、側柱の彫りこみが、摩耗しているのが、遠目にもわかります。扉上部の壁につけられた彫り物も、100年前の写真だと、かなりはっきりとした様子なのに、今では、溶けちゃってますよね。酸性雨とか、そういった公害の影響もあるのだと想像します。




パヴィアは、ロマネスクを回りだした超初期に訪ねた土地の一つです。当時は、どこで何を見たらよいのかすら、よくわからずに、なんとなく探し当てた場所を頼りに、芋づる式で情報を得て、次に向かう、といったような回り方をしていたので、系統だった知識も何もなく、立ち向かっていました。
何をどう見るか、ということも、背景にある歴史、特に、最初に来た頃は、ロンゴバルドについての知識など、ほとんどなかったと思います。




そういう中で見た、この柱頭たちの印象は、強烈で、その後、何度も来て、何度も見ているせいもありますが、決して忘れることはありません。




一つ一つ、オリジナリティが高く、かわいらしくはないのですが、インパクトがありますね。

南側に回ります。今回発見したフレスコ画のある翼廊の方です。




こちらにも、昔は開いていたであろう扉があります。




ここはまた、ファサード側よりさらに傷みが激しいようですが、装飾性は同様です。
アーキトレーブ(ラント―/リンテル、というのですね。最近覚えました)に、アーモンドの中のキリストに寄り添うパオロとピエトロがいました。
私はここにいます!的な駆け寄り図像が、愛らしいです。

南翼廊の、このつけ柱の迫力!




以前にも記していますが、私、つけ柱好きなんで、こういうのは、ぐっと来ます。また、朽ちた半円柱というのも、よいですわ~。

つけ柱フェチだと、この後陣も絶対に外せません。




ただし、後陣にアクセスするには、南側ではなく、北側に回る必要があります。南は、ここまでは柵越しに見ることができますが、この先は家並みに遮られてしまうのです。

また、ファサードを横切って、北側に行くと、なんと、こちらにも、扉があるんですよ。




こっち側は、翼廊のところに扉がある構造となっています。
前の広場にはカフェが出ていて、ここからだと、これがファサードであってもおかしくない立派さですよね。いかに、大きくて立派な、費用も掛かったに違いない建造物かということがわかります。
この扉を通り過ぎると、左側の建物の中庭に入れるようになっていて、そこから、後陣にアクセスできますよ。本当は、個人の家で、侵入禁止なのかもしれませんが、いつも入ってしまいます。




やっぱりヒトの家っぽい。猫が二匹、まったりとしていました。




帰り際に、北翼廊の扉もチェックして。




ここもまた装飾過多的な扉ですが、他とちょっと違うのは、大胆な大きさの、きっぱりとした動物フィギュアが、ドン、と柱に置かれていることでしょうか。




こういうタイプは、割と目にするものですが、ここでは、他の装飾から完全に浮いている様子があるので、目につきます。

というわけで、ちょっと駆け足ですが、サン・ミケーレ再訪でした。まだ行かれていない方には、是非一度は行っていただいて、損のない教会です。

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  1. 2017/11/03(金) 03:16:32|
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