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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

オサレな本屋で、まさかの遭遇(セゴビア2)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その9(2016年夏の旅)

いきなり、セゴビアのシンボルともいえる水道橋から始めてしまいましたが、そんなローマっぽい町ではありながら、なんと、ロマネスク的に重要な遺構も満載なんです。これは、この旅の準備をするまで、まったく未知のことだったので、驚きました。

事前に調べた際、中世起源の教会ということで、リストアップできたのは、なんと17カ所です。小さな町ではないとはいえ、この数は、驚きですよね。
もちろん、すべての教会が、私のような素人が今訪ねて、うぉぉ、と思うようなものではなく、半数以上は、起源が中世であるというだけで、何も残っていなかったりするのですが、ただその事実に驚愕したのは確かです。

最初は、ここ。




エル・サルバドール教会Iglesia de El Salvador。

正直、17もリストアップしちゃったものの、どうやって回ったものか、皆目見当がつかなかったんです。それで、ホテルでもらった地図を頼りに、町の中心にあるらしい観光局を目指しながら歩き、その途中で遭遇したに過ぎないんですけれどもね。

建物のほとんどは、新しくなってしまっていますが、扉口のあるところ、南側壁には、往時のポルティカーダが残されています。




ロマネスク時代の名残は、見事にこの一角だけなんですが、それにしても、よく残ったものです。
ただし、せっかくの柱頭は、かなり溶けちゃっていて、残念な状態です。




鳥なのか、キメラなのか、なんなのか、溶けて全部が一体化しそうな勢い。




すっごく想像力をたくましくすれば、これはもしかするとアダムとイブかも?と想像できるくらいには残っているとはいえ、厳しい!
ストーリー性のある彫り物だけに、残念感が半端ありません。




柱の上部、いわゆる軒持ち送りの部分も同様で、こっちはもっと残り方が少ないです。




これだけの柱頭やらがあるところを見れば、軒持ち送りも、彫り物で飾られていたと考えるのが正しいと思いますが、そこは、すべて失われてしまっており、その間のわずかな部分に、装飾的彫り物が見られます。




訪ねた時はクローズでしたが、説明版には、内部はバロック様式、とありましたので、まったく問題なしです。黄金ギラギラの祭壇が置かれているようでした。




わずかとはいえ、明らかにロマネスク時代のものに、最初の教会で出会えて、まぁまぁの幸先かもね。
と思いながら、この後、水道橋脇にある観光庁に行きました。

これだけの観光地だし、ロマネスク集積の中心地でもあることだし、さぞや充実しているだろう、とかなり期待して行ったんです。が、ご想像の通り、中世や教会関係の情報、一切なし。一切ですよ。
情報としてもらえたのは小さな町の地図だけで、紙ものも一切置いてないのです。リストアップしていた教会のいくつかについて、地図に印だけはつけてくれましたが、それだけです。
エル・サルバドール教会の後、通りすがりにもう一つ教会があったのですが、クローズしていたため、開いているのか、開くとすると時間はどうなのか尋ねると、「教会は、我々の管轄じゃないので、わかりません。カギ番の人が来れば開くし、来なければ開かないけれど、時間も何もわかりません」と取り付く島もない対応。
驚くことではないのですが、観光地だけに、愕然としました。

次々と観光客が来るけれど、行列もできていなかったことを思うと、教会のみならず、本当にたいした情報も持っていないのだろうし、訪ねてくる観光客の対応は、自分たちの仕事じゃないと思っているのは明らかで、これはあきれました。いっそ、観光客なんて置かなければいいのに。

なんだか納得できない気持ちで、道をあと戻る際、水道橋脇の道に、ちょっとおしゃれな本屋さんを発見しました。
カフェが併設されているような、今どきのオシャレな店です。
こんな店には、それこそ何もないだろうなぁ、とまったく期待しないで入店して、ロマネスクの本、何かないか尋ねたところ、ちょっとごそごそして、これくらいかな、と出してきた本が、しかし、なんということ!




我々のような修行者にとっては、もう何が何でも欲しいタイプの本だったんです。
B5判くらいの大きさですが、厚さは3センチくらいもあり、重さは、2キロはありそうな。その上、なんと、紙の地図までついていました。




写真付きで、すっごい数の教会が、紹介されています。これを見ていると、いかにも地味な教会が多いのがわかりますが、それでも、この集積ぶりはただ事ではないって感じで、地味でもいいから再訪したくなってしまいます。

実際、旅の最後だったのが残念でしたが、この本をぱらぱらと見たことによって、セゴビアの町の見学は早々に切り上げて、他の町へ行く気にもなったのですから、かなりありがたい出会いだったんです。

考えたら、小さな村ばかり巡っていると、観光局にも本屋にもお世話になることがないのですが、やはり、紙の情報というのは重要なので、たまには、あえて町も歩いて、本屋も探さないといけないなあ、と思った次第。

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  1. 2017/11/28(火) 06:40:14|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

此れは良い本との出会いでしたね!

この様な自分の趣味に合う本は高くとも、買っちゃいますよね?

日本に帰ってきても古代遺跡の本は眺めて楽しんで居ますよ!
  1. 2017/11/28(火) 09:32:00 |
  2. URL |
  3. 古道具屋<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 古道具屋<山下亭>さん
旅行中は、お値段より重さが気になります…。なんせ格安エアで旅をしますので、荷物は重くできないんですよね。でもそうやって苦労して運んだ甲斐があります。
情報って、これだけインターネットが普及しても、やはりいまだに紙が役立つことって多いんですよね。
  1. 2017/11/30(木) 23:04:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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