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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

観光地にて観光しないという病(セゴビア4)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その12(2016年夏の旅)

ロス・サントス・フスト・エ・パストール教会Iglesia de los Santos e Pastor、一応外側もぐるっと。




基本的に、本堂部分は、再建されちゃっているみたいですね。塔の上の方だけが、オリジナルに忠実なスタイルになっています。




では、地味なファサード側はどうかというと。




細部をよく見ると、やはり再建くさいのでした。
でも、写真を見てて、おや、と思いましたよ。




扉に向かって右側の柱頭になりますが、一見天使、よく見るとハーピーか?の彫りのある柱頭より、扉側の場所に、ウサギのような絵が描いてありました。彫りの下書きなんでしょうかね。
もちろん、そんなに古い時代のものとは思えまあ線が、何ともきもかわいいぶりが、いい感じ。彫られていたら、楽しい作品だったでしょうね。




これは、現場では、まったく気づいてなかったものなんです。何でもかんでも、やはり写真は撮っておくべし、と思いました、笑。

さて、次は、また町の中心の方に戻りまして、と言っても、今残る市壁の外側ではあります。実はこのときのセゴビア訪問、水道橋に近寄ったのが、唯一、いわゆる一般の観光らしい観光で、最も多くの観光客が集まるであろうアルカサル、つまりディズニーランドのシンデレラ城のモデルになったとも言われるお城や、その周辺には、近寄りもしていません。それどころか、市壁の内側にも入ってないんじゃないかな。
要は、ロマネスクの時代の建造物は、市壁の外側に遺っているんです。中にも、多くの教会がありますが、ほとんど後代の手によって変容しているようだったので、見学にはいかなかったのです。

当初は、旅の最後は、ちょっといいホテルに滞在して、ゆったり観光半分でセゴビア散策、という予定だったのですが、先述した詳細なロマネスク・ガイド本を入手してしまったため、行く予定のなかった場所へも行きたくなってしまったことに寄ります。
というわけで、セゴビアの町に割ける時間も限られてしまい、なかなかよいホテルには滞在できましたが、ゆったり観光というのは、なくなってしまいました。ま、いつものことですね。

向かったのは、こちら。




サン・クレメンテ教会Iglesia de San Clemente。
この教会を見て、改めて、びっくりしました。セゴビア、恐るべしっていう感じです。町中に、こういう様子の教会が、こういう状態で残っているって、なんかすごいです。
この前に見た、サン・フスト・エ・パストール教会は、内部にお宝を隠していましたが、外観は、かなり手が入っていたので、町だし、当然だよね~、くらいに感じていたんですよね。でもここ、外観もいいですよね~。

ただ、残念なのは、近寄れなかったことなんです。
ポルティカーダ側の手前に、鉄柵があり、上の写真が、鉄柵から乗り出すようにしてやっと撮ったもの。ポルティカーダの中に、本堂への扉が見えますが、その扉周りの装飾までは見えませんでした(写真で見る限りでは、かなり地味な様子で、柱頭もたいしたものはなさそうですけれど、酸っぱいブドウ的な…)。

ポルティカーダは、南側にあり、道には、西側、典型的ロマネスクだったらファサードがあるはずの西側面があります。




これだけの高台になっていますから、現在の構造上は、扉があったとは考えにくいのですが、残っている石垣というか石積みの部分を見ると、階段があったようにも見えますね。
どう見ても、しっかりとした扉装飾なので、めくら扉とも思えず、やはり階段でアクセスできる扉があったということなのでしょう。




結構こじんまりとした教会ですから、この扉の立派さは印象的です。
イスラム・テイストが入っているようにも見える、大変繊細な浅浮彫で、アーキボルトが飾られてます。




扉上の軒持ち送りも、様々な彫り物で飾られており、保存状態もなかなかよいですね。




こういうの見ると、やはり何とかもうちょっと近づきたい、と思うのが人情です。脇の方から裏に回りました。やはり鉄柵に阻まれるのですが、幸い、後陣は、近くから拝むことができました。




ここも、かなり手が入っているとはいえ、素朴な植物モチーフの柱頭や、そして、他でもよく見られた、薄目開口部なんかは、しっかり往時の遺構ですね。そういうのって嬉しくなります。この薄目開口部は、この地域全般に普及していたのですねぇ。ここは、開いてもいないようですが。




ポルティカーダ側の軒持ち送りはどうだったかな、とまた戻り。




なんか、抽象的なものが彫られているのか、動物とかなんだけど、溶けちゃって得体のしれないものになっているのか、そんな感じ。
何はともあれ、一つ一つに、何らかの装飾的な彫り物がほどこされていたのは明らかですね。




これらの教会が建てられた時代には、まだアルカサルもなく、市壁もない町だったのでは、と思うのですが、それにしても、同時代にびっくりするくらいの教会が建てられているということは、それだけ富があったということですね。いやはや、セゴビア、恐るべしですねぇ。


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  1. 2017/12/03(日) 06:07:39|
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コメント

No title

観光案内所のそっけない対応から見て、ローマの水道橋だけで観光客はじゅうぶん来るので、ロマネスクは眼中にないということでしょうか。
前回のサン・フスト教会は、礼拝時間以外にも(一日中)開いているという感じだったですか?マドリッドから汽車で30分くらいのなの、ゆっくり歩き回っても日帰り可能ですね。改めてセゴビアを見直しているところです。このあと何が出てくるか、続きを心待ちにしています。
  1. 2017/12/04(月) 03:13:00 |
  2. URL |
  3. Surdepirineos #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Surdepirineosさん
まさにおっしゃる通りと思いますよ。黙っていても観光客は来るから、いるだけの観光局です。イタリアみたいです、笑。
サン・フストは、教会守のおじさん次第のようでしたが、多少なりとも言葉のわかる人を捕まえては、とうとうと押し掛けガイドを楽しんでいるようでしたから、昼休みを挟んで、普通に開いていると思います。
マドリッドにも近いので、行きやすい町ですし、お勧めですね。もちろん周辺はすでに回られていらっしゃると思いますが、車だと、空港から高速で、本当に近いので、車もありだと思います。
  1. 2017/12/04(月) 22:54:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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