カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その16(2016年夏の旅)
この当たり、結構狭い地域にロマネスクが点在していますが、なんせ田舎。なんせ地味。というわけで行けども行けども、見つけにくい上に、見つけても、これなんだっけ?というような地味なプレゼンスです。
ナバス・デ・リオフリオNavas de Riofrioという村に向かいました。「冷たい川のほとり」という名前の村ですが、住宅地はやけに広がっていて、またもやうろうろです。 だらだら広がっている村って、なんか距離感がわかりにくい。道を教えてもらっても、「すぐ次を曲がって」とか言われても、すぐ次が、数キロ先だったりするんですよねぇ。どうも、車移動の距離感覚が身についていないので、車生活が基本の田舎道は、困ります。 それでも何とかたどり着いた、村の辻みたいな場所。道の両側にバール。そして、一角にそれらしいものがあります。
教会に見えるものの、ロマネスク?どうだろう?というたたずまいだったので、とりあえず片一方のバールに入り、カフェ休憩ついでにバールの人に尋ねたのですが、「私たち、この村に来て浅いし~、教会の名前?わからないな~」とばっさり。
インマクラーダ・コンセプシオン教会Iglesia de Inmaculada Concepcion。
この教会の後陣に沿って道がカーブしてますので、突き当りみたいになっていますが、手前左手と、右手にバールがあります。私が駐車したのは、やはり道なりに右側のバールだったんですが、あとから事前準備したメモを見たら、「近所のバールがカギを保管」とありました。手前に椅子やテーブルを出している、左側のバールが、おそらくそうだったんでしょうね。後の祭りでした。
わんこがうろうろしていたので、一瞬躊躇したのですが、こちらにまったく注目せず、悠々とうろうろしていたので、アクセス(右下、塔の陰にいます)。
建物からして期待できないうえに、思いっきりカギがかかっている様子ですよね。でも、鉄柵のところまではアクセスできたので、辛うじて、扉口を見ることができました。 そして、ちょっと驚きました。
扉周りの装飾、きれいに残っているし、修復というかお掃除というか、やりすぎだろう、というレベルで真っ白になっています。 アーキボルトの浮彫、時代が混じっているとは思いますが、面白いです。
太陽と月。
縁取りのポチポチと控えめな市松帯もなんだかかわいらしい。 稚拙な感じもありながら、シンプルな思いっきりのいい線が現代にも通じるものがあったり。でもやはりプリミティブ、と言った方が正しいのかな。
顔、なんかみんな、デッサン用ののっぺらぼう人体みたいになっていますけれど、ちゃんとうっすらは彫ってあるんです。
なんだか全体にミステリアスな雰囲気なんです。
ね、面白いですよね。手がポイント。
扉に一番近い、最も内側のアーキボルトには、ここでもまた装飾的な浮彫がびっしり。
地域の共通項がこれだけ顕著なのは、やはり狭い地域に立て込んでいるからでしょうね。同じ工房や石工さんが、いくつもの教会で仕事をしていたかもしれません。
というわけで、地味なりに楽しめるディテールがあって、よかったです。
ちなみに、場所は、セゴビアの南部郊外という位置関係です。不親切ですが、よかったらグーグルマップご参照ください。
同じような地域で、次にラ・ロサLa Losaに向かいました。ここは小さな、文字通り村という状態の上、目的はサン・ペドロ隠遁所Ermita de San Pedroなので、村にあるわけもありません。 車を降りて、パンを抱えたおやじに尋ねると、かなり考え込んでから、ゆっくりと道を指示してくれました。一応わかって気になって歩き出したら、後ろの方から、そっちじゃなくてあっち!みたいな指示をくれたのですが、もしかして、私が徒歩で行くつもりだとその時わかったらしく、改めて、歩きだと片道30分くらいかかるよ、と教えてくれました。 往復で1時間は長いし、かといって、指示された道は、そこから未舗装の凸凹道ですから、車を乗り入れる気にもなれません。 というわけで、潔くあきらめました。
村の教会。見るものもないけれど、唯一救いだったのはこいつ。
何はなくとも、コウノさんがいてくれると、何かしら嬉しい気持ちになります。 しばらくこのコウノさんを眺めてから、気を取り直して、セゴビア南部マイナー巡り、続けます。
次の村、Madronaは、ちょっと印象深かったです。 この地域、本当に地味だし、はずればかりで、回っているときはうんざりと疲れてしまいましたが、今、当時のメモを見ると、探す苦労に振り回されたりしている自分の姿を思い出して、思わずニマニマしてしまいます。特にこのマドローナは、なんだかやけになって探した感じだったな。ここらで何か見ないとやってらんない!と必死になってたんだった、多分。
ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・セルカ教会Iglesia de Nuestra Senora de la Cerca。
このマドローナ、ちょっといい村だったんです。村の中心が、かなりの高台になっていて、そこにこの教会がそびえているというロケーション。でも、結構な高台なので、階段のついている一方向からしか、その姿が見えないんです。 ところが、その階段のある入り口、鉄扉があるんですが、無情にも施錠されていました。
階段脇の部分は、こんな高い塀になっていて、全然外観すら拝めない。
軒持ち送りもありそうだし、こうなるとやはり近づいてみたくなりますよね。 それで、高台の下にあったバールでたむろしているおやじたちに、カギのことを尋ねてみました。「鍵ならミラグロスが持ってるよ」ミラグロス!なんと事前調査のメモにも、「カギはミラグロス」と書いていました。どこかのサイトで得た情報だと思います。 これはラッキーと思い、一人のおやじが指さしてくれた、教会至近のアパートに向かいました。
しかし、アパートですから、インターホンは四つほどあり、名前が書かれていませんので、どれがミラグロスのアパートのベルなのか、わかるわけもありません。仕方ない、といい加減にならしてみると(この辺りが、何か見ないと帰れない、と追い詰められていた様子ですよね、我ながら)、年配の女性の声で、ミラグロスの家は1番だけど、今、彼は留守のはずだということでした。 念のため1番のベルを押してみましたけれど、やはり反応なしでした。
あーあ、とがっかりして、すぐ近くの公園で一服していると、たぶん先ほど答えてくれた女性が、わざわざやってきて、ミラグロスはいないわよ、と改めて教えてくれました。 インターホンでも、明らかに外人だし、不信に思ったんだと思います。そりゃそうだ。 私が車に乗って立ち去るまで、彼女には観察されていたように思います。超怪しい東洋人…笑。
そんなわけで、相当頑張ったけれど、ダメだった、残念な教会です。
望遠で少しだけ、撮影しましたが、現地では、遠すぎて、認識不能でした。
相当痛んでいますね。でも、やはり近くから見たかったな。
ポルティカーダは、結構新しそうです。でも、見えないところに、古い柱頭なんかがありそうな風情ではあります。
このポルティカーダに扉があるはずだし、つくづく残念。ここでも、慰めはコウノさんでした。
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2017/12/14(木) 06:48:49 |
カスティーリャ・エ・レオン
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> Atsukoさん
コウノトリは、イタリアまでは来てくれないので、スペインでは出会いを楽しみにしているんです。大型の鳥、好きなんで。
まぁ、中に入れないのは、かなりありがちなので、驚かないんですけどね。こうやって、一応覗き見れるようにしていてくれると、それだけでありがたいものです。
2017/12/14(木) 22:58:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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