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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

完璧なたたずまい!(レキハダ)

カスティーリャ・エ・レオン、セゴビア編、その22(2016年夏の旅)

例によって、地味なのが続きましたが、日が変わって、旅の最終日。セゴビアの北東方面に戻る感じで、夜の飛行機まで、時間が許す限り走り回る覚悟で、最初に訪ねた教会は、いろんな意味で、とても良いところでした。




レキハダRequijadaの、ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラス・ベガス隠遁所Ermita de Nuestra Senora des las Vagas。
何もない、のっぱらの真ん中を突っ切るような道を走っていると、いきなり右手に現れました。確かに村から2キロ、とあったけど、こんな幹線道路のすぐ脇にあるとは、ちょっと想像外だったので、びっくりしました。




Ermitaというだけあって、かなりこじんまりとしていますが、何とも美しいたたずまいです。ロケーションも、理想的。
そして、こんなに人里離れた教会だというのに、保存状態はかなり良いのです。

作りも、ちょっと不思議な感じ。上の写真が、おそらく真正面だと思うのですが、ちょっとずらすと。




違う構造に見えますね。
いずれにしても、かなり小さい建物です。

周囲は、牧草地になっているみたいでした。




この隠遁所ができたころは、もしかすると、うっそうとした森が広がっていたかもしれないですね。
ちなみに、村は、教会と道を挟んだ反対側の丘を登ったところにあるような様子でした。

反対側は、漆喰ぬりぬりされちゃっています。




でも、残されたアーチが気になりますね。




左側は、どう見ても扉の跡。後付けのものなのかしらん。
これは北側となります。
後陣も、見事にぬりぬり。




見た様子からは、後陣は、ほとんどを再建したもの臭いです。中に入れなかったのが、残念ですねぇ。
本堂や鐘楼の開口部は、オリジナルなんでしょうけれど。後陣開口部は、これまた、極狭薄目ですね。

塔の下部にある開口部。




薄目開口部ですが、装飾はきちんとされているので、後陣も、オリジナルは、きっとこのような窓になっていたのでしょう。

あまりきれいなので、全角度写真を載せてしまいます。




柱頭、傷みも激しいのですが、でも、きちんとした修復が施された結果なのか、それなりに判別可能なものも多いのです。
スペインお得意のケンタウロス。




同じ柱頭の反対側の方は、顔が無残にもなくなっていました。
細かいことは、やはり忘却の彼方なんですが、どうやら、同じ柱頭の外の面に、やはり有名モチーフが、いらっしゃったようですね。




胸があるようにも見えますが、女性らしさがみじんも感じられない二股人魚。

そして、ポルティカーダに隠れるようにしてある扉。




幾何学模様だったり、市松帯だったりするのに、彩色されていた様子がはっきり。これは、めちゃくちゃかわいいです!

ちなみに、これまで訪ねた多くの教会でそうであるように、ここでも、ポルティカーダの入り口と、本堂への扉は、微妙にずれた位置関係でした。




アーキボルトの根元にある柱頭。




柱頭本体の動物たちの彫りは、かなり溶けちゃっていますが、副柱頭の組紐模様は、よく残っています。ごちゃごちゃしているのが、おもちゃ箱をひっくり返したようっていうのか、いい感じです。すでに色あせている彩色が、好ましいですね。




これ、激しい色だったら、やっぱりちょっと引けちゃうと思うんです。

ところで、教会は閉まっていましたが、この日は、村まで行ってカギを探そうという気になりませんでした。村が見えるところになかったこと、最終日だから、一つでも多く訪ねたい気持ちが先に立ったこと、そんなところだったと思います。
でも、おそらく一番の理由は、この素晴らしいたたずまいに、もうお腹いっぱい気分を感じでいたからでしょう。

とか言いながら、鍵穴撮影、してました。
いや、これは、鍵穴というよりは、扉のすき間撮影ですね。




やけに色鮮やかな、ちょっと面白いテイストのフレスコ画が見えました。
内部で、事前にチェックしていたのは、初期キリスト教時代の洗礼盤だけでした。初期キリスト教時代ということは、全身浸かるタイプの大きいものだったのかな。
実際、垣間見た範囲では、壁とか柱は、かなり修復されている様子がありましたが、この不思議なフレスコ画は、見てみたかったような。

もう一度、扉に戻り、上の方にあった彫り物を。
右側。




スタイルは、マリア様祝福ですよね。
左側。



あ~、受胎告知でしたね。マリアさん、祝福じゃなくて、驚いちゃってるスタイルかぁ。

いやはや、満足度高い教会でした。超お勧め。いつか是非、中も見てみたいものです。

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  1. 2017/12/22(金) 05:51:24|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

凄いですね。怒涛のカスティーリアロマネスクレポート。ありがとうございます。楽しませてもらってます。
  1. 2017/12/22(金) 01:08:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> oteboxさん
なぜか年内で一段落させねば、という日本人病的な感じで、必死です。
楽しんでくださっていれば、何よりです。なんせ、地味な場所が多いもんで。でも、セゴビア県、なかなかにおすすめですよ。たぶん、Oteboxさん、好きだわ。
  1. 2017/12/22(金) 23:32:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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