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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

世界遺産のおかげ、悪いとこといいとこと(マテラ1)

2017.04.プーリアの洞窟教会巡り、その8




モットラで、想定を軽く上回る充実の洞窟教会ツアーを、無事コンプリートして、向かったのは、マテラです。
マテラは、いわずと知れた世界遺産の町。比較的最近、ハリウッド歴史大作が、この町を舞台に撮影されたりして、その知名度は世界レベルで上昇するばかり。
実は、過去に一度だけ訪れた時は、イタリアレベルの観光地としての知名度は、すでに十分あったものの、それでも、観光地化はさほどしておらず、到着してからホテルを探したように記憶しています。もう二十数年前のことですから、イタリア、特に南部では、観光地と言っても、その程度でした。
当時は、教会なども、まったく整備されておらず、荒れるままの教会が、あちこちにあって、廃墟を訪ねるような状態で訪ねた記憶があります。




しかし今回は、一泊目をマテラ泊としたため、ホテル探しの段階で、これはすごいことになっているらしい、という予想がつきました。というのも、ホテルの数が半端なく多い。そして、イースター時期でもあることから、相当早くに予約をしたのですが、手ごろなホテルのほとんどは、すでに満杯状態だったからです。

結局、シングルとしては若干高めだったのですが、旧市街のすぐ外にある宿を押さえましたが、これが、到着時、ちょっとしたトラブルになりました。
行って始めてわかったのですが、そこ、ホテルではなくて貸し部屋だったんですよねぇ。

今や、エアB&Bをはじめとして、民泊的な宿がたくさんあり、予約システムもどんどん良くなってきていますが、そういう宿は、カギの受け渡しの問題などがあるので、一泊だけなどの短期に関しては、私はいまだにホテル派なんです。でも、始末の悪いことに、ホテルと思い込んで予約すると、そういう民泊的な宿、ということが、往々にしてあります。今は、最初から分かるようにしている宿も多いのですが、このときの宿は、Booking.com上では、あたかもホテルのようなプレゼンテーションだったので、完全にホテルだと思い込んでいました。




モットラでのガイドツアーが、予定よりもかなり遅くなり、ホテルに到着したのは、確か19時前後。まずは、宿の場所がわからずに、同じ道を何回もぐるぐるしてしまいました。
なんせホテルと思い込んでいますから、それらしい看板を探していたわけで、見つかるわけもありません。
で、これはもしや、と思い、番地のところをよく見て、貸し部屋であることがわかった次第です。

予定が予定通りに進めば、こういう問題もないのですが、修行旅の場合、必ずしもそういうわけにいかないことも多く、だから、ホテルを好むのです。到着時間がはっきりしないと、お互い困ったことになります。




オーナーさんに電話すると、開口一番、「今日は朝から何度も電話しているのに、なぜ出なかったんだ?」と文句を言われる始末。疲れていたこともあり、正直若干切れました、私。こうなると、イタリア人より始末が悪い自己主張人間になるのは、さすがイタリア在住二十数年の賜物です。
確かに、ガイドツアーの最中も、電話が鳴っているな、と気付いたこともあったのですが、真剣に修行中に、電話に出るなど、私には決してできませんから、何度か無視したのは、その通りなんですが、しかし、予約からこの日まで、二か月くらいあったんだからよ、その間にメールでも何でもよこせよ?と、思いませんか?

そうは言いながら、今すぐカギを持った人を送る、ということで決着しましたが、最初の電話からは、30分くらい待たされたように思います。
カギを持ってきた女性も、開口一番、「ほらほら、電話の履歴、見て、ちゃんと電話してるでしょ」とかいうんで、やっと落ち着いた気持ちがまた切れそうになりながらも、なんとか、部屋に収まった、という顛末でした。

そもそも、最初の時点から、ホテルではない、という事実を明確にしてさえくれれば、問題はなかったんですが、どうも、ホテルではない、ということを隠そうとするオーナーさんもいるようなんですよね。なんでだろう。サービスが劣ると思われるのが嫌なのかな。

このお部屋、ロケーションもいいし、部屋は生活で美しいし、小さなキッチン突き出し、朝食はないものの、部屋に、ビスケットや電気ポットが備え付けてあって、自分で軽い朝食が取れるようになっているし、カップルだったらお値段も安くて、お勧めと言えます。だから、「ホテルじゃないけどいい部屋である」、と自信をもって、売ればいいだけのことなんだけどなぁ。
ただ、シングル料金はなかったし、シングルだとわかってもディスカウントもしてくれないので、シングルにとっては、高めです(一部屋65ユーロ、駐車場無料)。

Gattini 33
Via Gattini 33, Matera
tel +39-3483252175

大騒ぎしましたが、部屋に収まってから、レストランを尋ねると、すっごくよい店を紹介してくれましたので、やっぱりいい人たちじゃん、と思いましたよ。
いい店と言っても、ホテルの並びなんですけれどね。

Gianni's Braceria
Via Gattini 33, Matera




まだお店が開いていても不思議ではない時間ではあったので、外から見えた中の様子は、完全なお肉屋さん。そうしたら、奥が炭火焼きのレストランになっているから、というんです。
ろくなお昼を食べないまま、密度の濃いガイドツアーをしてきた我々は、かなり飢餓感を感じており、まさに渡りに船、という状況で、迷うこともなく、このお店に決めました。

内部は、ざっかけない食堂、というイメージで、およそ世界的観光地のレストランというイメージは、かけらもない店です。でも、観光地には縁のない我らロマネスク病の人間にとっては、そんなことは全く気にならず、この陳列された肉を見れば、おいしいことは保証されているも同然だったので、大喜びでした。

南イタリアの太陽を浴びたミニトマトのブルスケッタ。




プーリアは、パンもおいしい土地です。それを炭火焼きして、にんにくをすり込んでオリーブオイルたらし。それだけでごちそうです。
野菜たちも、ただ焼いて、それだけで幸せ。




お供のワインは、カラフで供された、冷たい赤。これまたお肉にピッタリで、がぶがぶやるのにぴったりの軽い赤で、完璧。
そして、メインのお肉は、お任せで。




同行者とは、久しぶりの再会だったにも関わらず、ブリンディジの空港で会って以来、修行に突入してしまったので、ここで爆発的におしゃべりとなり、すごく楽しい夕べとなりました。
地元食堂という感じで、入ってくるお客さんも、独り者の労働者風ばかりで、本当に気の置けないよい店でした。自分たちが、本当に世界遺産の観光地にいるのか、ということをすっかり忘れるようなひと時。

食事後に、旧市街までは10分足らずということだったので、腹ごなしに散歩に向かいました。




旧市街に近づくにつれ、すごい人混みで、街中は、もはやお祭りか?というような人出で、そこで、おお、世界遺産の観光地にいるのだ、と改めて実感いたしました、笑。




気持ちの良い春先の宵ですから、地元の人も多数。同時に、観光客も多数で、とにかく原宿の竹下通りに匹敵する人混みでしたよ。




とはいえ、一歩裏道をのぞくと、ひっそりとした道が、続いています。




昔は、こんな道を見たら、どこまでも進みたくなっちゃいましたけれど…。
そして、建物の隙間からのぞくと、サッシがちらりと見えたり。




なかなかに美しく。
以前訪ねた時は、こんな風な美しいライトアップなんかはなかったよな、と思います。もちろん、夜、これほどの人があふれていることなどはありませんでした。
まぁ、二十年以上もたてば、変わりますよね。良くも悪くも。

というわけで、再開の足慣らしに、世界遺産でもあることから、観光地の紹介となりました。世界遺産化、観光地化のおかげで、発掘整備された洞窟教会の見学が、この町に来た最大の目的ですから、観光地化も、決して悪いことではないですね。
マテラは、町中にも洞窟教会がたくさんあり、そのほとんどが、今は見学可能に整備されており、これも、観光地化の恩恵ですから。

次回から修行に戻ります。

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  1. 2018/03/21(水) 06:30:42|
  2. プーリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:14
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コメント

No title

裏道の石の道路に私は惹かれます。

写真に撮っても絵に為るんですよね?
日本には無い風景なので、異国に来て居ると言う思いが致します。
  1. 2018/03/20(火) 23:16:00 |
  2. URL |
  3. 古道具屋<山下亭> #79D/WHSg
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No title

corsaさん了解。無理しないでご自分firstでね。
「ただの観光客のくせに不遜を承知で申そう、美術館や動物園のようにフレームに閉じこめられた空間を眺めていてもちっとも楽しくはないのだ。旅でおもしろいのは、土地々々の人々の暮らしにふれたり、空気や時間を共有できる楽しさだ。いざ田舎へ!」
これ’97旅のマテラで書きつけた日記です。私もやっぱり20年以上経ってますな。若いポリスが親切だったこと、サッシの深夜レストランが美味かった事が記憶に残っています。
  1. 2018/03/21(水) 00:09:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
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No title

きゃ~~爆発して欲しかったなあ(≧∀≦)。海外に行くと私もそれなりになります(≧∀≦)あははは!
レストランでも冷めて不味かったみたいなことをローマで言ったけど、知らない日本人が物凄く驚いた顔してましたね(≧∀≦)。不味かったんだもん、マヂで。お店も多分心当たりがあったみたいですけどね。バカにすんなよ!ってスペイン語で怒りました。
母がキレるタイプの認知症が進んで地域支援包括センターにも病院にも相談しましたが日常生活が送れるなら何も支援なしなんだって言われたんで、何のための支援センターなんですか?病院も何のための認知症外来?ってぶち切れて、何かあればそちらで責任取ってくださいね!って言ってしまった…日本はヤバイかなあと反省し始めたところです。
すごく素敵な場所ですね~~同伴者がいてくれたら夜歩けていいなあ!一人でそのひっそりした道は怖いかも。65ユーロなら安く感じるけどB&Bかあ。ちょっと高いですね。ご飯美味しそう…。腹減った…。
  1. 2018/03/21(水) 01:03:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
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No title

まあ!凄い人出の観光地になっているのですね!
このあたり何時か行きたいと思っていましたが、、、、
人があふれている場所はちょっと苦手、、、

でも素敵な場所なのですね!
ナイス・ポチ!裏通りも良い雰囲気で
お食事も美味しそう、、、

私もフランス語で啖呵きってしまうほうです!
パリでついやりましたが、、、妹にたしなめられました!
「ナイフで刺されたりすることもあるでしょう?」って、、、

旅のスケジュールもだんだん混んできて、それとか
ついこの前、やっと見つけた家庭医が6月で辞めるって通知がきて
なんだかそれもガッカリです。
  1. 2018/03/21(水) 11:53:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
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No title

> 古道具屋<山下亭>さん
こういう石の脇道は、惹かれますよね。私も、今でも惹かれるのは、こういう小路ですよ。いろいろ忙しくて、たどる暇がなくなっていくのが、辛いところです。
  1. 2018/03/25(日) 22:43:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

> oteboxさん
細かいことは、ゲストブック等で、お願いしますね、内緒コメントもできますんで。
20年とかで、当然ですが、いろいろ変わってきます。欧州は、観光客増加で、私が住みだしたころとは激しく変わってきていること、ひしひし感じる今日この頃です。誰一人いないような時代に歩いといてよかった、という場所、たくさん。
昔は、ピサの斜塔すら、登り放題だったんですからねぇ。
  1. 2018/03/25(日) 22:46:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

> まーたんさん
ローマは、腹立たしい店、多いよ。イタリアはね、意外と、おいしいもの食べられなかった、という観光客多いんだよね。ローマとか、ベネチアとか、ひどい店が、結構多いから、そういうことになると思う。そして、日本人は、その場で何も言えないから、カモられるし~。
介護の話とかは、是非、じっくりしたいところ!
そちらにもお邪魔しますね~!
  1. 2018/03/25(日) 22:48:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

> Atsukoさん
マテラは、ちょうどイースターだったので、人出がさらにすごかったと思います。
まぁ、いわゆる観光地の人出は、いまや、どこでも、半端ないので、いつだからどう、というのもないのかもしれませんけれど。
でも、やっぱり、いいところはいいので、いくら人が多くても、いつか行かないと。ということで、マテラも、お勧めです。洞窟教会、いいですから~。
  1. 2018/03/25(日) 22:50:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

ご無沙汰してます。
MOTTOLA の洞窟教会、地下聖堂やフレスコ画の記事
を興味深く読ませていただきました。
正月に、プーリアのクリプトに関するお話を伺いま
したが、正直余り重要に思っておりませんでした。
が、どっこい、「恐れ入谷」「びっくり下谷」です
な。TARANTO や MATERA に数日滞在したことがありま
すが、MOTTOLA に関する知識や情報は皆無でした。
南イタリア再訪の旅が、おいぼれの頭の中に浮かん
でいます。シチリアももう一度行きたいですしね。
  1. 2018/03/29(木) 08:38:00 |
  2. URL |
  3. ほあぐら #79D/WHSg
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No title

昨晩最新の映画「マリー・マドレーヌ」(マグダレナのマリア)を
観てきましたが、、、撮影場所はここではないか?と思いました。
ジェルザレムの様子が何となくこれって,行ったことは無いのですが
マテラのように思いました!
  1. 2018/03/29(木) 14:03:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
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No title

> ほあぐらさん
イースターで忙しくて、またさぼっていますが、この後も、なかなか興味深い洞窟がありますので、どうぞ、気を長く、お待ちくださいね。ビザンチンへの興味があると、これはお勧め。まさに恐れ入谷ですよぉ。
なんでも、やっぱり現場ですね。もしかして、たいしたことないかも、と思っていたのですが、想像以上で、行ってよかった、と強く思わされた土地です。
  1. 2018/04/01(日) 20:40:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

> Atsukoさん
ああ、ここで撮影していたのは、その映画だったんでしょうかね。地元の人たちも、エキストラで、多数出演したんだったと思います。あそこは、そのまんま、古代のイメージですからね。
  1. 2018/04/01(日) 20:41:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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No title

メル・ギブソンの映画もパッションでしたか
ここで撮影したようです!
  1. 2018/04/09(月) 23:16:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
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No title

> Atsukoさん
passion、かなり昔の映画ですよね?見た記憶はありますが、マテラでしたか。あの町は、ちょっと映画撮ってみたくなるかもね。
  1. 2018/04/11(水) 20:57:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
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