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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ミクロねじりん棒円柱とか、今更びっくりした(マテラ3)

2017.04.プーリアの洞窟教会巡り、その10

早朝からの「原罪の洞窟」見学で、度肝を抜かれたというか、マテラの洞窟もなかなかやるな、というテンションで、旧市街に戻り、洞窟教会巡り、兼観光の開始です。




マテラには、ずっと昔に来たことがあるということは、以前も書きましたが、当時も町は観光地でしたが、洞窟教会については、ほぼ完全に整備されていなかったと思います。
そんな中カテドラルは、ごちゃごちゃとカオスな感じの旧市街の中で、どこからでも認知しやすい高台に建っていて、存在感があります。
ギザギザの稜線ばかりのアルプスの中で、一人にょっきりと角を突き出している、マッターホルン的な?




しかし、姿は見えども、結構な高台にあるため、近づくためには、かなりの坂道や階段のアップダウンを覚悟しなければなりません。




マテラ大聖堂Duomo di Matera。
それにしても、かなり最近お掃除したばかりなんでしょうね。あまりにわざとらしい白さに、若干興ざめしました。そういう白い石なのだから、できた時もこういう様子だったのだろうとは思いますが、中世ファンとは勝手なものです。
しかし、春先だというのに、この強烈な日差しの下では、あまりにまぶしくて、まともに細部を見ることさえままならない感じでした。南の太陽、恐るべし。

それにしても美しいプーリア様式のロマネスク。時代は若干下るので、ゴシック的な完成度が強くて、私の好みではありませんが、ロケーションと言い、スタイルと言い、色彩的なコントラストと言い、印象的であることは間違いありません。

とにかくまぶしさで、現地では、細かいところまで見切れなかったのですが、改めて写真で見直すと、とってもプーリア。




美しい装飾がほどこされたバラ窓、周囲を四つのフィギュアに支えられています。バラ窓に比して、妙に小人的なフィギュアで、愛らしいというか、アンバランスというか。

傾斜屋根のトップの装飾、独特です。




どう見ても、これは洗いすぎとしか思えない白さ、かつのっぺり感で、写真で見ても、ちょっとがっかりですが、それはともかく、縁取りが小さなアーチになっているのがかわいらしくて、その上、普通だとアーチのところにちょっと柱頭半分くらいのスペースを設けて彫り物をする感じなのに、なんとアーチの下に、ちゃんとミクロな円柱、それもねじりん棒円柱という凝りよう。
これは、他では見た記憶がありません。

扉周りの透かし彫りもすごいんだけど、ちょっと新し感が強すぎて、あまり魅力は感じませんでした。




それよりも、現在入り口となっている、南側の扉口の方が、面白いかも。




二つありますが、面白いのは、奥の方、つまり後陣に近い方の扉、ライオンの扉と呼ばれている方です。手前のは、これもファサード側同様、修復された感が強すぎて、ちょっとこれはいいわ、と思ってしまうタイプです。




ああ、でもこうしてみると、きれいですね。そろいすぎているのが、ロマネスク的には、ダメでしょう、と思ってしまいますけれど。その辺が病気ですね。
タンパン部分にはめ込まれているのは、預言者アブラハムということです。信仰を広めるために神に選ばれたもの。それにしても、置かれた場所全体での大きさのバランスが、不思議すぎます。これは、あとからはめ込まれた疑惑もありですね?




奥の方の扉も、同じように整いすぎてはいるんですが、アーキトレーブ、いわゆるまぐさ石のところの彫り物が、面白いんですよ。




ん?モンブラン(ケーキの)?と思うような絞り出しのうにゅうにゅした髪の毛の人が、ずらりと。これは変わっていますよね。下に置かれた、こっちは和菓子的な花のモチーフも、独特です。
解説によれば、上に並んでいるのは松かさ、そして天使のお顔とお花。いずれも、教会の純潔性とか清純とか、そういったもののシンボルということらしいですが、天使っていうのは、若干とうがたってるイメージっていうか~!あ、雷に打たれちゃうかな。

ライオンの扉と呼ばれるのは、入り口両脇に、二頭のライオン君がいるからですが、それが、見事に溶けています。




このライオン君も、扉や教会に比すと、細部がちょっと小ぶりで、アンバランス。なんか、いろんなところでアンバランス感を感じさせる教会ですね。

この扉にほっとしたのは、オリジナルの浮彫を、半分溶けてしまった状態で、置いてあったからでしょうね。ちょっと残念だけと、このくらいの状態だと、時間が感じられて、ロマネスク感がドカンと来ます。他の場所は、もしかすると、完全再建なのか、保存状態がよかったのをさらによくしちゃったのか、そういうことなんでしょう。

その感覚は、二つの扉の間に置かれた、この立派な窓装飾でも、わかっていただけるかと。




ここも、周辺部はかなり再建臭い整い方なんですが、窓枠の一番内側の装飾の素朴さが、魅力だと思います。




ついでに、写真で気付きましたが、この、北海道土産、「鮭を加えた熊」みたいなライオン像も、めちゃくちゃかわいいですね。
右側の子も、どう見てもヒトを食ってるんですが、ちょっと気になるだらけ顔です。




素朴と言えば、これ、翼廊に当たる部分なのかな。




建物を縁取っているお花モチーフの浮彫が素朴でかわいくて、小さくてシンプルなバラ窓を取り囲むフィギュアが、現代アートっぽい雰囲気もあって、かわいいんですけれど、詳細見えないんですよね。残念。

次回、内部をご案内します。

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  1. 2018/04/09(月) 01:48:10|
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