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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

普通の観光旅行は、もう二度とできないのか…(マテラ6)

2017.04.プーリアの洞窟教会巡り、その13

マテラ、続きです。
カテドラルと洞窟教会以外にも、いわゆる普通の教会も、たくさんある町です。

多くの人々が、近年に至るまで、サッシという洞窟住居に暮らしていたことから、貧しい土地、という印象ですが、本当のところはどうなんでしょうか。洞窟住居は、家を建てるより簡易だし、季節に対応して、一定の温度を保ってくれるなどの利点がありそうですし、必ずしも、貧しいからだけということもないような気がしてきましたが、本当のところは、例によって、まったく勉強しておりません、笑。

洞窟教会も含めて、これだけの数の教会がひしめく旧市街を歩くと、信心深い土地だから、
というだけではなくて、それなりに富が集まったという側面もあったのだろうと思わざるを得ないからです。貧富の差は激しかったのでしょうけれども…。

今町で最も人が集まる広場に、中世起源の教会が、二つあります。




広場の隅っこに面して、四角いファサードを持つサン・ドメニコ教会と、その後ろ側に建つサン・ジョバンニ・バッティスタ教会です。

この広場、到着した日の夜に、ちょっと散歩に出たのですが、本当にびっくりする人混みでした。




イタリアを知らないで、いきなりこういう風景に出くわしたら、いったい何が起こっているんだ?と思いそうな人出です。イースターのお休みでしたから、勿論観光客も多かったとは思いますが、地元の人比率も高いはず。

この広場の地下には、やはり古い建造物があり、観光地となっているようでした。詳細は知らないのですが、長い時間をかけて掘られた、地下都市、とでも言ったスペースのようです。墳墓という名称がついていますが、必ずしも、墳墓だけではないようで、時間的に余裕があれば、ちょっとそそられる施設ではありました。




が、例によって時間もありませんし、一般的な観光地には見向きもせず、教会を目指す修行旅です。

まずは、サン・ドメニコ教会Chiesa di San Domenicoです。




時の流れに乗っかって、建物全体の姿すら、おそらくオリジナルからは大きく変容してしまったものと想像しますが、辛うじて、ファサードの一部が残されているのです。
この、アーチと、小さいけれど、プーリアっぽいバラ窓は、注目です(ここは、バジリカータですが、この辺りについては、プーリア文化圏と思います)。




バラ窓を支えるフィギュアがとても面白いです。
テイストとしては、ちょっと時代が下る感じもあるのですが、無理のあるスペースに、ぎちぎちに無理な姿勢で置かれたフィギュアのあり方は、どうしてもロマネスク的なものですね。




バラ窓のつくりや、その周囲の浅浮彫は、素朴で、何とも言えない味があります。




残念ながら、教会は閉まっていて、開く様子もありませんでした。

その先に進むと、今度は、サン・ジョバンニ・バッティスタ教会、つまり洗礼者ヨハネ教会があります。




なんだか、ずいぶんいろんな様式が混ざっちゃった感じのファサードですが、まず注目すべきは、正面の扉装飾です。




繊細な透かし彫りのような、ちょっとアラブテイストもあり、みたいな、ごてごて感、半端ないですね。さて、気付かれるでしょうか。




これ!カテドラルの扉にあるものと、まったく同じなんです。同時代のものらしく、どっちがどっちを真似したとかではなく、あえて同じ装飾をしたような様子ですが、本当にところはわかりません。
私は、こっちを最初に見てからカテドラルに行ったので、結構驚きました。そして、カテドラルの方は、修復でピカピカつるつるで、まるで再建のような様子だったので、それにもびっくりした次第です。

外観では、もう一つ気になるものがありました。




ちょっと離れないと見えないんですが、後代にいろいろ付け足しされてしまったという現実がわかるようなものが、奥の方も、もともとの本体だったであろう建物の側壁の上の方に、かすかに見えるんです。




涅槃図のようなスタイル?または、アトムのように、こぶし握って飛んでいる姿?いずれにしても、何とも愛らしい様子で、ちゃんと見たいものでした。
あ、もう一つ、忘れていはいけないのが、脇の方の建物から入った、表からは見えない場所にある、12世紀、創建当時のファサードにあったらしい扉跡です。




これが、1200年代最初の教会の扉で、今あるファサードは、カテドラルと同じで、13世紀も後半以降のものなのだと思います。
こちら、地味ですが、好みとしては、こっちですねぇ。




愛嬌のある動物の顔や、大振りの組紐装飾柱。繊細さがみじんもない花浮彫。こういうのは、やはり好き。

デザイン的には、今は側壁となっている、オリジナルでは、ファサードと反対側につけられた窓の装飾と、共通するものがあるようです。こちらは、修復が激しく施されているので、一見、より装飾的に見えますけれど。




一気に行きたかったのですが、中も、ちょっといいんで、次回。

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  1. 2018/04/16(月) 05:07:05|
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