フオリサローネ2018 その1
先週、またブログの更新が止まってしまったのは、おなじみさんにはもしかして恒例の、サローネ週間だったからです。
毎年、誰に頼まれているわけでも期待されているわけでもないのに、ひたすら町を歩き回る一週間も、もはや数年にわたる恒例となってしまって、今回は軽く流そうと思っても、それができない体質になってしまった感があります。
今年は、年初早々から二回の一時帰国に続き、フィギュアスケートの世界大会に興奮し、仕事の年度末(3/31)に悲鳴を上げ、年度末と同時に訪れたイースター休暇では、日本から訪ねてきた友人のアテンドで動き回り、彼女が帰った直後にサローネ週間となりましたが、同時に、会社の引っ越しがどんぴしゃりで…。
もうびっくりするくらいの怒涛の日々で、気付いたら、もう今年も三分の一が終わろうとしている事実に、愕然とする今日この頃です。
ブログに記録するのも、かなりどうでもよい気持ちもあるのですが、でも、自分のいい加減な記憶のためには、やはり何か残しておきたい気持ちがあるので、誰のためでもなく、というより、こちらにいらしてくださる方のほとんどは、ロマネスクを期待されているのを知っているので、またまたの寄り道、申し訳なくも思うのですが、ま、いいかということで、しばらくは、フオリサローネの記事となります。
定石通り、今回も大学からです。インテルニのパンフレットを入手して、興味のある展示だけを効率よく回るため。
今回のインテルニの展示のテーマは、House in Motion。でも、大学の展示は、どうも一つとして引っ掛かるものがなくて、うーん。今回はどうだろうな、と暗雲気分でいっぱいになりました。
Future Space by Peter Pichler Architecture with DOMUSGAIA
大学入ってすぐのメインスペースの、ど真ん中に組まれた木の館。
列があったので、すかさず並んだものの、中に何があるでもなく、組んだ木の隙間からの景色が面白いとかあるのかと思ったけれど、特にそういうこともなく。
これはこれで、すごい技術を使っていたりするんだろうけれども、エキスポでの日本館の木組み建築を考えると、木の文化で育った人には、インパクトがあまりない。
行列と言えば、こちらも。
Alla Scoperta dell'infinito by Lorenzo Damiani with IKEA
入場が入れ替え制で、行列が出来てきたので、慌てて並んでみました。壁に取り付けられた棚に並んでいる赤いものは、手回し電力で使う懐中電灯。
突起をぐるぐる回すと発電して、明かりがつきます。一人一人に渡されるので、お、中は暗いのか、とちょっと期待するじゃないですか。
ところが中入ってびっくり。というか、がっかり。
イケアですからね。おなじみ感のある組み立て家具のパーツが、上下左右縦横無関係に、びっしり壁に並べられているだけの展示で、ちょっと暗くしたり、なんか効果のない演出をしておりました。
この、家そのものを、そのまま持ち運べる、というコンセプトのものらしいですが、そんな説明、されていたかな。面白くなくて、早く出たくて、真面目に聞いてなかった…笑。
実は、本当のオープンの火曜日の一日前、プレオープンの日に訪ねたので、まだ準備中の展示も多数でした。
Colors on the move by Aldo Cibic with ABET LAMINATI, SAIB
おそらく各パーツが移動可能とか、そういうコンセプトのものなんじゃないですかねぇ。赤い上物は、机のイメージだそうですわ。まぁ、そういわれたら、そうですが、だからなに?入っても、特に発見はなさそうな展示です。
ほぼ唯一いいと思ったのは、このおなじみのウサ子たちと、去年初登場のゴリラかもなぁ。
ウサ子たち、守られてますよ。座れないし。
Visionair by Labics with ELICA
ここは、この日インヴィテーションオンリーで、中にはアクセスできなかったんですが、内外とも三角のガラス、というより鏡面張りで、残像が楽しめる的な構造です。こういうのって、もう古くないんですかね?今更?と思いましたが…。
My Dream Home
by Lissoni Associati with Elisabetta Illy and Stefano Guindani,
with DMECO ENGINEERING DIVISIONE LIVING
コンテナハウス。上階もアクセスできれば、何か面白いことが出来そうな構造ですが、アクセスは、地上階だけで、中には、ハイチの子供たちの絵が絵とか飾られていたようです。そういうのって、正直よくわからないな~。こういう壮大な無駄みたいな産業見本市で、ハイチの写真展とか、なんかな~。
これは、かわいいです。
このおうち型ランプは、別の会場で再会しますし、そちらの方がずっと雰囲気があります。
これ、かなり印象的だった。
On the Road by Marc Sadler with FPM – FABBRICA PELLETTERIE MILANO
これ、カバンとか皮ものを作っている会社の提案だと思うんですが、大型のカバンを開けると、キッチン家具、オーブンだったりコンロだったりテーブルだったりが出てくるんです。外見は、かなり高級そうな、昔、貴族が船旅に使ったようなカバンのイメージです。
こんなに地味なのに印象的だったのは、なぜかというと、隣にいた、成金的なおやじが、そのベッドはいくらなんだ、と聞いていたんです(地面に置かれている布がそれです)。確か7000ユーロとか言っていた気がします。ひえ~、の値段だけど、そのやり取りで、おお、これは確かに見本市なんだな、できれば出展者は、引き合いがほしいのだよな、という基本に思い至ったのです。
私をはじめとして、ただイベントとして見学している人なんか、本来はお呼びじゃないんだな、という現実です。もちろん、それだけじゃなくて、イメージを売るために出店してきている会社は、買う気なんてはなからない見学者も大歓迎ですけどね。
しかしあの鎖じゃらじゃら系のおやじ、本当に興味があったのかなぁ。
House Emotion by Tabanlioglu Architects with NURUS
これは、夜間だと、意味もなくきれいかもしれません。というのは、一本一本の棒に、電気が埋め込まれているから。
でも、面白いかというと、どうだろうな。
二階へ向かう階段の扉口。
一方は、本物の花が飾る垂直ガーデン。
Modular Giardino by Luca Baronchelli with ITALMESH
もう一つは、明るい黄色が印象的だったこれ。
Mesh and Colour
でも、二階部分は、これだけで、ちょっと寂しい展示でした。
Limbo by Jacopo Foggini with FERRAGAMO PARFUMUS
樹脂みたいな素材で作ったスパゲッティ状のものを絡めて、板状にしたものを、並べたもの。遠くからだと、こういう感じになります。
きれいな桜色で、遠目にはきれいなんですが、近寄ると安っぽい素材だし、建材としては絶対に使いたくないやつだなぁと思ってしまいますね。
奥の方の回廊では、これまた地味な展示。
Home Co-Thinking by Massimo Iosa Ghini with ITALCER GROUP
すべてがオープンの共同スペースみたいなコンセプトのものらしいです。巨大テーブルも、一部ある壁も、落書きスペースになっていて、皆が熱心に落書きしていました。
なら私も、と日本語で感想を記してきました、笑。
もう一度メインの回廊に戻ると、パフォーマンスが。
Baldacchino by Stanton Williams Architects with FOCCHI GROUP
無機質な素材で作られた居間スペース。絶対にくつろげないよね、笑。
そこで、これまた無機質感満載の、白っぽい人が、無言でダンスを始めました。ダンスってエモーショナルなイメージだけど、こういう無機質なダンスもまた不思議に面白いところはあるな、と思いましたが、なんだか、売りたいものは、まったくわかりませんでした。
というところで、一日目終了。
今回は期待できそうもないと思いつつ、火曜日から本格的に歩きだしたら、そんなことまったくなくて、結果的には、いつに増して歩いた1週間となってしまいました。
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/04/26(木) 00:21:25|
- ミラノ・フオリサローネ
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