フオリサローネ2018 その6
ルイ・ヴィトンの展示、続きです。
革の花器。 中にガラスが納められていますが、花瓶そのものが、花びらを重ねてできたようなもので、その正確な仕事には脱帽です。好みかと言えば、さほど好きだとは思えないのですが、とにかく職人技の美しさ素晴らしさには脱帽です。
そして、鏡で奥行きを演出した狭いスペースに並べられた、ボトル型のランプ。
ボトルを下げる部分が皮です。これね、結構大きいボトルで、存在感があって、かなり好きでした。この展示、すべての作品の見せ方が素晴らしいですね。
先の暗い部屋には、プリズムのような光をまき散らす装置があり、壁には、幾何学模様となった鏡が飾ってあります。
ただの装飾と思ったのですが、鏡だったんですね。それも、裏が革で作ってあって、仕掛け付き。
なんと、たためるんです! そして、幾何学模様の作る目の錯覚的な面白さもありますね。たたんだら、びっくりするくらい小さくなってしまうの、驚きませんか。 これ、持ち運びにも、重宝しそうな品物ですよね。いや、周囲の三角は、役に立たないか。
しかし、鏡をたたんで、鏡面を隠す、というのは、すごい発想のような気がします。こちらでは、鏡は絶対に隠さないですから。ベルサイユの鏡の間の世界で、鏡は奥行きを広げるアイテムとして使われるもので、日本の鏡台のように、カバーを付けるという発想がないと思います。 この折りたたみ鏡の発想は、どこにあるんでしょうね。
そして、かなりのスペースが、家具にも割かれているのは、驚きでした。
カバンの撮っての技術を使ったような素材で作られた衝立状のもの。御簾とか几帳とか、日本だと、衝立って、邪魔にならないような、そこはかとなくイメージのような気がしますが、ヴィトンの衝立は、堂々と存在感を自己主張しています!
小型の椅子。
これは、ヴィトンの皮革技術は、最小限という感じでした。 ちなみに、家具のラインは、数年前から手掛けていて、欧州の著名メーカーやデザイナーと提携しているそうです。とにかくどの分野でも世界の一流レベルを目指すというコンセプトで、今やカバンのみならず、家具や時計や、かなり多方面にヴィトンブランドを広げているようです。
昔のブランドは、それこそトイレタリー製品にまでイニシャルを付けるだけのライセンス商売をしてぼろ儲けしていたように聞いていますが、今はそういうのは流行らないんでしょうね、きっと。安売りではなく、あくまでクオリティを保って、高額商品だけで攻めていく、というやり方。ブランドを売っていきたいなら、確かにその方が正しい方向性でしょうね。タオルやスリッパまでヴィトン、なんて、おかしいですもんね。
小型の椅子は、もう一種類並んでいて、これは面白かったです。
形が面白くて、なんだろうね、椅子か、足置きか、と同行者と話していたら、ここではイタリア人の女性コンパニオンが寄ってきて、いろいろ解説してくださいましたよ。そして、前回の銀座店の販売員さん同様に、テレビショッピング状態に…!
確かに我々食いついちゃったんですけどね。なんせ、色がいいんですよ。どれもが華やかなのに中間色っていうのか、他を邪魔しない絶妙な色合いで、その上、これ折りたたむとぺったんこになります。 例えば車に積んでいると、結構役立つのではないか、とかそういう代物。 お値段の話も出てきましたよ。確か一脚2900ユーロ。ほぉぉぉぉ。 もし、ご興味があれば、もっと明るい場所で見てもらったりもできるから、日曜日にまた来てください、と名刺までいただいちゃいました。
これはね、お金に不自由しない人だったら、革製のお花よりは、実際にほしいと思いました。でも、このお値段では、現実的ではなくて、残念~!
それにしても、ヴィトンの販売員は、皆さん素晴らしいです。お金に余裕があれば、ちょっとふらふらっと別室にいざなわれてしまいそうな、そういう接客テク、持っていらっしゃいますね。 そういう選りすぐりの販売員を送り込んだんでしょうかねぇ。それはそれですごい力の入れようです。販売数に応じて、ボーナスとかあったりするのかなぁ。ある意味、ブランドとして見直したよ。
こちらの椅子も、すごく好きでした。
可愛いですよね、ちょっとレトロで。 でも、先ほどの折り畳みがあの値段だとすると、想像はつきますから、勿論確認もしませんでしたけども。
どの家具を見ても、もうお値段の話で盛り上がっちゃって。これなど、ゼロの桁が全然違うだろうな、と。 いやはや、眼福でしたし、楽しい展示でした。 来年も期待したいですね。
さて、ヴィトンのおかげで、ベネチア通りをずいぶんと北上していましたが、再び町の方に戻り、去年も楽しんだスペースに向かいました。
Audi City Lab Fifth Ring Mad architects c/o House in Motion
修道院後のような中庭に、今回は水を張って、蒸気が時々噴き出す仕掛け。 動画を乗っけてみたいと思いますが、さて、うまく行きますか。
アウディですから、勿論車を展示していましたが、びっくりしました~!
去年までは、まだAIを語る段階で、自動運転につながる、AIのいろいろの展示がありましたが、今回は、あちこちで、自動運転車のプロトタイプ的な車が展示されていました。 運転席ではなくて、ただの椅子があるだけ、という中身なんですよね。ハンドルの代わりにビデオ、みたいな。 実用化には、特に欧州では、相当時間がかかると思われますが、それにしても、もうアイディアはかなり明確なようです。技術というのは恐ろしいものです。 黒電話が、もはや伝説的な存在になってしまったように、マニュアル車が、歴史上の存在になってしまう時代が、もしかして生きているうちに来るんでしょうか。電話よりも、信じがたいことですが、技術の進歩スピードを考えると、そういうことになるんでしょうね、おそらく。
そろそろ日が傾いてきたころ、ドゥオモまで戻り、気になっていた展示を訪ねようとしたら、この日は、インヴィテーションオンリーのアペリティフで、入場できませんでした。
Salone del Mobile Living Nature. La natura dell'abitare
ずいぶん前から、大掛かりな工事をしていたので、何ができるんだろうと期待していましたが、要は温室でしたね。ま、素通しで中が見えたので、あえて中に入らなくても問題なし。準備が大げさだった割には、目新しさもなく、ちょっとがっかりかな。
この裏にある王宮博物館で、気になる展覧会がありますので、いずれにしても、通過する場所でした。
Alcantara, Nove viaggi nel tempo (Nine journeys through time) Palazzo Reale
アルカンターラは東レの世界ブランドで、イタリアでは大手メーカーとしての存在位置を占めています。毎回、結構大掛かりな展示を行いますが、正直、素人には、あまり面白かったことがありませんでした。 でも今回は、美術館での展示だけに、非常にアート的で、なかなか楽しめました。 9名のアーティストの作品を、個別に展示しています。
印象的だったのを、いくつか。
小さな四角には、小さなモーターがついていて、モーターから伸びている細い針金状の棒が、神経質に動いて、ざわざわした音を立てています。その仕掛けが壁中にあるので、何ともイラつく(笑)イメージが、部屋中に張り巡らされている作品です。 面白くて、つい動画を撮っていたら、動画禁止です!と怒られました。
そのあと、つい作品に触っているところを、触らないでください!と、怒られ、怒られ続けながら、たどり着いたのが、これ。
塩田千春さんの作品。Reflection fo Space and time ベネチアのビエンナーレで、この人の鍵の作品を見ましたが、とても印象的で、これを見た時、すぐに塩田さんでは?とわかりました。 この作品、勿論アルカンターラを使っていて、張り巡らされたひもは、なんと110Km と、説明にありました。
大きな箱型になっている中に、洋服が見えるのですが、どうも構造がわからず、周りをぐるぐると回って確認していたら、さんざん怒って、あきれているだろう係員が、親切にも、いろいろ解説してくださり、面白い時を過ごせました。
なんせ、かなり力の入った展示なのに、見学者、ほとんど誰もいないんです。 もったいないことでした。
アルカンターラは人工皮革で、車のシートなどによく使われている素材のようですが、幅広な用途があるものです。
手触りは柔らかい革そのもので、吸い付くような感触があり、とても気持ち良い触感です。 日本の技術、なかなかたいしたもんですね。
ということで、あともうちょっと続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2018/05/03(木) 06:16:02 |
ミラノ・フオリサローネ
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ルイヴィトン!
流石はフランスのメーカーと言う気が致しますね。
フランスのお洒落間隔のデザイナーを全て採用?
そんな感じも致します。
皮へのこだわりをを感じますね?
この様な感覚はフランスに住んで居たので、素直に納得できます。
日本人とは違う感覚なんですね?
フランス人の人生に対する生き方の違いとも、日本人の私には感じられます。
2018/05/03(木) 09:26:00 |
URL |
古民家の田舎暮らし<山下亭> #79D/WHSg
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> Atsukoさん
インダストリアルとはいえ、本物のアーティストの作品もあったり、境界的な部分も面白いですよ。
2018/05/04(金) 22:09:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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> 古民家の田舎暮らし<山下亭>さん
こだわりは、やはりあるんですよね。多くの革メーカーが、もともと馬具とかですよね。そういう伝統、職人技、というのは、生きているということですね。
フランス人苦手ですが、イタリアとはまた違うこだわりがあるように思います。たぶん、その辺が苦手の原因なのかも、とも思います、笑。
2018/05/04(金) 22:11:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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