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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

疲労の極に、おそろい伊達男八人衆

フオリサローネ2018 その9

トルトーナ、続きです。
Nendoのあとは、もう一つの目的を探して、スーペルストゥディオをうろうろします。
見つからないなぁ、と後から考えれば、全然違う場所をうろうろして、出会ったのがこれ。




Kengo Kuma and Associates
Breath/ng

なんかね、壮大な折り紙作品なんですよ。
置いてあると、ただの折り紙にインスパイアされたアート作品にも見えるんですが、これ、ナノテクとかを駆使して、空気の汚れを吸収するとかそういう素材を使って、まさに折り紙を折るようにしてハンドメードで折ったパネルで形作ったものなんだそうです。
隈さんらしい作品、と言ってよいのでしょうね。
壮大だけど、地味です…。

広い会場をうろうろして見当たらず、受付で尋ねて、やっと見つけたのが、目的のこちらです。




Kawai
Christal Rain (Takahiro Matsuo/Creation partne and light artist)

もっと大きなスペースでやっているはず、と思い込んだので、かえってわからなかったのですが、とても小さい場所を駆使して、こんな素敵な空間を作っていました。
これも、画像をのっけてみますね。


LEDの雨が、演奏の音の強弱によって、強くなったり弱まったり、また光の流れが変わったり、つまり光が音に反応するシステムだったようです。
ピアノは透明で、全体がキラキラしています。




ピアノのある場所は、水が張ってあるのが、びっくりでした。




こんな場所をアップにして、演奏者の方には悪かったかもですが、思わず、注目しちゃいましたよ。
靴がダメになりそうだし、ペダルも滑って、弾きにくそうだなぁ、と若干同情しつつ。

出る時に、Kawaiの方がいらして、ちょっとお話を聞くことができたのですが、この水は、クリスタル・レイン、というコンセプトのために、張ったものだと。そうか、コンセプトね、すっかり失念していました。
私は、演奏者が大変そうだという印象しか受けなかったのですが、実は、ピアノ製作者にひどく怒られたんです、と恐縮しておっしゃっていました。というのも、一見、すべてガラスとかプラスチックとかの透明素材で作られているように見えるピアノですが、音を鳴らすために、やはり肝心の場所は木を使っているので、水は大敵なわけです。技術者としたら、かわいいわが子を、わざわざそんな状態に置くことに納得ができない、でも展示ディレクターとしては、イメージやコンセプトを重視せざるを得ない、ということだったらしいです。
正直、LEDの雨で十分で、本来売るべき製品を品質を損なうような水までは張らなくてもよかったんではないか、と思わないでもないですが、全体美しかったので、展示を楽しむ観点からはありでした。

あとは、軽く流すように、見学。




Cappellini by Shiro Kuramata – Homage to Kuramata

これは、なんか見たことのある特徴的なインテリア。30年前のコラボ作品だそうです。Kuramataというブランド名で、非常に有名なインテリアのようです。他の場所でも、目にしました。30年前なんて、日本のインダストリアル・デザイナーの存在すら知らなかったなぁ、としみじみします。
そんな時代に、インテリアの最前線であるイタリア・マーケットで活躍している日本人デザイナーさんがいらしたんですねぇ。そして、伝説的な家具などを生み出していたんですねぇ。すごいことです。

また、自動運転車がありました。




当たり前のことではあるんですが、自動運転となると、今の車の、大きなメカニック部分がなくなって、居住性が格段に上がるんですよね。こうやって、たとえプロトタイプで、実際にどうなっていくのかはわからないにしろ、眼前に提示されると、車の未来の可能性に、何かしら期待する気持ちが出てくるのが不思議。決して、自動運転を待っているわけでもないのに。

沢山のメーカーさんのロゴがついていますから、それぞれのメーカーさんが、得意分野で協賛しているものなんでしょう。自動車は、工業製品としては、その必要とする部品数から言っても、国の基幹産業として発展してきましたが、これからはどうなのでしょうね。
方向性が変わっていも、多種目の部品が必要なことには変わりがないから、やはりそういう位置づけのまま行くのかどうか。
でも、メカニック的な部品メーカーは、不要になっていくのかもしれませんから、産業地図は、刻々と変わっていくのでしょうねぇ。これもまたデジタル化かと思うと、なんだか虚業が増えるようで、嫌なんだけどなぁ。

あ、この人は面白かった。虚業とは正反対の世界を、一人でやっていました。




小さい木のブロックを組み立てて、椅子を作るキットを開発したということでした。大きな箱にキットを詰め込んで、展示してありましたよ。上は、完成品ですけれど。




一つのブロックは、手のひらの半分もない、すべて同じ形のもので、それをひたすら組み合わせていくらしいです。ハンコを押した木のブロックをお土産にくれましたが、どうにもならない、笑。
やりだすと、やめられないくらいにはまる、とおっしゃっていましたが、形にするのは大変だと思いました。うん、意外とはまるかも、という恐怖があります。

日本の小さな展示は多数ありました。




印象としては、地方の中小のメーカーさんたちが、頑張っているな、というもの。活路を開こうと、とにかく来ている感じがします。潮流として、伝統産業の見直し的なものがあるので、うまく時流に乗れば、何かつかめる可能性もあるんですよね。
変にモダンになろうとせずに、あるものを、うまく活用してくれるようなコラボに出会えればいいなあ、と思います。実際、かつての、着物を仕立て直して何かにする、みたいなタイプの伝統産業再生とは、方向性が変わってきた気がします。
金継ぎなんて、日本人でも実際のところよくわかってない技術も、いろいろ活用できるのではないでしょうかねぇ。ベネチアビエンナーレの建築展でも、そういう技術が、出ていましたよね、確か。

その他、小さいのをいくつか眺めながら、スーパーストゥディオ、あとにしました。その時でも、多くの見学者が押し寄せていました。

ちなみに、入場は、登録制なので、入り口付近はごった返しています。社会人であることの特典は、名刺を置けば、登録なしに入場できること。
へへ、名刺は、こういうために持っているわけではありませんが、ま、いいじゃないですかね~。




ポルタ・ジェノバの駅に向かう道沿いには、小規模の展示会場が多々ありますが、もう疲れ果てていて、入る気もしないまま、ちょっと覗き込んでは出る、の繰り返し。
でも、割と入場制限することの多い会場をのぞいたら、行列はあるものの、入場できそうだったので、何があるかもよくわからないまま、並んでしまいました。




戦時中でも、物資不足のロシアでもないのに、行列があると並ぶって…。あまりにつかれていて、思考回路もかなりマヒしていたのもあるかと思います。

しかし行列の心理って不思議。私のあとにも、どんどん列ができるので、やめることもできなくなるんですよね。




この右側、不ぞろいだけど行列で、ずっと門の方まで続いてしまいました。
で、やっと入ったと思ったら、なんだかつまらなくて~。
秒殺状態で、即退場しました、ぐすん。




もういい、何が何でも帰る!と、わき目も降らずに歩き出したところ、あれま。
可愛いアペ(オート三輪)がやってきて、お揃いの制服らしきものに身を包んだ若者たちがわらわらと。




わき目をふらんでも、これは立ち止まりますわ。
整列!




きゃ~、かわいすぎ!
思わず、せかせかしている人たちの足が止まり、シャッターなりまくりです。
一体何の人たちか不明でしたが、さすがイタリア男~!お揃いだけど、靴なんかばらばらで、姿勢もピシッとしないながら、妙に色気のある伊達男ぶり!かわいい~!
と、心で叫ぶおばさん多数だったと思います、笑。

疲れた身体に最後の眼福。フオリサローネはやはり楽しい。

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  1. 2018/05/09(水) 05:40:52|
  2. ミラノ・フオリサローネ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

わたしも~!

かわいい~!と心で叫んでしまいます。

バックの建物が赤で絵になりますね。
  1. 2018/05/10(木) 01:34:00 |
  2. URL |
  3. ガビィ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> ガビィさん
ご唱和、ありがとうございます~笑!
こういうかわいさは、おばさんの疲れを癒します!
  1. 2018/05/11(金) 21:26:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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