フオリサローネ2018 その11(最終回)
トリエンナーレ、続きです。
セイコーの展示で、すっかり満足したものの、一応その他も、さらりと見学しました。
イベントのタイトルとか忘れちゃったんですが、韓国の展示でした。
伝統的なマテリアルを使って、それを現代化して、時代に合わせるみたいなコンセプトは、日本の多くの伝統的な製品メーカーが目指している方向性と共通するものだと思うのですが、韓国や中国は、まだ、伝統からの踏み出しが浅くて、今一つコンテンポラリーに乗り切れてないところがあるように、多くのケースで感じます。
多くの素晴らしい伝統工芸を有する国ですから、おそらく、日本同様、これからどんどん発展する分野ではないかと思うのですが、今のところは、まだ後塵を拝している状態かもね。
この箪笥とか、とってもレトロでいい感じだけど、おそらく本物の伝統工芸に過ぎないと思われます。日本の古い箪笥のような。韓国の伝統工芸って、とっても繊細なタイプが多いかもね。私は、極薄の布を縫い合わせるパッチワークみたいなポジャギという技術?製品?それで作られた布が、とっても好きです。
意外と食いついてしまったのが、建築モデルの展示。
建築家は、コンペのときに、こういうモデルを提出するんですよね。ほとんどは実現しなかった作品なんですが、世界各地の建物が一堂に会していました。
建築家の頭の中では、具体的に建造するときのイメージがあってこそのモデルなんでしょうけれど、コンペでの決断って、本当に大変なことなんだろうな、という気がしました。イメージばかり先行しても、ダメだし、かといって、明確なコンセプトを押し出せないモデルでは、手にも取ってもらえないだろうし。
それで、東京オリンピックのザハの話などにも発展しちゃうんでしょうね。コンペの審査員って、すっごく責任重いですよね。
トリエンナーレで最後に見学して、大いにがっかりしたのが、こちら。
世界各地でデザインウイークというイベントが開催されているようで、これは、日本のイベントに連動した展示だったんでしょうけれど、もう、それはそれは驚くほどにしょぼくて、その割にスペースは結構取っていたので、しょぼさが無限大に強調されていたとさ~!
同行の友人に言わせると、日伊修交何年記念とか、この数年、日本側は結構いろいろ投資して、多くのイベントを主催して来たりしているので、そういう文化的な予算が底をついているのではないか、と。まぁ、ありそうな話です。
しかし、日本の強みを発揮できる工業デザインという世界で節約してはいけないですよねぇ。国を挙げて、とは言わんまでも、こういう情けない展示なら、お願いだからやらないでくれ、と心底思いました。恥ずかしいです。
もう疲れちゃっていたので、参加しませんでしたが、これも、ちょっと面白い展示になっていました。
エスプレッソメーカーであるイリ―Illyです。
なんかね、コーヒー売らないというのはあるけどね、コーヒーで偶然できた染みをアートにしてました。
これ、ちょっと刺激されるよね。
あと、最後の最後に、セルフサービスのカフェテリアの脇で発見した、面白いもの。
Piece of Venice
ぱっと見、なんだか絶対わからないと思いますが、ちょっとかわいい感じがしませんか。
木製の、万華鏡とか笛なんですが、原材料が、なんと、ベネチアで取れるあるものなんです。
ベネチアで木?ってすごく疑問ですよね。
なんとね、運河にたくさん刺さっている木の杭が原料!あの、水上バスやゴンドラに、水位や経路を示している杭です。
あれは、数年に一度交換する必要があり、古いものは廃材として捨てられるしかなかったものを、この、ブランドなのか、プロジェクトなのかわかりませんが、ピース・オブ・ベニスというブランド名で、複数のデザイナーが再利用で、アートっぽいオブジェクトや、木のおもちゃなどに再生する活動を始めたんだそうです。
立ち上がったばかりですが、近々、ベネチアにも、お店がオープンすると、コンパニオンのお兄ちゃんが言っていました。
万華鏡などは、販売していたら買いたいくらいの出来の品物ですが、今のところは、個別の販売はしてなくて、廃木一本を購入するシステムとか言ってました、笑。
将来、ベネチアでお店に出会えたら楽しみです。
なんか、運河に沈んでいた木を、身近に置けるというのも、夢があるというかロマンチックな気がしませんか。
へとへとになって、終了しました。
そしてもう一つ、これがまさに最後ですが、フオリサローネの会期が終わってから、たまたま通りかかったので、立ち寄ったところも、久しぶりで楽しかったので、アップしておきます。
Fondazione Sozzani – 10 Corso Como
Domus 90. Gio Ponti
コルソ・コモ10というブランドは、日本でもそこそこ有名なのではないかと思いますが、デザインに特化した、なかなかオシャレなブティック件、青山ブックセンターみたいな本屋件、カフェという総合文化センターみたいな場所なんです。
そこの中に、カルラ・ソッツァーニという写真のギャラリーがあり、無料のため、定期的に行っていたのですが、このところとんとご無沙汰していました。
で、フオリサローネ協賛の展示があったので、せっかくだから、と行ってみた次第です。
Domusというインテリアとか家関連の雑誌の、創刊90周年記念の企画だったようです。その雑誌の編集長を、40年にわたって務めたのが、このジョー・ポンティというアーティスト。建築(ミラノで最も有名な現代建築、ピレリ・ビルがこの人の設計だったと思います)からデザインから、インダストリアル系で、ありとあらゆることをしていた超多才な人物で、私はこの人の作る食器が大好きです。
とってもモダンで、品があって、食器好きだったら、絶対にほしくなるものが一つは見つかるような、そういう作品なんです。
ジノリとか、工業的大量生産多くのブランドにも、影響を与えたと思います。
やっぱりいいなぁ、と思いましたが、展示品はわずか。奥の方に行くと、これまでアクセスしたことのない屋上へのアクセスが開いていました。
そうしたら、びっくりするくらい広々としたスペースの屋上が広がっていました。
そして、古いミラノに埋もれるようにある立地なんですが、今やこんなすごいことになっていました。
ガリバルディの駅前にそびえたつウニクレディとの高層ビルを背景にして、ミラノの昔ながらの家並み。これは印象的でした。
手前には、ミラノの伝統的な住宅建築、Casa della ringhieraの見える中庭。そして反対側に高層ビル。
サローネ週間にピッタリな風景で、最後を締めることができた気がします。
ということで、実にだらだらしてしまいましたが、今年のフオリサローネも、ばっちり堪能して終わることができました。
お付き合い、ありがとうございました。
いよいよ、ロマネスクに戻りますよ~!
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/05/15(火) 02:52:14|
- ロマネスク全般
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| コメント:4
> 古民家の田舎暮らし<山下亭>さん
ですよね~。
ベネチアは観光地だけあって、くだらないお土産は山ほどあるんですが、これは、ちょっと素敵で、ほしくなります。デザイナーって、やっぱりすごいですね。
- 2018/05/16(水) 21:59:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]
おはようございます
今日やっと全部拝見できました。フオリサローネのご紹介ありがとうございます
Domusは20頃建築家の内井昭蔵さんから教えていただいたので知っていましたが建築家やインテリアデザイナーには当時からかなりの信頼を置かれていた印象の雑誌でした
- 2018/06/13(水) 23:40:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> poetryfish9さん
まぁ、ありがとうございます。
自分が好きでやっているとはいえ、記事を見ていだたいて、いろいろ共感していただいたり、楽しんでいただいたりすると、やはりうれしいです。
昔々、東京で、建築雑誌でみた岳上都市の写真に惹かれて、それもイタリアにはまった要因の一つでしたが、実はインテリア関係は、全然興味がなかったんですよ。不思議なもんですよね。
- 2018/06/16(土) 16:21:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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