2017.04.プーリアの洞窟教会巡り、その20
オートラント大聖堂Cattedrale di Otranto、続きです。
ここ、床モザイクに加えて、もう一つ、必ず訪ねるべき場所があります。
今ある教会は、後代に改築改変されて、こんな風になっちゃって、中世当時のオリジナルの姿のほどんどが失われてしまっています。かといって、創建以来、本当にずっと現役だったかというと、若干疑問もあります。というのも、本当にそうだったら、床なんかも、もっとダメになっちゃって、今のようにちゃんとは保存されていなかった可能性も高いからです。おそらく、結構最近、この辺りにバロックが押し寄せたころに、結構ダメになっちゃっている教会を、バロック風に改築して復活!みたいなストーリーなんじゃないかと、勝手に思ってしまいます。
それはともかく、今ある後陣の姿からは、予想もできないんですが、ここ、すごいクリプタがあるんです。ファサード側を、左に回り込んだ側壁に、入り口があります。
知らないと、結構気付かずに、帰っちゃうような、そういうたたずまいだし、取り扱いです。
ここは、入ると、一瞬げんなりするような全とっかえ状態の激しい修復の後が、まず目に飛び込んできます。
床も天井もすっかり新品状態。もしかして、本堂をバロックにしたときには、ここも、もっと金ぴかにしていたか、または、こちらには手が回らなくて、崩壊のままに彫っておかれたかのどっちかですね。
でも、がっかりすることはなくて、それどころか、お宝、満載。
柱頭です!
この彫り物だけは、見事に中世の息吹を伝える状態で、しっかりと残されているんです。
こういう、地味の代表選手みたいな植物文様、大変惹かれます。
これなんかも、石工初心者の習作みたいな。「とにかく渦巻きとアーカンサスは絶対に忌避音に忠実に、美大入試には必至ですよ」みたいな作品っていうか、笑。
一方で、石工の力技とでも言ったらいいのか、柱身に、素朴系とはいえ、びっしり彫り物したものなんかもあります。
これは、どこでも見られるものではないですよね。やはりそれなりのお金と時間をかけて、装飾した教会なのだな、と思わされます。
これなんかは、ちょっとラベンナ風を髣髴とするような。要はビザンチン的なモチーフというか。やはり、それなりに参考にできる過去の遺構があったということなんでしょうか。
その他、手が違うとか、時代が下ると思われる柱頭もあります。
手のところだけが、相当後付けで彫られたか修復されたのかな。なんか、ちょっとテイストが違うと思うんですけど。
これは石も大理石っぽくて、ちょっと違いますね。一瞬盆踊り系?とか思うのですが、よく見ると、人が筋骨隆々、腹筋が六つに割れているような体格なんですね。
そういう不思議系なモチーフもたくさんありましたが、ここでは、素朴な植物系の彫り物に、より惹かれました。
ケーキ作りをする人にはおなじみな感じの、生クリーム絞り出してきな彫り物。うにょっという線が、なんか楽しいです。
こうやって見ると、柱もそれぞれが異なっていて、どこかから流用してきたものなのだろうと想像できますね。
天井や床にオリジナルの部分が残っていれば、さぞや味わいのあるクリプタだったであろう、とつくづく残念にも思われますが、でも、これだけの柱頭がそのままに残されている以上、文句は言えませんね~。
こちらを訪ねられる際は、どうぞ、床モザイクに満足しちゃって、忘れて帰らないよう、お気をつけて。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2018/06/14(木) 05:36:09|
- プーリア・ロマネスク
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| コメント:2
14日から25日まで西ドイツロマネスク旅にいっていました。その間にアップ進んでいらしゃいますね。
ここも去年行ってきたばかりなので、懐かしく拝見。
それにしてもcorsaさんのネーミング力素晴らしいです。生クリーム絞りだし文様 なんていいですねえ。
- 2018/06/26(火) 17:18:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> ykさん
このところ、無気力状態プラス、ワールドカップで、ブログが完全に停止してしまっていて。
あれもこれも、アップしたい気持ちはあるのですが、このやる気のなさ、どうしたものか。
西ドイツですか。次々と制覇って感じて、うらやましいです。サイトの更新、楽しみにしています。
- 2018/07/01(日) 22:20:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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