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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

尾っぽぐるぐるに結ぼれて困惑顔(シャンボン・シュル・ラック2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その31

シャンボン・シュル・ラックChambon sur Lac続きです。
道を挟んだ反対側、かなりなだらかな丘の斜面に、墓地があり、そちらに本来の目的の教会があります。




教会の建物は、墓地の敷地の、一番高いところにあります。




墓地の円形礼拝堂Chapelle Circulaire du Cimitiere / セポルクロ礼拝堂Chapelle Sepulcrale / 墓地のろどんどRotonde円形建物、または洗礼堂 du Cimietiere ou Batistere

あちこち場所によって異なる様々な呼称が見つかりました。10世紀ごろがオリジナルということで、創建は相当古く、建っている場所から何から、その目的はかなり謎というところなのでしょうか。でも、いくらなんでも、この場所で洗礼堂、ということはなさそうですけれども。
円形ということから、やはり聖地のサン・セポルクロ教会を模倣した礼拝堂というところでしょうか。

左手の遠方に、前回記事で紹介した、村の教会のとんがり屋根が見えます。
実は、教会前に掲げられた説明版を、改めて見直したところ、記事で、これはどうも、意外と新しいのではないか、と勝手な見解を述べてしまった、今はナルテックスの上部にはめ込まれた浅浮彫ですが、12世紀に、サンテティエンヌSaint'Etienneに捧げられたもの、とありました。
つまり、教会は、「村の教会」となっていましたが、一応サンテティエンヌに捧げられたもの、ということになりそうです。しかし、あの浮彫は、12世紀には見えないような気がするんですけどもね~。

さて、墓地の方ですが、こちらは、残念ながら、クローズでした。
でも、周りの装飾が楽しくて、足場の悪い坂の立地に苦労しながら、ぐるぐると回るのが、結構楽しかったんです。




仲良く水を飲むカップルの鳥は、古い図像学に基づくと、魂の永遠を表すとかなんとかだと思います。が、よく見たら、どうもこれは鳥ではなくて、グリフィンだったみたいです。なんと、下の方で、手まで取り合っちゃっていますが、後ろにも足があるから、手を取り合っても安定してます、笑。

正面に回り込んでびっくりな姿。




もともとは単純な円形だったのだろうに、このファサードは、12世紀以降のものでしょうね。オーベルニュ特有の石のはめ込み装飾、どうしてもつけたかったんでしょうかね。

土地は全体としては緩やかな丘なんだけど、この教会の立地、結構激しい高低差があるのがわかると思います。内部はどうなってるのか、ちょっと興味が沸きますね。
円形部分の中央に、窓が開いているような様子がわかるでしょうか。




ブラインドアーチならぬ、なんていうんだろう、まぁ、ニッチ、となりますかね。そこに柱が並べられていて、珍しい装飾だと思います。後代のファサードで変えられちゃったけど、このスタイルがぐるりとあったんではないでしょうか。ここの柱頭も、それぞれ面白いんです。

この二股人魚は、ひどく変わっています。




なんとお隣あっている方の尾っぽが、ぐるぐる巻き巻き状態になっているのです。こんなの初めて見た!こんがらがっちゃって困惑しているような様子の、バストがどっちかというとムキムキの男性の筋肉にしか見えない人魚さん、チャーミングです。

この、ぜんまい的な植物モチーフも独特。




間に置かれたものは、いくらパイナップルや松かさに見えても、図像的にはブドウで決まりのはずですが、とすると、ぜんまいや蕨のバリエではなくて、単にブドウつるなのかなぁ。独創的だ~!

極め付きはこの人!




なんかわかりませんが、「ほっほ、そらみたことか」とか何とか、そういうセリフがピッタリなキャラです。いたずらして、陰から結果を観察して喜んでいる、そういう図ですよね、間違いなく!

お隣にいるわしすら、崇高性ではなくて、なんかお茶目な表情満載。




やっぱり、中、見てみたかったですね。情報によれば、中にもかわいい柱頭満載、とありますが、さて、どうなんでしょうか。
いずれにしても、こんなに小さな建物なのに、その外側だけでも、満足出来ちゃいました。




それにしても、午後半ばのおやつ頃の時間帯で、これだけの墓地があるそれなりの村だというのに、人っ子一人おらず、なんだか不思議な気持ちになりましたとさ。

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