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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

温泉に見捨てられた旧市街(ロワイヤ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その37

あたらしい一日が始まりましたが、早朝はかなり激しい雨だったので、当初考えた予定変更で、プランBとなりました。




ロワイヤRoyatのサン・レジェ教会Saint-Leger。

ここは、ちょっと参りました。
雨だし、山道は避けようと思ってプランBとしたのに、実はこのあたり、かなりアップダウンが激しい上に、ナビがいつもの気まぐれを起こして、とんでもない坂道に入り込もうとするものだから、行ったり来たりした挙句に、通行人にすがりました。
その人選が大成功で、多分フランス語、もしかしたら英語交じりだったんでしょうか、中年の女性でしたが、大変的確な道をすっきりと指示してくれて、無事、目的の町に入ることはできたんです。

本当に町の中心の広場にスーッと入り込み、観光局を左に見たものの、駐車する場所のあるはずもなく…。そのまま道なりに進み、何とか路肩の駐車場に止めて、歩きで、観光客まで戻りました。
その時も結構雨で、真夏だというのに、ひどく寒くて、辛かったです。
その上、やっとたどり着いた観光局の愛想のないことといったら。

ロワイヤは温泉地なのです。そのため、観光局は温泉地を目指してくる旅行者のためだけに存在している様子で、「教会?どの教会のことですか?この近くにあるのは閉まっているけれど。ロマネスク様式?さてね。わかりませんけど、ちがうんじゃないですか」といった対応でした。まれにみるひどい観光局でした…。

ただ、地図をもらえて、町の地形も説明してもらえたので、行った甲斐は大いにありました。というのも、山がちな温泉地で、旧市街は温泉地として繁栄している新市街を見下ろす場所にあるんです。うろうろしていても、きっとわからなかったはず。

私が車を一時的に止めた場所の先に、大きな駐車場があり、その駐車場から旧市街まではエレベーターがあるということがわかったので、本当にこれは助かりました。

記事の最後に、具体的な住所情報などまとめますので、どうぞご参照くださいね。

ちなみに、雨も激しかったせいか、このあたり、一切写真を撮っていませんでした。

余計な情報が長くなってしまいましたが、件のエレベーターで、一気に旧市街に上ります。そして、エレベーターが着く目と鼻の先に、教会があるのには、助かりました。




一見、教会なんだか普通の家なんだか、という様子ですよね。全体に新しくなっている様子で、はるばる来たのになぁ、と思いながら近づきます。




新しくしても、オーベルニュ特有のこのモザイク装飾、そして鉋屑の軒送りは、どうしても手放せないんですね。非常なこだわりを感じます。

あまり期待せずに入ったら、これです。




あーあ、やっぱり。ぬりぬりじゃないか、と思うでしょ?確かにそうなんですが、ちゃんと残ってるんです。




ね、かわいい。
ヴォルトの付け根に置かれた柱頭は、石色もそのままに、素晴らしい彫りの状態で残っているのですが、いかんせん遠いんです。そして、薄暗い。この日は雨だったから、普段よりさらに条件が悪かったのです。




ほとんどぶれてしまいました。




こんなに新しくされちゃっていますが、クリプトもちゃんと残されていて、しっかりとぬりぬりされています、笑。




灯りもあって、すっきりくっきり。素晴らしい柱頭の彫りがよく見えますが、しかし、この修復はないだろう?と、どうしても思ってしまいます。




すべて植物系のモチーフですが、背が低い場所にあるから、なかなかの迫力で、愛でることができるんです。




正統的なモチーフに、しっかりした彫りで、正しい職人さんの作品だな、と思います。
丸みを帯びた柔らかいイメージで、大変好みなんですが、こうなると柱頭だけを取り出して眺めることは難しくて、どうにもなじめませんでした。




でも、こうやってきれいに保たれて、現役教会の役目を果たしているというのは、修復に必要なお金も集めることができるような熱心な信者さんがついているということですから、教会としては幸せなはず。
現にこの朝も、信者さんがお掃除をしていらっしゃいました。
一方で、温泉街として生きている今の町からは、若干見捨てられているような旧市街全体の寂しさのようなものも感じられました。

実は、度々出る尾籠な話で恐縮ですが、ひどくトイレの必要があり、教会近くにあったカフェに飛び込んだのです。朝も早いというのに、数人のおやじがカウンターにたむろして、ワイングラスを前に、女主人とおしゃべりをしているような店でした。
カフェを頼むと、「ありませんよ」と。
え~っ、もうなんなんだ、この町は!
通じなかったんだろうと思って注文を繰り返すと、迷惑そうな女主人に代わって、お客の一人が、「カフェは、今マシンが壊れているから、できないんだよ」と説明してくれました。指さされたエスプレッソ・マシンは、どう見ても、昨日や今日壊れたとは思えない有様で、ほぼ物置と化していました…。
結局トイレだけ借りて、逃げるように出てきましたが、誰も何も気にしていないようでした。そんな雰囲気からも、なんとなく、見捨てられた旧市街、というイメージが強かったです。

実用情報:
観光局=新市街の中心広場にあります1 Avenue Auguste Rouzaud
観光局に行くために、とりあえず駐車した道はPlace Jean Cohendyで、道脇が公園になっているせいか、路肩が駐車場になっています。
旧市街へのエレベーターがある大きな駐車場は、その道をさらに登った先で、Avenue de la Valleの30番前後と思います。

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