fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

浮いているヤギがどこから来たのか(ボーモン)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その38

なんとなく寂しい気持ちでロワイヤを後にして、ほぼ隣町的な近さの町に移動しました。

旧市街は、かなり狭く、なだらかな丘の斜面に張り付いているような作りでした。あまりよくわかっていなかったのですが、その旧市街に入り込む前に、うまい具合に車を停めることができて、ここも徒歩でアクセスです。




なだらかな坂道続きの小路をたどり、住宅がぎっしりと並ぶ住宅街を進むと、ちょっとしたスペースが開け、ファサードに出会うこととなります。




ボーモンBeaumontのセント・ピエール教会Eglise de Saint Pierre。
住宅街の中、でも位置的には、最も高い場所になるのかな。往時は、教会を中心に町が発展したのですかね。

外観は、一部を残して、かなり新しくなってしまっていて、面白みはほとんどありません。でも、ファサードに残る素材は、オーベルニュの石という様子です。また、側壁に残るアーチ装飾は、かなり新しくなってはいるものの、一部古いものを基盤に再建や修復をしたものだと思います。全体に、オーベルニュ風を感じますが、ロマネスク的なインパクトには欠けますから、あーあ、またこんなか、という印象でした。




後陣側などは、もうすっかり新しくなってしまっているんですが、それでも、鉋屑の軒送りが、忘れ形見のような様子で、並んで残されているのが、何ともオーベルニュ。
上から下がった場所に、点々と並んでいるのがそれですが、もともとの後陣の高さは、そこだったのでしょうね。

扉口には、わざわざアーキボルト構造を断ち切って、聖ピエールさんのお像がはめ込まれています。立派なカギを手に持っていますよ。




内部は、ロワイヤとも似たような様子ですが、少なくともぬりぬり感が控えめで、ちょっとましでした、笑。
後陣が、明るく灯が灯されていますが、これは、お掃除真っ最中の方が、私のために、灯してくださったのです。




後陣側からファサード側を向いた一枚。この方が雰囲気がありますね。いずれにしても、石をそのままにしているのは、好感度高し、です。




ロワイヤは、内装ピカピカで、大切にされているのはわかりましたが、なんというか、冷たい雰囲気だったのですが、こちらも、構造も、あり方も似ているのですが、そこはかとなしの暖かみを感じました。
お掃除中の女性が、わざわざこんなところまで我らが教会を見に来てくれたのね、と言った喜びをあふれさせて、かつて翼廊があった後を、奥の祭具室の様子などから説明してくれるなどの親切心全開だったからなんだと思います。
そういう気が、教会にもこもるんじゃないんでしょうかねぇ。

いろんなものが飾られた後陣にも、そういう気が感じられませんか?




ロマネスク的には、柱頭です。細かい植物系の彫り、なかなか立派です。それに、かなりデザイン的ですね。植物モチーフに、なんか図像が色々はめ込まれていて。




つる草に組紐合わせたりして、面白いです。こういうぐちゃぐちゃしたものが大好きな石工さんだったのかな。




石工さんの信条みたいなものを感じます。すごく組み合わせとか全体の見た目とかを考えて、矯めつ眇めつして仕上げたんじゃないのかなぁ。




で、こんな中に、いきなりこんなのが。




これは、建物にくっついている柱頭ではなく、棚代わりに使っているような柱頭でした。下の写真の、左下のものです。




この教会の古い柱頭なのか、またはほかの教会にあったものなのか、わかりませんが、モチーフとしてはよくあるので、ロマネスク時代の教会のものであることは、間違いありません。でも、この教会本体の柱頭を担当した石工さんとは、明らかに違う人でしょうね。

身廊の方の柱頭も、植物モチーフです。




残念ながら、上の方は遠いし、薄暗いので、ほとんどの写真、ぶれてしまいました。傾向は、ぐちゃぐちゃした植物モチーフだったので、同じ石工さんの系統だと思います。ヤギのやつだけ、浮いています。

オルシヴァルで、見るべき聖母子を見逃してしまった情けないわたくしですが、ここでは、別の聖母子に出会いました。




14世紀のものとありましたが、なんかこうやって素朴系だと、一応チェックしてしまいます。金ぴかは、目が避けてしまうんですが…。

この教会は、とても気持ちよく見学をして、なんとなく気持ちも上向きに。
雨もほぼ上がり、楽しい気持ちで、車までの短いお散歩を楽しみました。そして
嬉しいお見送りまでいただいてしまいました。




おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト



  1. 2018/09/24(月) 05:04:47|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<大雨で閉め出し、泣きたい日もある(ショリア) | ホーム | 温泉に見捨てられた旧市街(ロワイヤ)>>

コメント

No title

かなりながいこと留守にしてしまいましたので
まだ気持ちの切り替えができていませんが
あと2週間は自宅にいますので
ゆっくり拝見させていただきますね!

ヤギは何処から?

ナイス・ポチ!
  1. 2018/09/23(日) 22:02:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山羊も猫も和ませていただきました。
タイトルと写真だけで作業に戻らせていただいてます

まとめてちゃんと拝読したい内容なのに、そんなんでごめんなさい
  1. 2018/09/24(月) 01:28:00 |
  2. URL |
  3. poetryfish9 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
ロンドンに長くいらしていたのですね、うらやましいです。また、どちらかに行かれるのですか。
楽しいお出かけだといいのですが!
  1. 2018/09/26(水) 21:45:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> poetryfish9さん
訪問とコメントだけで、わざわざありがとうですよ~!
私も時々お邪魔させてもらうのに、いつも読み逃げしててすみません、ペコリ!
お忙しく創作に励まれているのは、何よりです。頑張ってくださいね~!
  1. 2018/09/26(水) 21:46:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1949-8dc46e2b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)