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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

瓢箪から駒?駐車に手こずって、到着が遅れたおかげ(ビヨム)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その41

前回の記事に書いたように、ポン・ドゥ・シャトーの教会が開くまで、半端な時間があったので、そこを利用して訪ねたのが、ビヨムBillomです。ポン・ドゥ・シャトーからは、約20分。

しかし、ここはちょっと苦労しました。町に着いたのはわかったのですが、教会の位置がよくわからず、どこに駐車したらよいのやら、さっぱりわからないのです。
小さな旧市街を取り巻くような道があるので、そのどこかに停めればよいのですが…。
おそらく旧市街を二周くらいしたのではないでしょうか、笑。

最後は、投げやりな気持ちで、目についた路肩にある駐車場に停めました。
そして、徒歩で旧市街に向かいながら、目が合ったおじいさんに、教会の場所を尋ねました。「教会?サント・ミゼリコルドな知ってるけれど…」というので、驚いて、「サン・マルタンは?」と聞くと、「あ、サン・マルタンなら、すぐそこだよ」。

おそらく、サン・マルタンの別名が、ミゼリコルドらしいんですけれど。前にも書きましたが、フランスでは、教会の名前がかなりいい加減。っていうか、「〇〇村の教会」っていうだけで、名称が不明というの、結構あります。
ここについても、今、ネットで確認したところ、サン・マルタンのはずなのに、Saint Cerneufという名前も出てきました。うーん。謎です。

それはともかく、路地の奥に見えるあれが、そうらしい。




サン・マルタン教会Eglise de Saint Martin。




全体がもう、ゴシック化していて、本当にこれかしら、というパターンです。
正面の古い扉は、しかしちょっと愛らしくて。
フランスらしい鋳鉄の装飾があるのですが、ディテールが、何とも。




端っこが、人の顔とか蛇の頭になってるの。めちゃくちゃかわいい。鋳鉄は好きな素材だけに、うっとりしちゃいました。
しかし、ここはしっかりクローズ。

北側に回ると、新しい扉があります。パンク・ファッションに身を固めた若者が三人おしゃべりをしていて、「ここは閉まっているよ。開くとすれば、他の扉が開くよ」と、教えてくれました。かっこはとんがっているけど、かなり親切な若者でしたね。しかしどの扉が開くのだろうか。まさかあの正面?
一応、後陣の方を、回ってみることにしました。




スタイルは、もうまったく面白くないのですが、ちょっとかわいい柱頭があったり。




ちょっとした端々に、ロマネスクを垣間見ることができるようです。
そして、後陣側から、いきなり古そうな木組みの街並みがあったので、ちょっとびっくりしました。ファサード側にアクセスするために歩いた部分は、至って普通の町だったので、こういう中世っぽい街並みが残っているような土地とは、想像もできなかったんです。




何か、他にも発見があるかも、と思いながら、ぐるぐると二周くらい回ったと思います。確かに、こんなモディリアニ風の柱頭があったりはするのですが、たいした発見でもなく。







南側にも扉があったけれど、そちらも開く気配なし。
それでもなおぐずぐずしていたのは、実は、結構観光客風がやってくるんです。私がうろうろしていた間でも、数人、数組がやって来ていたんです。ということは、やはり開く可能性が高いし、それに、中を見る意味があるのでは、とつい思ってしまったんです。

それでも、さすがにあきらめて、正面側に戻ったところ、なんと、予告もなく、鋳鉄装飾の扉が開いていたのでした。これにはびっくりです。

喜び勇んで入ったら、中はこんなでした!




でも、やっと入れたのだから、がっかりしている場合じゃありません。
まず、後陣に近づいたところ、なんと11世紀のクリプタが。




超ごつい円柱の林立という、かなり地味度が高いクリプタでしたが、光効果か、妙にかっこよくて。うっとりしました。




よくぞ、残ってくれました、という構造物です。
もしかしたら、閉ざされて、誰にも知られていない時代とかもあったかも、です。無装飾なだけに、よく残ったというのもあるかもしれません。
このクリプタも、私は全然チェックしていなかったんですが、観光的にはそれなりのプレゼンスかもしれません。なぜチェックできてなかったのか、我ながら、あきれます。

さて、上に戻り、内陣、周歩廊をチェックです。




フランスに特有の、教会建築は、もう私の興味を逸脱しているけれど、装飾ディテールに、見るべきものが残っているという王道パターンです。
この内陣部分には、ロマネスク時代の柱頭があります。




とっても独特なグリーンマン。明らかに起こっていますよね。そして、表情が隈取的で面白いです。植物モチーフも、真ん中でビスケット状の葉が突き出しているって、初めて見るパターンのような気がします。

これは、ちょっと新しいテイストが入っていて、あまり好みじゃないですが、なんかとっても謎めいていて、そこはよろしい。




なんか、時代が行ったり来たりの感じだし、いろんな手が入っているし。




結構楽しい柱頭の数々。
この教会、しかし、入れなかったら、ほとんど来る価値がないっていうか、そういうタイプの教会なので、くれぐれも開いている時間を事前に確認のうえで、訪問することを勧めます。

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