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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

結婚式。ありがたい時とそうじゃないとき(クレルモン・フェラン1)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その42

あちこちでアワアワしたのは、実は、この日の最終目的地の教会の、オープン時間にもよるのです。
というのも、朝のオープンが10時という情報を得ていたので、宿泊する日に見てしまって、翌日は早くから行動開始したいと思っていたのです。

それが、この町、クレルモン・フェランClermont Ferrandです。




勿論、これは違いますよ。
これは、町の中央に堂々と、本当にどうどういう言葉がこれほど似あう教会もないほどに、堂々とそびえるゴシックのカテドラル、ノートルダム・ド・ラソンプション大聖堂Cathedrale de Notre Dame de l'Assomptionです。
これについては、まったく眼中になく、レストランを探して町をうろうろした際に、横目で見ただけです。

でも、中世の町というのは、それなりにうろつくもんですね。
大聖堂近くの建物に、面白い形で残されている、中世の名残に気付きました。




もう、目的の教会も見学したし、心の余裕があったので、こういうものを目に留めることもできたのかもね。Place des Grasという広場の角っこです。
左の方からアップにしてみます。










テイスト的には、ちょっと時代が下る感じもありますが、なかなか立派な浮彫ではないですか。これについては、ちょっと検索してみたところ、フランス語情報では、写真も出てきたのですが、起源等はわかりませんでした。
大聖堂のある場所ですから、まぁ単純に教会関係の建物であったということなんだろうと思います。
それにしても、今や見事に町の姿に溶け込んで。よくぞこれだけを残したものだと思いました。

さて、私の目的は、こちらです。




同じように聖母にささげられた教会ですが、こちらは、ノートルダム・ドゥ・ポルBasilique Notre Dame du Portです。
これまた見事な、すでにおなじみのオーヴェルニュ様式です。
これだけ立派なオーベルニュ様式で、規模も大きいけれど、今や町の中心部にそびえるゴシックのカテドラルに比べると、若干街はずれにあることもあり、観光客は圧倒的に少ない感じです。でも、地元の人々には、愛されている教会ではないかという印象がありました。

そのせい、というのもなんですが、かなりじりじりと待たされたんです。

まずは、鉄道駅近くのホテルに到着して、車を駐車するところから、話が始まります(例によっての、旅の与太話なので、ご興味がない向きには、飛ばしてください、笑)。
クレルモン・フェランは、そこそこの規模の町でもあり、ホテルも一応市内という位置だったので、この日は珍しく、有料のホテルの駐車場を予約してありました(あとから、週末は近所に無料で路上駐車できたことがわかり、ちっ!と舌打ちしたのですが、そこまでは事前に調べ切れませんから、仕方ありません)。

時間的には押せ押せ状態で到着し、まずは、路上駐車して、レセプションで駐車場のことを聞きます。すぐ隣の入り口から入る屋内駐車場だったのですが、それが狭い~!変な位置に柱はあるし、他の車が停まっているし、で、かなりギリギリのスペースの中、こうやってああやって入れ、とフランス語で細かい指示をしてくれたのですが、こんなことで時間を食って、教会が見られなかったら、大後悔する!と思ったので、「悪いけれど、私は急いでいるので、カギ渡すから、何とか始末しといてくれ~!」と叫ぶように言い、カギを押し付けました。
自分の気持ちとしては、叫んでいたのですが、限りなく片言の、イタリア語交じりのフランス語では、その焦っている気持ちは全く通じなかったようで、「あ、ランデブーがあるのね?わかったわ、やっときます」と、ランデブー=デート的なニュアンスで、牧歌的に受け止めてくれました、笑。

荷物も何もいれっぱの車を放り出して、小走りでたどり着いた教会だったのですが、なんと、結婚式の真っ最中だったんです。ふぅ。




例によって、大きな本堂の、それもぬりぬりで、まずはあーあと思い、その一瞬後で、結婚式の様子に気付いて、さらに固まりました。
とてもこじんまりとした結婚式だけに、とても、お邪魔できない雰囲気でしたので、仕方なく行ったん外に出て、外部を見学です。この時点で、17時20分ごろ。教会は18時には閉まることになっていますから、早く終わってくれ~!と祈りながら。




いろんな時代の付け足しが集積してしまったファサード、というか西側面。入り口が、相当下になっていますが、当時の地面はこの高さだったのかな。だとしたら、チリも積もれば状態の町…。オリジナルの教会の建造が、相当早かった可能性もありますね。

翼廊の張り出した南側。




こちらの方が、ファサードという作りになっています。アーチの連続や、つけ柱、美しいですね。塔も、いかにもオーヴェルニュ。

石のはめ込み細工装飾も、適度に地味な感じで、ここは、これまで見てきた巨大オーベルニュ様式に比べると、私には適度な大きさというのか、受け入れやすい大きさというのか、ほっとするような印象がありました。




そして、その南側の扉。




装飾を守る張り出し屋根は、そう古い様子がありません。これが整えられたころには、すでに損傷が進んでしまっていたものと思われます。残念。
セラフィムさんたちも、おそらくキリストも、顔はなくなっちゃってるし、全体にちょっと寂しい様子です。




マギも聖母子も、無残な顔なしフィギュアに。




衣の細かい彫りなどから、結構技術のある石工さんとも考えられ、いったいどのようなお顔だったのか、興味が沸きますね。
背景に水色が使われているのも新鮮です。なんだろう、天の色だから?とっても神々しいイメージです。

右の方では、洗礼の場面です。




左にいるのは、好きなアイテム、ラクダの皮衣っぽいので、洗礼者ヨハネかなぁ。下に、シメオネと見えるんですが、左側から続いているので、この絵ではないと思います。
スペースにうまく合わせて腰をかがめる姿勢の天使。こういうところにぐっと来てしまうんですよねぇ。
手がね、きれいです。




聖母の手のアップ。縮尺的にはでかいんだけど、ただでかいというより、包み込むような優しい美しい手。小さなジェズの、契約書を握る手も、すっごく愛らしいですよね。
こんな優しい彫りのできる石工さんの彫る顔、どんどん興味が出ますよね。

翼廊の上の方にあった柱頭。




イサクの犠牲の場面のようです。こんな上の方まで、顔が破壊されているのは、どうして?

ちょっと長くなってしまったので、一旦切ります。続きます。

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  1. 2018/10/03(水) 05:44:53|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

No title

corsaさん(*≧∀≦*)、ノートルダム通過って(*≧∀≦*)どーなんですか、それ(*≧∀≦*)!あははははははは!(*≧∀≦*)
顔が破壊されていて残念でしたね。戦禍の傷跡かしら。
ランデブー(*≧∀≦*)。フランス人らしい(*≧∀≦*)。年がら年中ランデブーっぽいですもん(*≧∀≦*)。
街中の浮き彫り素敵ですね。見つけたのもラッキー!
  1. 2018/10/02(火) 22:28:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

お顔が壊されていますね!
もしかしたら、、、フランス革命の時に
かなりの教会で聖像などが壊されて
頭の部分を取り外したりしているとか
ありますから、、、お顔だけ壊したのかもしれませんね!
修復するとしたらやはりゴシック様式の
大聖堂のほうが優先するのでは?

ナイス・ポチ!
  1. 2018/10/02(火) 23:17:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

atuko様の書かれている通りだと思います。フランス革命での宗教の自由ということで多くの教会が苦境に陥りました。イスラムの仏像破壊にまゆをひそめますが、キリスト教世界でやったのです。全部壊すのは大変なので、顔それも特にマリア様Jesus様のお顔はつぶされる(あるいは 首ちょんぱ)ことが多かったのです。昨日ドイツの旅から帰ってきました。この教会玄関口の付けたしをとると(平面図を見ないと断言はできませんが)ドイツ発祥の西構えのように思えます。
  1. 2018/10/03(水) 03:53:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> まーたんさん
ふふ、ランデブーって、単にアポという意味なんだけど、ホテルのお姉さんは、いや~ん、デートならデートって言いなよ~みたいな感じだったんですよ。ちょっと面白かったです。アモールの国ですから~笑
  1. 2018/10/03(水) 21:56:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
皆さん、物知りで助かります。
フランス革命の際の狼藉、確かに聞いたことありますね。フランス人て、ほんとひどいわ。
まぁ、自国のものを自国で壊しているんだから、ごめん遊ばせ程度のことだったんでしょうけれど。
  1. 2018/10/03(水) 21:57:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> ykさん
ファナティックなレベルになると、政治も宗教も、右も左も関係ないですからね。十字軍の頃は、キリスト教の方が圧倒的にファナティックだったわけですから、驚くにはあたらずですよ、おそらく。

ドイツ、最近行かれていませんでしたか?また別の地域に行かれていたのでしょうか。
  1. 2018/10/03(水) 22:00:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

9月20日~10月2日南北ドイツ縦断の旅、というtourで Hamburgからフライブルグまで、 途中は メルヘン街道、6月の旅より少し東側、リューベックとチュービンゲンにいきたくて参加しました。ロマネスク旅でないので、気楽。でもしっかり道中で観るべきものを観、ツアーをはなれてタクシーで修道院をみに行ったり。嬉しかったのはフロイデンシュタットで 書見台 が観られたこと。これは速報版を緑の風に載せますね。
  1. 2018/10/04(木) 03:06:00 |
  2. URL |
  3. yk #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> ykさん
旅から戻られたばかりなのですね。
メルヘン街道、なんだかとっても懐かしいです。昔々、ドイツは憧れの土地だったので~!
それにしても、精力的にあちこちいかれ、すぐにサイトにまとめられることには、感嘆いたします。
ブログ、遊びに行きますね~!
  1. 2018/10/05(金) 20:30:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

PLACE DES GRASにあるレリーフについて、ちょっとだけ。
洗足をテーマにしたレリーフだそうですが、ひざまづいたキリストに足を洗ってもらっているのは、ペトロさん。頭に手をあてて、驚いて、恐縮至極のように見えます。
革命後に、完全に破壊されて、資料もほとんどないSAINT-PIERRE(ペトロ)教会で使われていたものだそうです。12世紀。
  1. 2018/10/08(月) 01:01:00 |
  2. URL |
  3. テルマル #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> テルマルさん
貴重な情報をありがとうございます、さすがです!
ペトロ、てへっていう感じにも見えますね。さすがペトロン(聖お兄さん風)笑。キリスト、苦悩してますもん、こいつは…みたいな感じで。
フランス革命、とんでもないですね。フランス人って、やっぱり戦闘的なフランク族の末裔…とか言うと、怒られますかね。
  1. 2018/10/08(月) 21:07:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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