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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

後ろ髪惹かれる、どすこいしこふみ系満載(サン・ディエル・ドーヴェルニュ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その48

クールピエールCourpiereから、さらに15分ほど南下したサン・ディエ・ドーヴェルニュSaint-Dier-d'Auvergneが、次の目的地となります。




サン・ディエ・ドーヴェルニュSaint-Dier-d'Auvergne、サン・ディエ教会Eglise-Saint-Dier。

ここは、7月及び8月は、14時から17時開いているという情報を事前に得ていたのですが、通り道だったんで、昼過ぎの時間に訪ねてみたんですが、やはり、開いていませんでした。教会の前にも、15時から17時に開いているとあったので、情報は、ほぼ正しかったこともわかりました。
とりあえず、外側を見学したところ、とても楽しいものが沢山あったので、これは絶対に中が見たい!と思って、同じ道を引き返してきた時、15時過ぎに、改めて立ち寄ったのですが、残念ながら開いておらず、また、およそ開きそうな様子もなかったので、中はあきらめざるを得ませんでした。
この日は日曜日で、頼りの市役所もお休みですしね、仕方ないですね。

まぁ、そんな経緯があったので、中に入ってもいないし、町はずれで何もないところだったのに、とっても記憶が鮮明です。

最初に目についたのは、ファサードの木製扉を飾る、鋳鉄の装飾。




扉は、かなり新しい様子なので、この装飾の年代はわかりませんが、再建としても、オリジナルに忠実な様子がありますよね。こういった扉の飾りは、イタリアにはないもので、その分、とっても食いついてしまいます。鋳鉄も、大好きなアイテムなので。




こういう、ちょっと怪しいタイプの彫り物が多いのですが、扉という場所を考えても、もしかすると、魔よけ的な意味があるのでしょうか。

さて、そして、楽しいのは、柱頭です!




前回のクールピエールでも見られた、この、どすこいしこふみ系と、二股人魚のオンパレードなんです!脇に置かれた、どう見ても猫にしか見えない、多分ライオン?の間抜け面も、とっても魅力的です。

こちらは、二股人魚系です。




素朴感といい、怪しい様子といい、ばっちり私のツボです。

また、しこふみ系。かなり摩耗が激しい分、優しいおじさんのイメージ、笑。




こちらは、しこふみ系バリエ、でしょうか。胡坐をかいてるように見えますね。「そんで、どうしたって?」とか言いながら、よっこらしょ、と座り込むおやじ風。
でも、両脇に見えるふさっとしたものが、人魚のしっぽだったりする可能性も、捨てきれない。




こちらは、まごうかたなく二股人魚。どうやら、乳房らしいものと、おへそもあるみたいですね。激しく怪しい、でも色気はゼロの人魚です。




これも、緩くしこふみ系で、お尻の穴、さらしてるようですねぇ。かといって、エロティック系のモチーフとは思えません。




いつも見ていただいている方には、私のツボにはまった、というのが、よくわかっていただけると思います。
こいつら意外にも、勿論、他のモチーフの柱頭もありますよ。植物とか、動物ね。




この扉周りの派手なツートンカラーとか、なんだか全体に統一感のない建物で、どこからどこまで、オリジナルで再建で、付け足しか、よくわからないんですが、彫り物系は、基本的に古い時代のものと見受けられます。この扉のアーチには、波の連続モチーフ帯がありますが、これは、海の土地に特有のものかと思い込んでいました。




ところどころを残しながら、そうやって時代を乗り切ってきたんでしょうかね。

軒持ち送りは、ずらりと鉋屑。典型的なオーヴェルニュ装飾です。




窓には、ステンドグラスが見えますから、中は、新しくされて、例によって漆喰ぬりぬりの可能性もありますね。
塔の様子も、修復はされていますが、建築そのものは、古いもののままと思います。




教会のお隣には、このような古い建物があり、今は図書館として使われているようでした。




扉が教会のつくりと似ているので、おそらく、この建物ができた時に、似ているような構造になされたのかな、と思ったりします。これは、位置的にも、教会関連の施設だと思いますし、でも、教会の創建よりは新しそうなので。

いずれも、勝手な推測。
しかし、中の柱頭が見たくて、後ろ髪惹かれつつ、あとにしました。
そういえば、寒かったな、ここ。8月なのにね。今、写真を見ても、なんだか寒そうですよね。

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  1. 2018/12/17(月) 01:47:24|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

ロマネスクのおと、、、
寄り道してパレルモを拝見してきました。
わかり易い絵なのに文字が書いてある、、、
ですがこれは元々ビザンチン・イコンのかきかたで
インスクリプションを入れないと聖なるものにはならないという
決まりからで現在でも省略文字はギリシャ文字で書き入れる
ことになっています。(イコンのばわいでロシア・イコンでもキリル文字を書き込みます)
壁が金ぴか、、、ということですがこれもイコンの作法で
神や聖人には影が無いという考えから背景になる部分には
影を入れない為に金箔を貼ったり金の入ったモザイクを
使います。(金が値段が高いなどという理由ではありませんから)
棕櫚の枝は殉教者の印とかいろいろありますが
ルネッサンスの前は殆どイコンのかきかたを踏んでいるのだと
思います。
  1. 2018/12/16(日) 19:42:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
もしかして、シチリア旅行を計画中?
サイト訪問、ありがとうございます。
ロマネスクのおと、実は存亡の危機にあります。というより、YahooがHP提供を終了するということで、それを、他人様のコメントで今頃知って、非常に慌てている今日この頃なんです。
ちゃんと作ったページは残したいと思いつつ、どうやって…、と途方に暮れております。

パレルモもすごいですが、郊外のモンレアーレのモザイクは、すごいですよ。最初に入った時は、目がつぶれる、と本気で思いました、キンキラで。
私は、ベネチアの金色背景のマリアが大好きですが、シチリアの金色は、本当にキラキラが激しくて、ちょっと引けます。影がないという思想であれば、確かにその通り。でも宗教者ではない私は、宗教的意図よりも、アート的な見方をしてしまうので、ちょっと影を感じる金色の方が、好みですね~。
あの壮大さには、でも、宗教のみならず、政治的な背景もあるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  1. 2018/12/18(火) 21:40:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

そうなんです!
シチリア旅行を計画していますので
膨大なロマネスクのおと
を訪問して少し拝見してきたのです。
観光する人はどう思うのだろうか?
とか参考になるかと考えまして、、、
私はながいことイコンをかいていますので
アプローチがイコンから壁画へと入りますから
殆ど同じようだと思ってしまいます。
いろいろな場所に壁画の職人や建築の職人が
動いて働いていただろうと考えながら当時の作者のことなどに
思いをはせています。
ブログも形式がかわるらしくて少しパニックですが
せっかくの記事がみれなくなるのは困りますね

壮大さということでは、サマルカンドで3キロの金を使った
それこそ目のつぶれそうな神学校の礼拝所をみましたが
やはりこれは権力者が自分の偉大さを示して民衆を
跪かせる意図があるでしょうね!
  1. 2018/12/19(水) 00:56:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
シチリアのもモザイクは、イコンというよりは、装飾表現に近いのではないかと思います。ビザンチンの職人さんを使ったようですが、いかに壮大に派手に見せつけるか、ということに重きを置いた装飾という感じ。その割に、内容は聖書に忠実で、アート的な面白さには欠けるんです。パレルモで、モザイクとして面白いのは、王宮のルッジェーロの間くらいですけれどね。
Atsukoさんとは、捉え方が全く違いますが、モザイクとしては、ラベンナが圧倒的に面白いですね。ローマも、結構好きです。イコン的な見方は、わかりませんが、笑。
  1. 2018/12/20(木) 22:19:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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