2016.08.オーヴェルニュの旅 その66
大好きなブルボン・ラルシャンボーBourbon-l'Archambautのサン・ジョルジュ教会Eglise Saint-Giorges、続きです。
前回、ちょっと毒々しい彩色が施されている周歩廊部分まで、たどり着きました。
ここの柱頭は、何とも言えない緑が塗りたくられていて、引けちゃうんですよねぇ。
これなんか、副柱頭も含めて、石色だったら、単純にいいわぁ、と思うタイプだと思うんですが、この緑は、どうにもダメです。
ただ、以前にも書いたように、このように薄暗い中では、石色だと、モチーフもよくわからなかったりするんで、確かに彩色があった方が、識別は可能なんですけれどもね。
せめて、このくらいの色合いだったら、受け入れやすいんですけれど。
とはいえ、緑を吐きまくっている角っこの人、目の下にクマがあったりして、若干怖いですね、笑。
とかなんとか不届きなことを色々と思いながら、周歩廊を一周します。
恐れ多くも、十字架にかかったキリストの後ろ姿を拝みつつ、毒々しいのは、緑だけじゃないぞ!と自己主張する毒々しい青にも戸惑いながら。
これって、かなりピカピカですから、数年に一度、塗りなおしをするんだと思いますが、現代では、どういった顔料を使うのでしょうね。まさかペンキってことはないでしょうけれど、当時と同じようなものということもないだろうし。
左身廊を、内陣からファサード方向に向けて、見学します。ほっとする祝福天使たち。
そして、一般的な真打登場。昨日のうさ耳真打は、あくまで私にとっての真打で、一般的に、ここで最も有名な柱頭です。
これ、楽しいんです。みんなが一所懸命楽器を演奏してるんです。
ね、真剣そのもの。
おそらく、今では、古楽器と呼ばれる楽器を使っているのでしょうから、そういう興味も湧くテーマですね。そして、うっすらと彩色が認められますが、あせているのか、もともとパステル的な押さえたカラーなのか、雰囲気あるんです。
左端の人は、リラのような楽器を右手で抱えつつ、ほら貝を吹いているという離れ業!現代のオーケストラで、ティンパニかと思ったらトライアングルまで使いこなす、打楽器担当の人みたいで、楽しいですよね。
副柱頭の、変形一抹のようなモチーフ帯もお気に入りです。
それにしても、ここは北側に当たるせいで、訪ねた夕方でも、本当に暗いのです。
他に人がいないのを幸い、禁断のフラッシュ撮影もしたのですが、フラッシュだと、本当に変な写真になっちゃって、全然ダメ。ちょうど光の入り具合がよかったのか、一枚だけ奇跡的に、明るめに映ったのが、これです。
これだと、パステルカラー的な彩色が、ちょっとわかります。
実際は、最初の写真の暗さです。
この日は、この近所に宿泊したため、朝一番で、実はもう一度訪ねたのですが、かえってダメでした。
この村の楽団の並びは、やはりパステルカラーがかわいい柱頭がたくさん。
左側の人は、教皇杖を持っているので、聖職者。右側には、普通の人っぽい二人が、おどおどした感じで彫られています。
真ん中の偉そうな人は、教会の発注者だったりするのかしらん。それにしても、聖職者以外は、腕が彫られていないのが気になります。意味があるような気もしますが…。
これも、デザイン的で面白いと思います。
最近、寒いせいか、普段はどっちかというと敬遠している、バターたっぷりのクッキーが食べたくなって、買いこんじゃってるんですが、そういうものを髣髴とさせるビスケット状。かわいい。
翌朝訪ねた時、側廊は真っ暗でしたが、東に向かった後陣は、光にあふれていました。
素朴系柱頭好きな人には、是非訪ねてもらいたい教会です。できれば、せめて南側から光が入る、午後がベターと思います。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2019/01/14(月) 02:46:19|
- オーベルニュ 03-63-15-43
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| コメント:3
おめでとうございます本年もよろしくお願いいたします
光がとても美しいですね
- 2019/01/15(火) 09:00:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> poetryfish9さん
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
度々お邪魔するのですが、大抵読み逃げですみません。
フランスの教会は、ステンドグラスが多くて、朝日の中では美しい光にあふれています。ステンドグラスのモチーフは新しくなっていても、光の遊びは、おそらく中世から同じだと思うと、うっとり感が増幅するような気がします。
- 2019/01/15(火) 22:34:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> テルマルさん
衝撃の解説、ありがとうございます!
障碍者って、想像もしなかったです。司教様が、例えば戦う司教様で、腕を失って、それで障碍者にも優しいとかそういう話だったのでしょうかね?中世などでは、障碍者は奇形みたいなカテゴリーで、迫害されていたのではないか、と想像するからなのですが…。
テーマも彫りも独特の、当時としては最先端の意識を持っていた石工さんがいたのでしょうか。それとも発注者の意図?うわ~、これは、想像が膨らみます。
- 2019/01/19(土) 18:49:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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