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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

小穴ぼつぼつの意味、教えてください(サンティレリー)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その68

セリリーCerillyで宿泊した翌日は、以前の記事で触れたように、朝日の明るさを期待して、朝一番でブルボン・ラルシャンボーBourbon-l'Archambautを再訪しましたが、残念ながら薄暗がり状態でしたので、あっという間に見学を終えて、当初の目的地に向かいました。
ブルボンを経由したので、ちょっと余計に時間がかかりましたが、本来の位置的には、南東方向に25キロほど、半時間足らずのドライブとなります。




サンティレリーSaint-Hilaireのサン・ルー教会Eglise Saint-Loup。




情報では、月曜から金曜は8時半/12時半に開いている(水曜日はさらに午後13時半から16時半)とあったんですが…。扉は鉄柵で閉ざされていました。ガーン。
ちゃんと、時間を考慮して予定を組んでいるのに、と、がっかりしますが、仕方ないですね。




でも、建物はかなり後代の手が入っているようですし、ロマネスク的に一番の見どころは、正面の扉なので、納得感はありますし、また、鉄柵が、かなり好意的な鉄柵だったので、これも許せるかというところ。
好意的な柵、という表現も変なのですが、時として、網目びっしりみたいな柵などもあり、そうなると内部を垣間見ることはできても、撮影すらできないことがあるんですよ。これなら、乗り出すまではできないまでも、一応よいカメラを持っていれば、結構内部を見ることも撮影することもできそうです。

ちなみに、すぐ近くに市庁舎がありましたが、確か閉まっていたと思います。開いていたら、当然カギを頼んだはずですので。




右側の建物が市庁舎。
旗が掲げられているし、真ん前に車が止まっていますから、もしかして、待っていれば開くとかあったのかもしれませんね。

まずは内部。




天井とか全部後代のものですね。わずかに柱頭が残っているようです。ちゃんと撮影できたのは、下のだけ。




大好きな組紐模様に、なぜかひげ面のおっさん。
本来は、こういう柱頭が、他にもあったと考えられますね。内陣との境目部分の柱頭も、ちょっと面白そうに見えるんですが、撮影は叶いませんでした。が、扉口や軒持ち送りの楽しい彫り物を見ると、内部にも絶対、こういう素朴系で私好みの彫り物が、たくさんあったはずだと確信できます。今でも、どこかでひっそりと生きているかもしれません(個人宅のお庭とか…)。というか、そうであることを祈りたいものです。

扉口右側。




かなり溶けちゃっていますけれど、いずれもチャーミングじゃないですか。このぼつぼつと開いた穴が何かは、わからないんですが。




仲良く水を飲んでいるのは、鳥ではなくてグリフィンぽいです。
目の部分に光る石を入れてあったのが取れちゃって穴ぼこになっている、という例は、結構目にしますが、これ、モチーフに関係ないところにボコボコと、不思議。

これまたぼつぼつも激しくて、かつ珍しい配置のモチーフ。




角っこで頭ごっつんことか、一つ頭で左右に身体があるタイプはよくありますが、角っこに身体を置いて、双頭の鳥?斬新です。そして、ここでも穴が…。




これは、両側に獣が見えるので、もしかしてダニエルさん?でも、腰蓑っぽいのが不思議だし、ただの善き羊飼い?
穴、結構ちゃんと四角で、かなり深いです。ろうそくでも刺した?まさか、笑。




一番扉に近いところで、ポカーン、と口を開けているひげ面さんを見ると、この穴は、この石工さんが編み出した装飾なのか?という気もしてきます。

左側の並びの一つ。




二股人魚を図案化した感じもありますが、この、口から緑を吐いているグリーンマンというわけではなく、顔と植物的な文様だったり、装飾的な帯だったりをつなげるタイプ、この辺り、多いですね。
それにしても、ぼつぼつ、激しい。




この顔との組み合わせを見ると、やはり独特な装飾なのかと思いますが、さて、どうでしょう。

アーチが複数になっていますが、そこの部分は無装飾。ただ、一番内側は、クローバー的なかわいらしい小アーチとなっていて、アーチの付け根部分に、愛らしい彫り物が置かれています。




一番右端にいる子。かわいいとはちょっと違うかな?まんま、獅子舞の志士、という様子です。




思いっきり歯と歯茎をむき出していて、唐草模様が似合いそうな子です。

扉の上の方に、軒持ち送りが並んでいますが、これも相当傷みが激しいです。




建物全体が、黄色砂岩ということですが、どうやらこれらも砂岩みたいですね。砂岩は、扱いやすいはずですが、残念ながら傷みますね。
それにしても、この右側のお花。すっごく普通にお花でびっくりしませんか。現代でも、クレヨンとかでお花を描くとしたら、まずこういうお花を描くような、そういうお花。千年前も同じようにお花を捉えていたと思うと、ええ~って思ってしまうんですけれど。

再建ものも含めて、ほとんど鉋屑の軒持ち送り。




でも、中には変な奴らもいるんです。




結構間抜けな顔なのに、妙に繊細な指で、頭抱えてて、なんだろう、この人ってこっちまで不安になるような人。
こっちの人はまた、同じタイプなんですが、あごの下は手?




ある意味新しいタイプ。
ロマネスクって、ほんと不思議ですね。簡単に時を超えちゃってます。

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  1. 2019/01/20(日) 02:33:55|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

No title

此れは謎ですね?

模様と言うには数が多いですよね?
  1. 2019/01/20(日) 05:49:00 |
  2. URL |
  3. 古民家の田舎暮らし<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 古民家の田舎暮らし<山下亭>さん
やはり、そうですよね。
いつか謎解きに出会えるのを期待しています。いや、自分で調べればいいのでしょうが、限界が…。
次回の記事の柱頭なども、また謎で。謎だらけで、これはこれで楽しいですけれど。笑。
  1. 2019/01/20(日) 18:25:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> テルマルさん
そうなんですね。リズミカルですか。
やはり単純に装飾ですか。単純だけど、見ない装飾ですよね。よく見ると、穴が丸とか四角とか、一応考えられているようにも見えます。
穴から傷みが広がらないようになのか、補強みたいのが見られる穴もありますね。
中世の石工さんの発想って、いろんな意味ですごいですわ。
  1. 2019/01/23(水) 22:30:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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