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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

狩猟用の夏の離宮…勝手に膨らむ想像(ムラ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その70

前回のシャップの次は、北東方面にある町を目指したのですが、その通り道の村で、道端にそれらしい教会があったので、駐車もしやすかったことから、思わず途中下車しました。




ムラMuratという村(ダジャレではなく、笑)の、サン・ニコラ教会Eglise Saint-Nicolasです。

サン・ニコラ!なんと、我らがイタリアはプーリア、バーリのサン・ニコラなんですね。著名聖人は、どの国においても、平等に多くの教会が捧げられていますが、地元に根付いている聖人などは、その限りではないですよね。サン・ニコラも、かなり著名度は高い聖人の一人ではあると思います。欧州人の名前でも、二コラは、どの国でもよくある名前の一つであることを考えても、知名度は高いということですよね。

ちなみに、不思議ですが、イタリアでは二コラは男性の名前ですが、多くの国では、女性の名前になっていますね?もしかして、二コラという女性の聖人がいたのかしら?とすると、そっちの方が有名だったりするんですかね?手持ちの中世辞典を見ると、聖人二コラは、やはりバーリの二コラしか出ていないですが、イタリア語の時点なので、何とも言えないですね。

もとい、知名度はある割に、二コラにささげられた教会は、そんなに数があるとは思えません。前回の聖アンナもそうですが、そういう偏りは、やはり何らかの理由による人気度なんでしょうねぇ。
働きや人気度でヒーローをランキングする「ワンパンマン」という漫画がありますが(すっごくくだらないですが、すっごく面白いです)、聖人ランキングって、あったら面白そう…。不敬な発想で、信者さんに怒られそうです。




今は、この教会の近くに数軒の集落があるだけの村ですが、もともと、この教会のお隣には、お城があったそうです。教会が12世紀ですから、同時期の中世の城。
街道に面しているわけでもないので、どうでしょう、離宮とかそういう位置づけのお城だったかもしれませんね。狩り用の別荘みたいな。今でも、周囲は緑が多い、大変美しい土地ですし(説明版には、巨大なお城跡、とあるので、離宮という発想は無理があるかもね)。
調べもしないで、勝手な想像を書いていますので、どうぞそういう風にとってくださいね。

ゴシック期以降に、かなり手が入っているし、オリジナル部分は相当傷んでいますが、なんとなく、全体に味がありますね。空の青と地面の緑で、現場で見た以上に、フォトジェニックになっている感は否めませんが、笑。




傷んでいる中でも、ちょっと楽しい軒持ち送りがあります。




ディテールが溶けかかっているのになお、いい味出している二人組。
建物の修復も、かなりおざなり感があり、彫り物までは手が入ってないのでは、という様子ですが、それでも、雨風にさらされながら、これだけ残っているのですねぇ。




凹凸がならされて、のっぺり感が強いのですが、それでも、顔の表情は、しっかり残っていますよね。
右側の人のおちょぼ口、愛らしい…。




こういう、行っちゃってる感じの鉋屑、哀愁を感じます。

正面は、もう全然つまんないことになっちゃってます。扉の装飾も、ほとんどなしで、全体が、後付けの様子。




今の図面、こういう感じになっています。




南側に扉がありますが、残念ながら、前回に引き続き、こちらも金網扉ががっちりとはめられています。




シャップと違って愛想も何もない実用本位の金網…。勿論しっかりと施錠されていて、びくともしません。
でも、鳥のフンなどの汚れがないところを見ると、常日頃ちゃんと開閉されていて、ケアされているということなのでしょうね。

例によって、金網越しに撮影をしてみましたが、ここはマスが小さくて、非常に難しかったです。それでも、素敵な植物系柱頭が撮れました。




反対側の壁にあった柱頭だと思いますが、こんな楽しいモチーフのものも。




ファサード前のお宅の方にカギを尋ねましたが、市役所にあるんじゃない、とすげない返事。教えられたように市役所に行っては見たものの、やはりここでもクローズでした。
本来目的にしていたわけではないので、出会えたことがめっけもん、ということで、納得して、村をあとにしました。

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  1. 2019/01/24(木) 06:24:39|
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  4. | コメント:3
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コメント

No title

聖ニコラはサンタクロースの原型ですので世界中で愛されている
聖人ですね!ニコラの女性名はニコルです。
12月6日が聖ニコラの祝日で聖ニコラの服装をした人の
行列が各地であり子供達は歌や詩の朗読を披露して
お菓子やミカンなどのプレゼントをもらいます。
スイスのフリブーグには、聖ニコラ大聖堂があります。
聖ニコラの聖遺物がありますので、トルコ政府から
返還要求がありましたが、、、トルコはキリスト教徒の数などが
少ないからということで、返還はありえないことでした!
  1. 2019/01/24(木) 09:07:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

サンクト・ペテルブルグには聖ニコラ大聖堂があります。
海運、船乗りの守護の聖人でしたので、
ソ連時代でも海軍が支持していましたので
廃止されずに残されていた大聖堂です。
ブルーと白の美しい聖堂ですよ!
  1. 2019/01/24(木) 09:19:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
そうか、考えたら、どの聖人の名前も、女性も男性もありますね。そして、サンタクロースの原型だから、世界中に広がったのですね。バーリのサン・ニコラの聖遺物は、確か盗んで持ってきたもんだと思いますが、やっぱり返還要求されたのかな。
  1. 2019/01/26(土) 19:11:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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