fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

逆走もまた思い出のよすがに(イェウール)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その78

建築的な見た目はともかく、意外にも柱頭を楽しめたスーヴィニーから、15キロほど東に移動して、次の目的地に到着です。




イェウールYzeure(これは読めません!フランスの地名は、相変わらずハードル高いです)の、サン・ピエール教区教会Eglise Paroi Saint-Pierreです。
扉口に貼られていた案内によれば、月曜、火曜、木曜が、9時/11時45分と14時/16時45分、水曜、金曜が、9時/11時45分で午後はお休み。土日及び学校の休暇中は、昼休みなしの9時/18時ということです。

教会前が大きな広場になっていて、その周囲が駐車場になっているという、車で訪問するには大変ありがたいロケーションなのですが、しかし、その駐車場の入り方がわからず、気付いたら、思いっきり逆進していて、冷や汗をかいたので、この広場の様子、とっても記憶に残っています、汗っ、笑。

冷や汗だくだくになりながらも、教会前にやけに人がいる様子は目に入っていました。近づいてわかりましたが、なんと、お葬式の直後だったんです。
何はともあれ、入場してみることにしました。




ミサとか結婚式など何らかのセレモニーに当たってしまうと、大失敗、ということになりますが、直後だと、ちょっといいことがあることもありますね。何かというと、ライトアップですね。大小問わず、どんな教会でも、上の方の明かりがついているかどうかで、見え方が全然違いますから、本来の暗さの中でもみたいですが、でも、見学するには、明かりがあることが、大変ありがたいことです。
このときは、お葬式の直後だったせいか、全体が煌々と明るくて、細部までしっかりと見ることができたんです。その上、参列者は少なくて、本堂内部はあっという間に無人になっていたんですから、こういうのもなんですが、見学には、理想的な環境だったと言えるでしょう。

教会のつくりは地味ですが、ここでも多くの楽しい柱頭に出会うことができました。明るさのおかげも大いにあります。




上から下から、むぎゅって落ち着けたような体系の人が、何かよいしょってやってますね。
顔がエキゾチックというのか、西洋風ではないのが、意味があるのかどうか。
「柱頭」で検索してみたんですが、残念ながら、解説のようなものは、何も見あたりませんでした。




一見グリーンマン的な作りですが、はいてないですね。
このうにゅっとした装飾、何とはなしに、マヤ遺跡とかそっちの方のイメージを感じてしまいます。顔の様子がエキゾチックなせいもあるのかなぁ。

一方で、こちらの人たちは、吐きまくりです!




植物を、というより、風とかもっと抽象的な渦巻く現象ですね。吐いてる人が辛そうな様子も、何か暗示を感じます。息、吐ききった感じ?それでもまだ出てきちゃうんだよ~、辛いんだけど~、みたいな。人生、辛いよね、って声かけちゃうみたいな、笑。

こちらはまた、ちょっと違うタイプ。




葉っぱの間でかくれんぼ、的な。人も動物も、ひょっこり、いないいないばぁをしているような様子で、微笑ましいですが、こんな顔がぴょこぴょこ出てきたら、きっと赤ちゃん、泣いちゃいますね。

この柱頭の人たちも、かなり苦悩している様子です。




角っこのインテリイケメン風は、なんでこんな場所に無理やり押し込められているのか、どうやっても出られない現実に、顔が歪んじゃっていて、ゾンビにも見えますねぇ。
吐きまくっている方は、悪魔風なんで、これで良し。俺の仕事は吐くのみ!という決意が感じられますけれど。
あー、また勝手なこと、いいまくりです、笑。




何らかのテーマというより装飾性の高い彫り物が多いので、好き嫌いはあるかと思いますが、建物全体が地味なことを考えると、柱頭の面白さは際立っていました。というより、外からは期待できなかったのは、前回のスーヴィニー同様です。




さて、内陣の方に行くと、こんな様子に戸惑いますが、これはこれで、クリプタに突進です。10世紀以前、おそらくもともとの教会もその頃に創建されたということなのでしょうが、そういう時代の空間が残っているんですよ。




構造そのものは、相当古い時代のものと思われる、とても小さなクリプタですが、無装飾かつ、ひたすらシンプル。構造だけを残して、あとは後代の改修などに寄るのかもしれませんね。
ここは暗闇でもあったので、ちょっと降りただけ。
もう一度本堂を抜けて、ファサードの見学へと向かいます。




トップの写真で見られるように、ファサードが鐘楼と一体化してしまっていますが、この構造は、18世紀にそういうようにされてしまったようです。
それでもありがたいことに、扉周りの装飾は、ちゃんと残されています。




かなり修復再建が入っていそうですが、この扉上の軒持ち送りの彫り物は、ちょっと面白いですよ。




妊娠10か月くらいのおっさん(笑)と半魚人。




超間抜け面コンビ。のんびりしているところが、気が合うんです~、とか言ってそうなコンビですよね。
後ろにあるひし形帯、いい感じです。




これはさぁ、修復した人が、ちょっと自分の好みでヨーダ入れてみました、って感じがしないでもないですね。左の人は、中の柱頭の人のようなポーズですね。棒運動ってわけでもないですよね?まさか鉄棒苦手だった人が逆上がりできた!という笑顔ということはないですよね。

もうこれも好き!右はミニオンズがちょっと入ってるし、左は完全にガラモン!




やっぱり、なんか現代的なセンスが入りすぎてる気がします。

柱頭も、なんか変。




改めて見返したら、なんだかおもしろいので、やけにたくさん写真をアップしてしまいました。楽しんでいただけたでしょうか。




ちなみに、駐車場へ入るのに逆走したことで、罰金が来るに違いない、としばらくびくびくしていましたが、さすがにフランスの田舎は、イタリアのようにやたらとカメラは内容で、無事、何も請求されませんでした。
今やイタリアでは、どんな田舎でもカメラだらけですから、どうぞ、イタリアを運転される方は、他の国とは違って、慎重にも慎重を重ねて、運転してくださいね(この2年ほど、罰金まみれです、涙)。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト



  1. 2019/02/06(水) 07:02:20|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<二つ扉の謎(ベッソンその1) | ホーム | 隠微な楽しさと対極の白々塗り(スーヴィニー)>>

コメント

No title

すばらしいですね。柱頭のこの素朴、だけど丁寧な仕事ぶりは信仰心の反映なんでしょうか。corsaさんの様子まで見えてきました。
  1. 2019/02/06(水) 01:13:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> oteboxさん
全体のたたずまい的には、スペインやイタリアの方が、好みなんですが、柱頭とか装飾のディテールに関しては、やはりフランスはすごいです。どこに行っても、素晴らしい彫り物があり、それぞれ魅力的です。
段々、行きたい気持ちが高まってきたんじゃないですか?笑。
  1. 2019/02/08(金) 09:31:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1995-361dfe31
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)