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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ロマネスクの不思議を感じつつ(ベッソンその2)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その80

ずいぶんと間が開いてしまいましたが、ベッソンBessonのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martin、続きです。




前回は、外側を紹介したので、今回は、中に入ってみます。こんなシンプルな三身廊構造となっていて、いくつか面白い柱頭が見られます。




もともと白っぽい石を使っているのでしょうが、なんか化粧直しが激しい白さとなっているのは、今どきのフランスらしい様子かもね。




入っていきなり、こういう風に白いと、ちょっと気持ちが引けるのですが…。でも、偏見で見てはいけませんね。あるものはきちんとあるのが、フランスのロマネスクですからね~。




手直ししすぎ感は、どこまでもありますが、構造も含めて、往時の雰囲気は残っていますよね。
そして、浅彫り系の柱頭彫刻。




植物系がたくさんありますが、いずれも浅彫りって感じで、珍しいですよね。もしかして、未完だったりするのかしらん?




一方で、しっかり深彫り系もあります。




動物とか人のフィギュアは、やっぱりそれなりの深さで、しっかり彫りたくなるものなのかしらねぇ?




しっかり、というのとは、ちょっと違うかもしれませんが、いや、やはりしっかりしてますよね、この表情。
あ、植物系でも、しっかり系、いました。




これは、異なる手が入っていますね、どうやら。時代かもしれないけれど。どう考えても、こういうしっかり深くて、割と線がきっぱりと単純化している彫り物と、うっすらした浅彫りで、線が妙に複雑なタイプは、技術もモチーフのセンスも、完全に別物ですね。




可愛さや複雑さが最初に目につき、現場では、そういう風な見方だけで見てしまうことが多いのですが、こうやって改めて写真を見ると、そういう気付きがあるので、面白いです。
明らかに違う手だと納得しちゃう違いなのに、現場では、意外とそういう風に見てないんです、少なくとも、間抜けな私は。
それぞれの意味だったり、そんなことを考えながら撮影していて、全体の姿って、なかなか結び付けられない、みたいな。




そういう、現場とは違う視点で、改めてこうやって見返して、色々考えながら、それでもやっぱり、これもそれも、ロマネスクだと認識できるというのは、いったい何なんでしょうか。

今回日本で、久しぶりにお会いする師匠と、ロマネスク談義を楽しんだのですが、ロマネスクの定義って、本当に不思議であるという話になりました。定義とか概念じは後付けでなされているので、その時代に「俺はロマネスクの彫り物を彫っている」ということではなかったわけですが、それにしても、技術的にも表現力的にも、結構異なるものたちを、ひとくくりにロマネスクとしてしまう。同時に、見る側は、割と当たり前に、そういう結構違うものたちを、ちゃんとロマネスクと認識してしまうっていうのは、とても不思議です。
技術や表現力が異なっても、高々2世紀足らずの時代スパンのことですから、それだけのこと、と言ってしまえばそうなのでしょうが…。

わたしは、体系的に勉強もしてないし、ちゃんと書籍を読んだりもほとんどしておらず、ただ現場を回っているだけで、感覚としてロマネスクを捉えているため、実際、ロマネスクとは何ぞや、と尋ねられても、説明できる自信はないんですよね。それでいて、これはそう、それは違う、とか勝手に言ってるわけで、いやはや、自分でもわけわからないです。

そのあたりがまた、ロマネスクの魅力ともいえるんでしょうかね。
改めて、いろいろと考えさせられることでした。今回、古本屋さんでゲットした本も含めて、今年は手持ちの本(イタリア語の図版中心の本など、結構持っているのですが、ほとんど積読状態)を紐解くなど、美術史的な勉強も少しする、というのも、控えめな目標としたいと思います。

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