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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

やるせない表情満載(ブロ・ヴェルネ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その92

友人宅滞在二日目も、友人の運転プラスガイド付きという、私にとっては大いなる大名ツアーです。丸一日、と言っても、自分でがむしゃらに走り回るときと違って、友人宅滞在なので、ゆったりと起きて、おしゃべりをしながらゆったりと朝食をいただいて、やっとこさ出発、という余裕の旅程ではあります。いつもは何かにつかれたような修行状態ですから、ホテルの朝ごはんが遅いと、イラッとしたりするのですが、久しぶりにそういうイライラを忘れて、優雅な朝のおしゃべりを楽しむ、というのは、至福でございました。

さて、そうはいっても、やはり見たいし、住んでいらっしゃる側としても見せたい気持ちは満々。というわけで、旅程を見ると、やはり修行状態なので、あきれてしまいます。




この日回った町村、全部で、10カ所となります。よくぞ、これだけ。総距離はたいしたことはないのですが、それでも、移動して、教会を見て、また移動して、という行程を考えると、いっぱいいっぱいの日程ですよね。同行者が、土地に詳しくて、迷うロスがないからこそ、の日程だとも思います。

右の方にあるBrout-Vernetから、反時計回りとなります。
というわけで、最初の教会は、こちらです。




ブロ・ヴェルネBrout-Vernetのサン・マゼラン教会Eglise Saint-Mazeran。
マゼランって、聞いたことのない聖人ですけれど、もしかして、フランス特有の発音してるんですかね?

実はついこの週末、当該のフランスの友人と電話で話した折に、驚愕の事実を、今更知ったんで、こんなことを思うんです。フランスは、教会の名前もすぐフランス式にしてしまうから、イタリアやスペインの教会のことを調べるのに大変困る、というお話の流れで、フランスでは、聖ステファンのことが、Saint-Etienneであるということを、初めて知ったのですよ。
もしかして常識?

このSaint-Etienneにささげられた教会って、フランス全土にありますけれど、他の国では聞かない聖人だよなぁ、とは思っていたのですが、まさかステファノとは、本当に思いもよらず、ただただ唖然としました。
フランス語の情報だと、イタリアのサント・ステファノ教会が、すべてサンテティエンヌ教会に翻訳されてしまっているそうで~。中華思想(笑)、極まれり!
固有名詞は、翻訳できてもしてほしくないですよね。
というわけで、私もなるべく、現地語表記を目指しているのですが、フランス語は読めないことも多く、修行中はほとんどイタリア語読みで理解してしまうため、どうしてもいい加減になりがちです。

話を戻しますが、サン・マゼランで検索すると、いきなりここの教会が出てくるので、どうやら地域に根差した聖人さんのようです。説明によれば、ご本人が、この教会の創建に尽力したとされているそうです。

こじんまりとした教会で、プランはこうなっています。




黒い塗りつぶしが11/12世紀、斜め線の部分が12世紀の終わりごろ、そして、残りは現代のもの、と図解があります。




東に向いた教会を朝、訪ねると、正しく光が差し込んで、荘厳な雰囲気を味わえますね。日出ずるところの国、遥か東にあった日本が、すでにして神秘の国と思われたのも、なんだかわかる気がしますね。

後陣側から、ファサード方向。




いくつか、気になる柱頭があります。




鳥のペアが仲良くお水を飲む図像は、普通、大体はかわいいイメージになるんですが、これは、ちょっと怖いというか、鳥が苦手な人が、その苦手とするところを、余すところなく表現したような鳥かも、笑。ぬめり感とか、鳥皮的なうろこというかぶつぶつというか…。ハゲタカのような頭部は、かなり苦手かも。

面白い石を使ったもの。




何とも言えない素敵な色です。モチーフも、植物から素朴な人が飛び出ていて、そのプリミティブな彫り物が、石とマッチしているというか。
実は、とてもかわいらしい馬っぽい動物フィギュアが、同じ石であらわされた柱頭がありましたが、今の今、ミスで、消してしまいました。ぐやじい…。
いずれにしても、ぬめりの鳥とは違うテイストの彫り物です。

一方で、変に写実的で、現代もの?とも思われるものなどもあり。




三つという数は、三位一体を表すものですから、そういう意図があるのでしょうが、それにしても、この辛そうな人々の三連発は、なんだかやるせないです笑。

でもこの人たち、朝日がさんさんという、こんなに晴れやかな場所に置かれているんですよ。




俺たち辛いのに、拷問かよ、とかつぶやいているようにしか見えない三人組。

朝日の時間は、ステンドグラスがきれいに楽しめる時間でもありますね。




外に出ます。
扉の両脇にある側柱の柱頭が、かわいらしいですよ。




手前の方は、両腕を挙げて、祈っている姿でしょうかね。なぜか、おどおど感が半端なし。
奥の方の植物モチーフ。こういうタイプ、大好きです。単純でクッキリしていて、こういう絵が描ける人になりたいなぁ、と思うようなモチーフです。

お向かいにいる子が、また何とも愛らしいです。




うっすらとほほ笑んでいるのがたまりません。そして、足が、妙にほっそりと長くて、もうちょっと頑張ったら、ダリの象さんになっちゃいそうな状態ですよね。




あちこち、時代が混じっていますが、結構背の高い後陣の軒持ち送り、ちゃんと残っています。どれも小さくて、頭部が多いのですが、ちょっと不思議なものです。




左の人は、例によっての鉋屑に乗っけられています。右の人は、どこかで見た、比較的新しいグリーンマンのイラストに似ています。顔に緑が張り付いている様子っていうんですかね。




十字架、なのかな?
それにしても、頭部オンパレードはすごいですね。ケルトの影響とかあるのかしらん。




この人は上に乗っけてますが、こうなるとやはり十字架っぽいですね。不思議な軒持ち送りです。

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