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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

肉体労働者を励ますホワイトカラー的な(シャンテル)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その94

次に訪ねたのは、修道院の中の教会です。




シャンテルChantellにある修道院教会、サン・ヴァンサンEglise Saint-Vincentです。
いかにもいかにも、という長い塀が続き、周辺は美しく整備されています。この奥に教会があります。




ここも、フランスの多くの例にもれず、外観からは、ちょっとロマネスクのテイストは感じられず、え?本当にここ?と思ってしまいますが、ご心配なく。




内部は、一応、中世の雰囲気を残した様子になっています。ただ、見学は、結構制約があったように記憶しています。いずれにしても、ロマネスクの遺構は一部に過ぎないので、問題はありません。

プランはこのようになっています。この辺りは、説明版の仕様も、どこも同じような形になっていて、プランも必ず提示されています。そして、図の読み方もみな同じで、黒塗りが最も古い年代、ここでは、12世紀のもので、網掛が、12世紀後半、白抜きは現代のものとなっています。
説明のあり方が共通していると、わかりやすくてよいですね。こういうところはさすがに、ロマネスク集積地、オーベルニュだけあるなぁ、と感心します。
説明版では、端折った形ではありますが、英文の要約も掲示されているんですよ。




ここで注目すべきは、いくつかの柱頭です。




確か、入り口近くにいきなりあったんじゃなかったかなぁ。
親切にも、柱頭に番号が振ってあって、説明が置いてありましたよ。




著名な柱頭は、その下に、説明が置いてありました。それによれば、上の、男性のふぎゅあがあるやつは…。ああ、また読むのか、と憂鬱に思いながら、やはり、ちょっと読みたいですよね。

「中世風のチュニックをまとった男が立っている。ゆったりとしたベルトを着け、ベルトには、二つの鍵が下げられている。右手には巻紙のようなものを持っているが、それは、教会のプラン図または修道院の創建書類と考えられている。左手には、トンカチ、または剣のようなものを持っている。
言い伝えでは、この人は、教会の建造者であるとされている。鍵によって、責任者である権威が表され、道具によって、建造に携わっていることがあらわされている。」

割と、当たり前の意味で、なぁんだ、という感じです。なにも、こういうエニグマティックな表現にしなくても良さそうに思うんですが…。でも、だからこそ、なんだか楽しいですね。棟梁だったのかな。なんか、貴族的な様子なんで、自分の手は汚さない建築家的な立場の人だったんですかね。それでも、職人さんたちを働かせるために、会社のトップなのに、工場労働者と同じジャンパーを来ちゃう、日本のメーカーさん的な、笑。

同じスタイルで、もうちょっとシンプルな人もいます。




そして、この人の方が、イケメンですね、笑。

「中世風のチュニックをまとって立った男。両腕を持ち上げて、渦巻き装飾となっている葉を持ち上げようとしているようだ。あたかも、教会の建築をなす、今作られたばかりのアーチをまとっているかのようだ。」

どちらも、教会を作った人をほめたたえるような、労をねぎらうような、そういうテーマだと考えられているわけですね。そういうのは、結構珍しいかもね。でも、鍵とか道具を持っている人はともかく、この人は、ちょっと無理やり解釈しすぎな気もします。

道具系っぽい人が、もう一人。




ヌードで半身という斬新なスタイル。腕を持ち上げて、自分の上にある鐘とつながったひもをつかんでいる。教会の創建を知らせる鐘をならしているのか?と、説明にも疑問付きでした。
そういわれれば、確かに鐘をならしている様子なので、そこまでは大いに共感しますが、教会の創建に、そこまでこだわりますかね?おそらくこだわる理由があるのでしょうが、もっともっとながたらしい説明を読む元気はないので、どうぞ、興味がある方は、調べてみてくださいね。
でも、現地での説明がこの程度ですから、本当にどうなのか、というところは、やっぱりわからないんだろうな、と思います。

ちょっと面白い人物フィギュアはこの三点で、この他は、植物モチーフとなります。




シンプルで、すごくかわいらしいですが、再建ぽくもありますね。
こちらは、一見グリーンマンかと思うんですが。




よく見ると、この人、笛を吹いているのか、たばこをやっているのか、グリーンマンじゃなかったです。




アルコール検査のふーって息を吹き込むやつにも見えます。すみません、おちゃらけばかりで。でも、なんかそういうイメージまで湧いてきちゃった、笑。

こちらも、植物物だな、と思ったんですが。




よく見たら、顔がありました!




全体が植物系のようなので、花の中心に顔を置いたようですが、太陽の中心にも見えたり。いずれにしても、可愛さのないところが、面白さでもあるのかな。

独特なテイストを持つ石工さんがいたのですね。
この人の仕事は、もっと見てみたいです。

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  4. | コメント:4
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コメント

No title

口にくわえてるの、楽器とかではないですよね?牛飼いが動物を呼ぶやつとか…違うか…スイスじゃないもんね(*≧∀≦*)。
可愛らしい彫刻ですね❣
  1. 2019/03/26(火) 22:02:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> まーたんさん
牛飼いにしては、ちょっと貴族的な様子がありますよね。でも、楽器にも見えますし、そうじゃないとは言い切れませんね~、笑。髪型にこだわるオシャレな牛飼い。
  1. 2019/03/28(木) 22:53:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

顔だけの彫刻は、イエスということらしいのですが、、、
髪型がナザレ人になっているのでやはりそうかも?

他には顔は悪霊や悪魔から守護するお守りとかですが
  1. 2019/04/05(金) 05:10:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
いや、これは違うでしょう?
なんか加えているのも変だし。

頭部だけは、ケルト文化の影響という説もありますよね。でもここでは、ポーズがあるので、それも違うように思います。
  1. 2019/04/12(金) 23:11:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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