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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

キラキラなフレスコに囲まれる教会(ジェザ)

2016.08.オーヴェルニュの旅 その98

この辺り、車で10分程度の範囲に、もう数珠つなぎのように、教会があって、びっくりします。事前に、結構調べていたのですが、ネット中心の情報収集では、引っ掛からない場所も多いのに、地域に在住している同行者のおかげで、もう道に迷うこともなくサクサクと、実にありがたいツアーでした。

とは言いながら、空腹を抱えたまま、というのは、割といつもの修行旅状態だったのが、今思い出しても、笑ってしまいます。同行の方は、以前に記事にも書きましたが、ネットで知り合ったのですが、いろんなところで感覚が似ているというのか、空腹だけど、なんか無理無理の気持ちで、気に入らない場所で食べるのは嫌だったり、空腹を優先して教会を端折るのはもったいなかったり、というそういうところ。
そういう感覚が似ていると、とても気楽な感じで、ツアーできて、ありがたいことでした。

そんなわけで、空腹のまま、次に向かったのは、こちらです。




ジェザJenzatのサン・マルタン教会Eglise Saint-Martin。

何とも地味な外観。地味というより、魅力に欠けるといった方がぴったりするかも。
現在の建物は、11世紀、12世紀、そして15世紀と長い時間のそれぞれの時期に建てられたものが混ざった状態となっているそうで、例のプランは、下となります。




黒塗りが最も古い11世紀の建物で、右から左への斜め網掛、つまり、11世紀の壁構造に囲まれた部分の柱頭になりますが、それが12世紀のもの、そして、左から右への斜め網掛、つまり今ある後陣部分は、12世紀から13世紀にかけての建物で、白抜きは近現代のものとなります。だから、外からだと、なんだか半端な様子になっているのですね。

ところが、中に入ると、かなり派手で、びっくりします。




明るいし、彩色がすごい。あらら~って感じなんですが、入ってきた方に振り返ってびっくり。




扉の周囲の壁に、びっしりフレスコ画があるんですよ。びっしりなんで、ほんと、びっくりでした。この教会は、事前にまったくチェックしていなかったんですよ。




まるで漫画のように、コマ割りがされていて、いくつかのお話が、漫画のように説明的に描かれているんです。これはキリストの受難ってやつかな。
コマが24あるみたいです。




最後の晩餐とか、有名どころのエピソードを押さえました!みたいな、いわゆるダイジェスト・ストーリー。
このフレスコ画は、14世紀ごろらしく、絵柄的には、私の好みではないのですが、程よく色あせていることもあり、また保存状態がよく、この漫画的な描き方も面白く、興奮しました。




こちらは、聖カテリーナのストーリーとあるのですが、カテリーナとジェザの関係は不明です。
カテリーナといえば、私にとってはシエナの守護聖人カテリーナと直結してしまうのですが、まさかシエナのカテリーナがこんなところまで信仰を広めていたとは思えませんね。
ということは、アレクサンドリアのカテリーナさんでしょうかね。
ふふ、数年前に購入した中世辞典、こういう時、ちょっと役に立つんですよ。

いくつかアップにしてみますね。




これは、もしかしてサン・マルタン?




華やかな聖カテリーナ。あ、カテリーナはイタリア語読みだから、フランスだとカトリーヌとなるんですかね。

絵柄も色合いも、なんとなく華やかで、去年だったか訪ねた、ピエモンテのマンタ城だったかしら。素敵な壁画があるんですが、ああいう流れにつながる絵だなぁ、と思いました。
自分のブログを検索したんですが、ピエモンテの食の記事の中に、ちょこっとだけ、フレスコ画をアップしていましたので、ご興味があれば、以下。


さて、フレスコ画の外にも、注目すべきは、柱頭です。




音楽家とアクロバットをする人。説明によれば、これは日々の生活につながるモチーフであるとありました。音楽家(動物の場合も多いですね)とかアクロバットをする人というのは、結構よく見るモチーフですが、日常を描いているんだ、という説明は初めてです。確かに、娯楽の少ない中世で、こういう出し物だったりとか、さすらいの吟遊詩人みたいな人たちって、数少ない楽しみだったりしたんでしょうけれど、でもなぜ。

それにしても、この柱頭、葉っぱがぬりぬりで、いかにも後から無理やり書き込んだ感がすごいですね。彩色も、ちょっとなんていうか。

一方で、受胎告知なんて言うストーリー性のものもありました。




彩色が剥げ剥げで、とんでもない様子になっています。それにしても、ガブちゃんの手の大きいことといったら。
なんだか迷惑そうなマリア、そして、苦悩しているのはヨゼフさんですかね?嫌がるマリアを離さない的な手の大きさなんでしょうか、笑。

今は剥げていますが、どうやら相当派手な彩色だったように見受けられます。この教会、キラキラすぎですよね。




柱頭はともかくとしても、これだけのフレスコ画が、描かれた当初はピカピカしていたのでしょうし、目がつぶれるほど豪華な内装だったということですよね。いくら薄暗いと言っても、やはり豪華さは感じられるでしょうから。それが、この田舎町に。
ジェザの領主さん、やり手だったんでしょうねぇ。

天使のアップを見ていて、やはり手が大きいのと、顔の、特に口のあたりにビザンチン的な表現が見て取れました。オーベルニュでビザンチンはないはずなんですが、でも、職人の技術が、何かしらの形で流れてきているのかも、とか考え出すと、また楽しいです。




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コメント

No title

お久しぶりです!
最近まともにお友達のブログ訪問をしていません!

ロバに乗っている絵はイエスのジェルザレム入場です
棕櫚の枝をなげてイエスを迎えているのですが
光臨の模様に十字架の上左右がかかれている人物は
イエスだけです。

アクロバットはこの前シチリアで買ってきた本に
日常生活の中の自由を表したり、
昇天する超人間を表しているとか書いてありました。
  1. 2019/04/05(金) 04:56:00 |
  2. URL |
  3. Atsuko #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Atsukoさん
なかなか返信できず、スミマセン。
そうですよね、エルサレム入場ですよね。そう思いながら、サン・マルタンとか考えていて、なんだかそんな文を書いていたようです、笑。
アクロバットは、ここでは、市井の日常生活を表すようなことが書かれていて、腑に落ちた気がしました。これまで、なんでこんな唐突にアクロバットなんだろう、と思っていたのです。
  1. 2019/04/12(金) 23:09:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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