フオリサローネ2019 その1
しばらく開いてしまいましたが、もしかしておなじみさんだと、あ、例の季節だな、とか思われたりしたかもしれません。
そうなんです。おなじみの、ミラノ最大の家具インテリア見本市であるサローネに関連するフオリサローネの季節が、今年もやってきたんです。
通常は、会期直前の週末に、簡単に食べられるものやら副菜やらを多めに準備しておいて、会期中は疲れて帰宅しても、ササっと夕食ができるような準備をするのですが、今回は、その貴重な週末に、遠方より知人が遊びに来ていたため、終始飲んだくれるという、準備どころではないスケジュールとなってしまいまして、会期初日の月曜日は、激烈な眠気に邪魔されながらの開始となりました。本当に辛かったです、笑。
一方で、仕事で辛いことが多かったのですが、毎夕、大いなる気分転換ができて、助かったところもありました。終業時間に、文字通り飛び出して、会場に駆けつける毎日は、なんだかもう、ロマネスク同様、修行の様相を呈していましたけれど、おそらく、仕事でのストレスもまた、その一助ではあったと思います。身体が辛かったのは確かなのですが、このまま家に帰っても、気持ちは辛いまま、みたいなところもあったので、フオリサローネで、癒される毎日でもありました。
今回のフオリサローネの展示は、個人的には、小粒な印象で、何が何でもどうしても行かねば!と思わされるようなものはなかったのです。でも、蓋を開けてみれば、そして実際に参加してみれば、結構それなりの出会いというものはあり、やはり見ないとわからないものよ、と思うものでもありました。
駆け足ではありますが、さらりと、紹介していきたいと思います。
まずは、職場近くのシティ・ライフから。
シティ・ライフは、ミラノでは一番新しい再開発地区だと思います。保険会社のジェネラリが中心となり、高層ビルが三本たち、その低層に、ショッピングセンターや複合映画館があります。
そういった地域でもあり、またしょっちゅう何らかのイベントもやっているので、フオリサローネのイベントもあるだろうなとは思っていたのですが…。
高層ビルから見下ろした写真で、ちまちまとしたテントのようなものが、フオリサローネ参加の展示です。赤い線は、いわゆるレッド・カーペットで、どうやら初日だか二日目だかに、大統領がお出ましになったらしいです。
展示は、とっても普通な感じの正統派家具の展示、というタイプで、さっぱり面白みがなかったので、見学3分ほどで終了です。
まず向かったのは、ブレラ地区。
というのも、初日は、情報収集のために、インテルニという雑誌が発行しているフオリサローネのイベントをまとめた冊子を入手することが必至。今までは、職場からアクセスしやすかった大学に行っていたのですが、職場の引っ越しによって、状況が変わったこともあり、同じインテルニが主催しているイベント会場がある、ブレラ地区に行くこととしました。
最寄りの駅で降りて、うろうろ歩くと、もともと見ようと考えていた展示にたどり着きました。
Casa, Kamoi Kakoshi Co.,Ltd.
Planning & Art Direction Koji Iyama
マスキングテープのカモ井さんの展示です。
チンクエチェントへのマステ装飾は、昨年の展示でありましたが、かわいいです。チンクエチェントって、本当にどういじってもフォトジェニックですよね。
去年と同じ会場です。初日だけあって、見学者も少なく、ゆったりと見ることができました。
入ったお部屋には、マスキングテープを、通常のサイズに切る前のサイズで、お家の形が作られていました。このテープは、フオリサローネ仕様のデザインで、お土産にいただけるのも嬉しい、笑。
前回と違って、今回は、会社の人と思いますが、すぐに話かけてきて、色々お話を伺うことができました。
日本人の方はシャイでもあり、言葉の問題もあり、なかなか積極的に声掛けをする人が少ないという印象なのですが、今回は、意外と声をかけていただけることも多く、少しずつ、変わってきているのか、という感じも見受けられました。
カモ井さん、前回は、関係者でひそひそ、みたいな様子がちょっとなぁ、と思いましたが、よい変化です。超上から目線ですが、笑。
こちらへの進出は、文具としてのマステ、というよりも、インテリアに使う提案としてのマステを一押し、という感じですが、用途はどうあれ、かなり幅広の、要は、サランラップとかをずっと長くしたような幅のぐるぐるを、用途に応じて切るということなのだそうです。文具としてのマステのもとは、とんでもなく横長のものだったりするようです。
階段から壁から、すべてにびっしりと貼りまくり。
地下に降りると、インテリア。
壮観。テーブルに並べられたお皿にも、テープと同じ意匠がプリントされていました。もちろん、これはマステでは用をなさないので、お皿に直接プリントでした。
すっきりとした、いいデザインのモチーフでしたが、インパクトとしては、昨年の方が面白かったかな。
すぐ近くに、去年は、人が多すぎて、近寄ることもできなかった展示が。
Misoka, in the water
designer Rumiko Takeda
director Yohei Tsuji
歯ブラシなんですけど、これ、以前日経新聞にも、よく広告が出ていて、歯ブラシとしてはすごく高額なんだけど、品質が良いので売れています、見たいなのが、インプラントとかたくさんやっていて、口腔関係に、結構いい新車くらいはお金かかっている私としては、大変気になっていたんです。
ここもまた、初日だったせいで、人が少なくて、創業社長さんの営業トークを、一身に伺うことができました。面白い経験でしたよ。その上、お試しさせてくださり、そのお試しの一本をいただけるというありがたいお土産付き。
効能もなかなかのものらしいのですが、特に子供向けのものは、すっごくかわいくて、ついつい友人のお子さんに買ってあげようか、と悩んでしまいました。問題は、1本、一番安いタイプでも、18ユーロプラス付加価値税(イタリアは22%)という高額ぶり。お子様向けのは、もっと高かったと思います。
やはり付加価値をつけるために、デザインにも凝っていて、そこにもお金がかかっているということらしいのですが、その高額な歯ブラシ、なんと30日しか持たないんです。
社長さんによれば、でも、どんなものでも、歯ブラシは30日以上は使ってはいけないということなんだそうです。雑菌が増えるので、長く使えば使うほど、歯にとって良くない状態になると。
Misokaとは、晦日なんだそうです。
貧乏人は、18x12?とか、やはり悩んじゃいますよね。でも、熱の入ったトーク、大いに感銘を受けました。
そして、ブレラ美術大学へ。
Unifor 50
Installation by Ron Gilad
家具会社と思うのですが、このUniforが、ほとんど貸し切り状態で、ぱっと見は、大学の中庭に、この大きな電子書籍がドカンと置かれているのみで、あとは、室内展示となっていました。Uniforの展示は、入る前に登録が必要ということだったので(大塚家具?!笑)、実はここは二度訪ねましたが、時間もないし、結局入りませんでした。
上の写真、入り口正面なんですが、奥に回り込むと、本だということがわかります。
勝手にめくられていく様子も面白く、巨人国の読書を覗き見る感覚でしょうか。
Uniforの展示は入らなかったんですが、構内に、職人さんの家具の展示がありました。
Bottega Ghianda
木の肌合いがすべすべと素敵で、思わず触ってしまう、そういうものを作っていました。家を買った時、テーブルだけは張り込みたくて、アンティーク家具なども結構見たのですが、こういうのに出会っていたら、やばかったな。おそらく高額な製品と思いますが、当時、金銭感覚おかしくなっていたんで…。
この、大きなテーブルの足を見た時、いいなぁ、と思ったんです。
釘とか使ってなくて、はめこみみたいな、なんていうんだろう、がっちりと、木と木を組み合わせて、しっかり止めるみたいな技術を使っているのが、とても魅力的なんです。
知ったのが今で、本当によかったよ。
ブレラに向かった理由は、しかし、情報収集でした。主目的としての行き先は、おなじみの植物園。
Orto Botanico di Brera
CircularEni, The Circular Garden
design Carlo Ratti Associati
最近雨が多いせいもあるのか、緑が妙に生き生きとしていて、麗しい様子でした。建物を這う、黄色のつるバラや、藤の花は、相当刈りこまれて、寂しい姿になっていましたけれども。
なんか、展示としては、あまり面白くないかと。自然素材っぽいものが、無理無理アーチになっていたりして、それが並んでいるだけっていうか。
例年ENIっていうエネルギー関連会社がかかわっていて、灯りの演出もあるけれど、ちょっと面白みもオリジナリティーもないような灯りだし。
音楽ライブをやっていて、その演奏が、意外とよかったくらいで、全体としては、本来の植物園として、花木を楽しんだかな、というところです。
続きます。
フオリサローネは、この日曜日まで開催中なので、ご興味のある方、そして、アクセスできる方は是非。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2019/04/13(土) 07:06:14|
- ミラノ・フオリサローネ
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